死への疾走 [海外の作家 パトリック・クェンティン]
単行本です。
「迷走パズル」 (創元推理文庫)(ブログへのリンクはこちら)
「俳優パズル」 (創元推理文庫)(ブログへのリンクはこちら)
「人形パズル」 (創元推理文庫)(ブログへのリンクはこちら)
「悪女パズル」 (扶桑社ミステリー)(ブログへのリンクはこちら)
「悪魔パズル」(論創海外ミステリ)(ブログへのリンクはこちら)
「巡礼者パズル」 (論創海外ミステリ)(ブログへのリンクはこちら)
に続くピーター・ダルースもの第6作で、ついに「パズル」とつかなくなりました。
「巡礼者パズル」で、なんとかアイリスとよりを戻せそうなピーターなのに、この「死への疾走」 (論創海外ミステリ)ではふらふらしています。
こらっ、ピーター、しっかりせんかいっ。そんなことでは、アイリスからまた愛想を尽かされるぞ!
今回の舞台は
第一部 ユカタン
第二部 メキシコシティ
第三部 ニューオリンズ
となっています。
ピーターが振り回される感じがよく出ていまして、おいおい、と思いつつも、ニタニタしてしまいました。
舞台を転々としつつ、にぎやかに物語が進んでいきますし、人物の出し入れも派手です。
メキシコのように喧騒に満ちたストーリーに乗せられて、あれよあれよという間に結末のニューオリンズへ。
主人公であるピーターが混乱したまま物語がどんどん進んでいくのも、読者を乗せるのに役立っていますね。
クレイグ・ライスの「大はずれ殺人事件」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)が重要な小道具として使われているのも楽しいですね。(単なる小道具でしかないですけど)
「目の前の砂糖入れに立てかけてあるのは、橙色の表紙が目を惹くメキシコ版ポケットミステリだ。メキシコではミステリを読むのがおしゃれなのだ。」(145ページ)
なんて記載もあります。
もっとも、解説にも書かれているように、「大はずれ殺人事件」を使う理由はわかりませんね。
当時、よく売れていて、メキシコでも売っている(あるいは売っていそうな)作品だった、ということなのでしょうね。
「巡礼者パズル」に続き、本書も飯城勇三の解説が素晴らしく、お勧めです。
<蛇足1>
「へっぴり腰で階段をのぼってきた黄色い犬は少し離れた場所で立ちどまると」(45ページ)
へっぴり腰の犬って、どんな感じなのでしょうか?
わからないなりにイメージして笑ってしまいました。
<蛇足2>
「だれもが遅かれ早かれべつの顔を見せるこの状況を鑑みれば」(243ページ)
を鑑みれば、ねぇ......
気にしているのはぼくだけなのかもしれませんね。
原題:Run to Death
作者:Patrick Quentin
刊行:1948年
訳者:水野恵
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