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dele 2 [日本の作家 は行]


dele2 (角川文庫)

dele2 (角川文庫)

  • 作者: 本多 孝好
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/06/15
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
『dele.LIFE』(ディーリー・ドット・ライフ)は依頼人が死んだときに動き出す。託された秘密のデータを削除するのが、この会社の仕事だ。所長の圭司の指示を受け依頼人の死亡確認をする祐太郎は、この世と繋がる一筋の縁を切るような仕事に、いまだ割り切れないものを感じていた。ある日祐太郎の妹・鈴が通っていた大学病院の元教授から依頼が舞い込む。新薬の治験中に死んだ鈴。その真相に2人は近づくが……記憶と記録をめぐるミステリ、待望の第2弾。


「dele」 (角川文庫)(感想ページはこちら)につづくシリーズ第2弾です。
この「dele2」 (角川文庫)のエンディング、まるでシリーズ完結みたいな感じだったんです。「dele3」 (角川文庫)がすでに出ているので、シリーズが続いていくことについては安心できたのですが。

「アンチェインド・メロディ」
「ファントム・ガールズ」
「チェイシング・シャドウズ」
の3編収録の連作短編集です。

「アンチェインド・メロディ」の依頼者が削除してほしかったものは楽曲データ。依頼者の弟が売れてるバンド「コリジョン・ディテクション」のギター&ボーカルの横田宗介で、データは「コリジョン・ディテクション」の曲のものだった。
最後に圭司が解き明かす真相を、いいな、いい話だなと思ったのですが、いま考えるといい話と思ったのは間違い、いい話と思ってはいけない話なのかもしれませんね。
ミステリとして派手に仕立てることも可能なプロットですが、さらっとこういう形に落とし込んであるのは、やはり本多孝好ならではですね。

「ファントム・ガールズ」は事務所に女子中学生ナナミが乗り込んでくるところから始まります(厳密には乗り込んでくる少し前から、ですが)。ナナミは、今回の依頼人波多野愛莉(24歳)の隣人で、唯一の友人だった、と。
愛莉が消したかったのは何か、ナナミはそれとどう関係があるのか、などはエチケットとして触れません。
この作品60ページほどなのですが、話の展開が見事です。
コンパクトに、テンポよく、淀みなく、話が進んでいって、ああ本多孝好いいなぁ、と思える着地にたどりつきます。

最後の「チェイシング・シャドウズ」は本書の半分以上を占める中編で、言ってみれば、祐太郎自身の事案。
そしてこの事案は、祐太郎と『dele.LIFE』の、そして祐太郎と圭司の関係を変容させてしまう......
この作品もド派手な展開に持ち込むことが可能なプロットなのですが、非常に落ち着いた、静謐、とでも呼びたくなるような雰囲気を湛えています。
祐太郎のたどり着く境地こそが本多孝好を読む楽しみなんだと思えますが、同時にとても淋しい気持ちにもなります。淋しいけれど、決して嫌な感覚ではない。

このあと、どうやって「dele3」 (角川文庫)が成立するのか見当もつきませんが、とてもとても楽しみです。





タグ:本多孝好 dele
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