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警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官 [日本の作家 か行]

警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 梶永 正史
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/01/08
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
警視庁捜査二課主任代理、郷間彩香。三十二歳、独身、彼氏なし。贈収賄や詐欺などの知能犯罪を追う彩香は、数字に手掛かりを求めて電卓ばかり叩いているため“電卓女”と呼ばれている。そんな彩香に刑事部長から特命が下った。渋谷で発生した銀行立てこもり事件の指揮をとれというのだ。犯人が現場の指揮と交渉役を彩香に任命するよう名指ししたという。彩香は困惑しながら臨場するが……。


読了本落穂拾い、続けます。
第12回 『このミステリーがすごい!』大賞を八木圭一「一千兆円の身代金」 (宝島社文庫)と同時受賞した
梶永正史「警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官」 (宝島社文庫)です。

このところ、タイトルのことばかり言っている気がしますが、この作品は、タイトルがつまらない。
世は警察小説ブームで、流行っているから新人賞に警察小説で応募して来たのかなぁ、と思いましたし、タイトルまでそういう感じを漂わせているからです。
警視庁〇〇課誰それっていうタイトル、本屋さんの棚にあふれているでしょう? もう何匹目かわからないドジョウを狙うような新人いらないよね、という感覚です。
でも、『このミステリーがすごい!』大賞 は、ミステリ的にはあまり信用できる賞ではありませんが、大賞を獲るということはしっかりした作品なのでしょうし(例外はあるにせよ)、さてさて。
(ちなみに応募時のタイトルは「真相を暴くための面倒な手続き」だったようです)

もともと警察小説は得意ではないこともあってあまり期待せずに読み始めたのですが、おもしろかったです。

扱われているのは銀行強盗、ではないですね、正確には銀行立て籠もり。
警察小説にしてはちょっと変わった展開を遂げていきます。
そもそも郷間が指揮をとらされるというのも変ですし(しかも犯人の指名!)、SATから狙撃手である巡査部長如月は送られてくるは、警察庁長官が指名したという警視長吉田が現場に派遣されてくるは。とどめ?を指すように、犯人グループの主犯は元警視庁捜査二課の刑事國井!
銀行強盗事件とは思えないストーリー展開がハイテンポで続きます。その間、犯人からの要求含め強盗事件の進展はない......

これを支えるのが郷間をはじめとするキャラクター。旧知の野呂刑事部長といい、謎めいた吉田といい、実際の警察にはいそうもないタイプ、というのは言い過ぎかと思いますが、少なくとも一般的な警察小説で描かれる警察にはいそうもないタイプ。

事件の背景とかがやや類型的なのは気になるものの、楽しく読めます。
郷間彩香をメインに据えてシリーズ化もされているようで、遅まきながら追いかけていきたいかも、と思ったのですが、現在シリーズはほとんど入手困難なようですね......


<蛇足1>
「そして今日は渋谷にある新世界銀行に来ていた。銀行の社内報に載せる、支店長の記事を書くためだ。」(16ページ)
たかが社内報の記事にライターを雇うとは、なんと余裕のある銀行なのでしょうか...

<蛇足2>
「現会長の長男が積極的な融資策をとり、グループ全体の業績を上げている。業界内では、決して焦げ付かないことから『フッ素加工されたフライパンのような投資』とか、-略-言われている。」(35ページ)
銀行業界で、融資のことを指して投資と呼ぶことはないと思います。




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