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罪の余白 [日本の作家 あ行]


罪の余白 (角川文庫)

罪の余白 (角川文庫)

  • 作者: 芦沢 央
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/04/25
  • メディア: 文庫


<カバー裏あらすじ>
どうしよう、お父さん、わたし、死んでしまう――。安藤の娘、加奈が学校で転落死した。「全然悩んでいるようには見えなかった」。クラスメートからの手紙を受け取った安藤の心に、娘が死を選んだ本当の理由を知りたい、という思いが強く芽生える。安藤の家を弔問に訪れた少女、娘の日記を探す安藤。二人が出遭った時、悪魔の心が蠢き出す……。女子高生達の罪深い遊戯、娘を思う父の暴走する心を、サスペンスフルに描く!


今年6月に読んだ最初の本です。
芦沢央の本を読むのは初めてです。
最近、いろんな作品が話題になっている作者さんですね。注目の作家、というところでしょうか。
八重洲ブックセンターでサイン本が売られていたこともあり、デビュー作である本作を手に取りました。
第3回野生時代フロンティア文学賞受賞作とのことです。

娘(あるいは息子)の死の真相を探る父親(あるいは母親)というのはミステリでよくある設定かと思いますが、バリエーションを作りにくい設定だな、と思っています。
そして、個人的にはあまり満足感を得られたことがない。

このジャンルを読んだ記憶で一番古いものは、岡嶋二人の日本推理作家協会賞受賞作「チョコレートゲーム」 (講談社文庫)ですが、これも岡嶋二人らしいひねりが用意されていたものの(中学校を舞台にそれをやるか!と思わせてくれました)、個人的には今一つしっくりこなかった。

そもそも子どもが死ぬという前提だけでも後味が悪くなってしまう可能性が高いうえ、親が知らない子どもの姿、ということで学校が舞台となれば、いきおいいじめが出てくるだろうと想定されるわけで、その子どもがよい子にせよ悪い子にせよ、意外性というのも打ち出しにくいと思います。

そう思いつつ、この「罪の余白」 (角川文庫)を手に取りました。
オープニングであるプロローグが、まさに少女が命を落とす場面。
非常に気を使った書き方がされているのですが、ここを読むといじめとは言い切れなさそうな雰囲気。
おやおや、と興味を惹かれました。

なんですが、やっぱりいじめだったんですよね。
追及する父親サイドと、いじめた側の少女たちサイドの話がつづられていくのですが、意外性はありません。

となると、つまらない作品だったのか、というとそんなことはありませんでした。
主要人物の一人として、父親サイドに人とコミュニケーションをとるのが苦手な女性が配されているのですが、この人物はなかなか興味深いです。
また、事件のきっかけとなるいじめも、機微というのか、感じ取れました。

注目の作家のデビュー作らしいな、と思いましたので、ほかの作品も読んでみたいと思います。






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