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花嫁は三度ベルを鳴らす [日本の作家 赤川次郎]

花嫁は三度ベルを鳴らす (ジョイ・ノベルス)

花嫁は三度ベルを鳴らす (ジョイ・ノベルス)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2020/02/03
  • メディア: 新書

<カバー裏あらすじ>
旅先で埋葬される妻
そこは奇妙な風習が残る土地だった……
実業家の片瀬耕一は妻の靖代、その妹である早紀と東欧を旅していた。トランシルバニアに入ったとき、靖代は体調を崩して亡くなってしまう。異国の地だったが、その土地に埋葬することに。そこには奇妙な風習があり、棺の中で目覚めた時に鳴らすベルを墓標の十字架に取り付けるのだ。鳴るはずのないベルが鳴り響くとき、女子大生・亜由美と相棒ドン・ファンは事件に巻き込まれていく! シリーズ第33弾! 表題作ほか「花嫁は滝をのぼる」収録。


花嫁シリーズも33作目です。奥付は2020年2月になっています。
表題作「花嫁は三度ベルを鳴らす」と「花嫁は滝をのぼる」の2話収録。


「花嫁は三度ベルを鳴らす」は、ドラキュラの故郷といわれるトランシルバニアが舞台ですね。
「花嫁は三度ベルを鳴らす」というタイトルは、当然ジェームズ・M. ケインの郵便配達は二度ベルを鳴らす (新潮文庫)を踏まえたものですが、内容はまったく関係ないですね。
「花嫁は三度ベルを鳴らす」のプロット、読み覚えがあるような気がしてならないのですが......気のせいでしょうか? 赤川次郎の別のシリーズで似たようなお話、ありませんでしたっけ?
「吸血鬼はお年ごろ」シリーズかな?
「吸血鬼に鐘は鳴る」 (集英社オレンジ文庫)(感想ページはこちら)をダブらせて読んだのかもしれません。
というわけで、いつもの赤川次郎の作品世界です。

「花嫁は滝をのぼる」は、世界陸上大会の開催をめぐる政治家、国の横暴と、その被害にある弱者という、こちらも違うかたちでの典型的な赤川次郎の作品世界です。
この種の話、読むほうとしてはもうすっかり飽きてしまっているのですが、大事なことなので、繰り返し、繰り返し訴えていかなければ、と考えておられるのでしょうね...... いわゆる劇場型の決着になっているのがその証拠かな?



<蛇足1>
「ここが、いつも亜由美の部屋だったり、二人きりしかいない、湖を見下ろす湖畔のベンチだったらよかったのだが」(14ページ)
「~たり、~たり」が崩れてしまっていますね。長い文章なのでミスしやすいところではありますが。
あと、湖を見下ろすようなところも、湖畔と呼べるのでしょうか? ちょっと気になりました。

<蛇足2>
「何かご用ですか?」
 用があるから来たのだろうが、谷山の方もそこへ考えが至らない。(15ページ)
「何かご用ですか?」というセリフ、何の用かを話すよう促すセリフであって、必ずしも用のない人に向けたセリフとは限らないように思うのですが......「考えが至らない」と言われてしまっては、谷川准教授かわいそう。久しぶりに登場したのですが、たいした役割を果たしませんしね......残念。

<蛇足3>
「あなたなんですね、航空券を送って来たの」
「ファーストクラスにできなくてすみません」(34ページ)
亜由美のところへトランシルバニアへ向かう航空券が誰だかわからない人物から送られてきた際の電話での会話です。
ところが、そのあとに
「ファーストクラスでこそなかったが、成田に着いてみると、亜由美たちの席はビジネスクラスに帰られていた。」(37ページ)
となっています。
すると、元のチケットはエコノミークラスだったわけですよね。このケースで「ファーストクラスにできなくて」と言いますでしょうか? ビジネスクラスのチケットだったならともかく、エコノミークラスのチケットでは、「ビジネスクラスに(も)できなくて」というところじゃないかな、と思うのですがーー最終アップグレードしてビジネスクラスにしてはいるようですが。

<蛇足4>
「カッパ、はおった方が」
「そうね、滝の近くにいくんだから」(116ページ)
大学生の会話です。最近の大学生でも「カッパ」という語、使うんですね。
ヤッケとかカッパとか、半ば死語と化していると思っていました。

<蛇足5>
開催国に立候補する国はいくつもあったが、北山はあらゆるつてを利用して、立候補を取り下げさせたり、他国のマイナスイメージを、マスコミを使って流した。(145ページ)
ここも長めの文章で「~たり、~たり」が崩れてしまっていますね。
それにしても、世界陸上大会の開催国決定に影響を与えるために他国のマイナスイメージを流すとすると、ここでいうマスコミは日本のマスコミではなく、主として海外に影響力のあるマスコミということになりますね。元総理とはいえ、そんな海外にまで影響力を及ぼせるなんて、日本の政治家では珍しい気がします。




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