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舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 [日本の作家 あ行]


舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 (光文社文庫)

舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 (光文社文庫)

  • 作者: 歌野 晶午
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/08/07
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
「通りすがりの舞田ひとみですよ」中学生になった舞田ひとみは皮肉度も上昇!? 彼女は退屈な日々に倦む女子中学生三人組と共に刺激を求め日常に潜む謎に挑む! 募金詐欺の女は死体で発見され、激痩せした英語講師は幽霊を見たと言い張り、はたまたヤバすぎる誘拐事件にも巻き込まれ……。十四歳の青春と本格ミステリの醍醐味を詰め込んだ、シリーズ第二弾!


すでに角川文庫から改題のうえ再文庫化されていまして、それがこちら ↓。
「名探偵は反抗期 舞田ひとみの推理ノート」

名探偵は反抗期 舞田ひとみの推理ノート (角川文庫)

名探偵は反抗期 舞田ひとみの推理ノート (角川文庫)

  • 作者: 歌野 晶午
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/05/21
  • メディア: 文庫



舞田ひとみシリーズ、なわけですが、シリーズ第1作である「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」 (光文社文庫)(感想ページはこちら)も、「名探偵、初心者ですが 舞田ひとみの推理ノート」 (角川文庫)として再文庫化されています。
ちなみに、第3作も「コモリと子守り」(光文社)というタイトルだったものが、「誘拐リフレイン 舞田ひとみの推理ノート」 (角川文庫)として文庫化されています。

前作での舞田ひとみの位置づけは、必ずしも名探偵ぽくなく、舞田ひとみが放つせりふに触発されて、叔父である刑事の舞田歳三が推理して解決するというパターンでした。
今回は、この枠組みを離れて、別の学校に通る女子中学生3人組と一緒に活躍します。舞田歳三はこき使われていますが。

「白+赤=シロ」
「警備員は見た!」
「幽霊は先生」
「電卓男」
「誘拐ポリリズム」
「母」
の6編収録。

繁華街で募金詐欺と思しき女性を見張っていた語り手高梨愛美梨に、ストリートダンスをしていた舞田ひとみが声をかける。小学校のときの同級生として。流れで、濡れ衣を着せられそうなインドネシア人の冤罪を晴らしてあげる「白+赤=シロ」は、紹介編という感じでしょうか?
真犯人をつきとめることなく、冤罪を晴らすところで物語が終わるのは、非常に現実的というか、舞田ひとみのスタンスを知る上で重要な気がしました。

「警備員は見た!」は学校を舞台にした窃盗事件を扱っていて、タイトルが面白いですが、事件を解き終わったあとで、「今になって気づいた」とかいって、舞田ひとみが出してくる手がかりが楽しかったですね。

「幽霊は先生」は、1週間で一気に貧相な体になってしまったオーストラリア人英語教師の謎です。
謎解きそのものは、ミステリ的にしょぼいと言わざるを得ないと思いますが、ポイントは
「人の秘密を探るというのは、それはもうわくわくするのだけど、いざ秘密を知ってしまったら、こっちまで大変なものをしょいこんでしまうんだよね。刑事とか探偵とか、普通の神経じゃとてもつとまらないよ」(200ページ)
という舞田ひとみのセリフなのでしょうね。

「電卓男」は、語り手高梨愛美梨の弟が怪しい行動をとる真相をつきとめます。
「名探偵は反抗期」という改題後のタイトルに出てくる「反抗期」らしさが徐々に色濃くなってきているということでしょうか。もっとも、舞田ひとみというよりは、他の登場人物ですけどね。

「誘拐ポリリズム」は、その弟君が誘拐されるという大事件発生です。
面白い狙いの誘拐だとは思いましたが、労多くして......ではないかな、と思います。

最後の「母」に出てくる事件は、舞田ひとみが事故にあって入院した病院で、患者が失踪したというもので、偶然が多発された謎解きはあまり感心しないものの、作品集全体の位置づけはしっかりしているな、と思えました。
「母」はそのものズバリなタイトルというか、反抗期問題の中枢に位置する問題なのですが、高梨愛美梨本人の事件ではなく事件を通して愛美梨に訴えかけるというかたちになっていますね。

ということで、前作とは作品の建て付けを大きく変えた作品となっていました。
好みは前作ですが、「誘拐リフレイン 舞田ひとみの推理ノート」 も買ってありますので、期待して読みます。






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コースケ

31さま、こんばんは。
私もこのシリーズ好きで3作とも読みました。

今後は角川から新刊が発売されるのですかねえ。
装丁を揃えたくなるので、改訂文庫版も購入してしまいそうです。
by コースケ (2021-09-29 20:54) 

31

コースケさん

いつもありがとうございます。
そうですね。どうも版権?がKADOKAWAに移ってしまったような感じがしますね......
by 31 (2021-09-30 20:30) 

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