チェーンレター [日本の作家 あ行]
<カバー裏あらすじ>
「これは棒の手紙です。この手紙をあなたのところで止めると必ず棒が訪れます。二日以内に同じ文面の手紙を……」水原千絵は妹から奇妙な「不幸の手紙」を受け取った。それが恐怖の始まりだった。千絵は同じ文面の手紙を妹と別の四人に送ったが、手紙を止めた者が棒で撲殺されてしまう。そしてまた彼女のもとに同じ文面の手紙が届く。過去の「不幸」が形を変えて増殖し、繰り返し恐怖を運んでくる。戦慄の連鎖は果たして止められるのか?
この作品は単行本時点では青沼静也(あおぬましずや)名義で出版されたものを文庫化にあたって折原一にしたようです。
積読にしている間に光文社文庫から改題の上、再文庫化されています。
題して「棒の手紙」
棒の手紙ってなんだろなと思いますが、不幸の手紙です。
不幸の手紙を汚く書けば棒の手紙、って傑作ですよね。横書きだったのか! と思いました。
不幸の手紙が棒の手紙になって、さらに......というところはおもしろい思いつきだと思いました。
この点も含めて、この作品が折原一のものだとわかっている現時点で読むと、
「おお、いかにも折原一だ」
と思いながら読み進んでいくことになるわけですが、青沼静也の作品として手に取っていたら、あっさり騙されていたような気がします。
別名義にした理由として、あとがきで
「推理界からホラーに越境すると、ホラー・ファンには徹底的に無視されるんじゃないの?」と言われた
と書いてあるのですが、そうなんでしょうかね?
折原一の作品だと思って読むと、なかなか興趣があるのですが、ホラーとしてはどうでしょうか?
折原一お得意のどんでん返し連続技、ホラーには逆効果なような気がしました。
どんでん返しが続くと、理に落ちて、どんどん怖くなくなっていく気がします。
また折原一がよく使う ”狂気” も、ホラーにしてみたら、怖くないかもしれません。
あと、個人的にはあまり好きではない題材が扱われていたので(それがなにかはネタばれになるので伏せておきますが)、残念でした。
タグ:折原一
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