ミステリ・ウィークエンド [海外の作家 わ行]
ミステリ・ウィークエンド (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2016/01/18
- メディア: 単行本
<カバー袖あらすじ>
「ミステリ・ウィークエンド」と銘打たれた冬の観光ツアー。
その滞在先で客が死体で発見された。
そこへあらわれたあやしげな振る舞いと不可解な言動を繰り返す“自称”夫婦。
事件の謎がさらに深まるなか、新たな死体が発見される……
単行本です。
「検死審問―インクエスト」 (創元推理文庫)、「検死審問ふたたび」 (創元推理文庫)(感想ページはこちら)の、というべきか、「悪党どものお楽しみ」 (ちくま文庫)、「探偵術教えます」 (ちくま文庫)のというべきか、そのパーシヴァル・ワイルドの処女ミステリ長編です。
パーシヴァル・ワイルドは、凝った作品を書く作家という印象で、それでいて肩肘張らない感じがいいんですよね。
この「ミステリ・ウィークエンド」 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)も同様です。
4人の手記が連なる、という構成が特徴的ですが、これがまた一筋縄ではいかない魅力をもたらしています。またミステリ的な効果も生み出しています。
帯に「密室の死体は消え、ふたたびあらわれる」とありますが、密室はあまり注目しない方がよいと思いますが、それ以外にもさまざまな謎がちりばめられていて、それが最終章ですっきりと、しかも単純に解き明かされるのは見事、だと思います。
いつもながらの勝手リンクですが、ウイスキーぼんぼんさんのミステリあれやこれやというサイトがとても参考になります。リンクをはっていますので、興味のある方はぜひ。
本書は、短めの長編「ミステリ・ウィークエンド」以外に
「自由へ至る道」
「証人」
「P・モーランの観察術」
という3つの短編を収録しています。
「自由へ至る道」は、ちょっと難しかったです。いま読み返しても、ちょっとわからないところが......
「証人」は、ショートショートというべき作品で、ミステリらしい枠組みが綺麗に決まっています。
「P・モーランの観察術」は、「探偵術教えます」 で出てくるP・モーランのシリーズの1作ですね。まさにドタバタ・ミステリです。
解説で触れられている、パーシヴァル・ワイルドの第三ミステリ長編「Design for Murder」もぜひ訳してください。
原題:Mystery Week-end
作者:Percival Wilde
刊行:1938年
翻訳:武藤崇恵
タグ:パーシヴァル・ワイルド
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