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ホワイトコテージの殺人 [海外の作家 あ行]


ホワイトコテージの殺人 (創元推理文庫)

ホワイトコテージの殺人 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/06/29
  • メディア: 文庫


<カバー裏あらすじ>
1920年代初頭の秋の夕方。ケント州の小さな村をドライブしていたジェリーは、美しい娘に出会った。彼女は住居の〈白亜荘(ホワイトコテージ)〉まで送ったとき、メイドが駆け寄ってくる。「殺人よ!」ジェリーは、スコットランドヤードの敏腕警部である父親のW・Tと捜査をするが……。英国本格の巨匠の初長編ミステリにして、本邦初訳作、ユーモア・推理・結末の意外性――そのすべてが第一級!


マージェリー・アリンガムの作品は、「屍衣の流行」(世界探偵小説全集 (40))を読んでいますが、まったく覚えていません......

あらすじからかなり典型的なお屋敷もののように思えるのですが、読んでみるとあれこれ型破りです。
1) 偶然行き当たったジェリーが父親(スコットランドヤードの警部)を捜査に引き込む。
2) お屋敷に人が集まって、そこで連続殺人、という展開にならない。
3) 警部が捜査に息子を連れまわす。
4) 怪しい人物を追うためとはいえ、早々に海外(パリ)まで行ってしまう。(93ページ)
5) しかも、その足で、南海岸のマントン(コートダジュール)まで!(155ページ)
6) そのくせ手がかりを見つけたとロンドンに急いで戻ったのに、警部は捜査を途中で投げ出してしまう。(256ページ)
そのあと話は飛んで真相が明かされるのですが、これまたびっくり。
手がかりなく、いきなりの真相ですから。
森英俊が解説で「とりわけ残念なのは、W・Tが真相に思い当たるうえでの最終的な決め手となるべきものの内容が読者に事前に知らされていない点で、これではアンフェアのそしりを免れない(犯人の正体に直結するので、やむをえないとはいえ)。」と書いている通りです。

とはいえ、ミステリ的にはやはりその真相がポイントでしょうねぇ。
この作品、あれ(ネタバレになるので書名は書きませんが、Amazonへのリンクをはっています。ネタバレを気にしない方はご確認ください)よりも発表年が早いですね。
問題は後か先かではなく出来栄えがどうかだと思うので、発表年が早いから何だということはありませんが。

ミステリ的にはがっかりな点もありましたが、発想とか物語の進み方は楽しめましたので、またアリンガムの他の作品も読んでみたいですね。
特に、「葬儀屋の次の仕事」 (論創海外ミステリ)はタイトルがとても気になっています。


原題:The White Cottage Mystery
著者:Margery Allingham
刊行:1928年
訳者:猪俣美江子







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