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ダブルファッジ・ブラウニーが震えている [海外の作家 ジョアン・フルーク]


ダブルファッジ・ブラウニーが震えている (ヴィレッジブックス)

ダブルファッジ・ブラウニーが震えている (ヴィレッジブックス)

  • 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
  • 発売日: 2017/11/30
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
母ドロレスとドクの結婚式をサプライズで計画したハンナたち。式を挙げる予定のラスベガスに向かっている幸せいっぱいの母とドクを見ていたハンナは、自分自身も一生に一度の大恋愛をしてみたいと思うようになっていた。ハンナにとって大切な二人の男性はプロポーズしてくれたし、彼らのことは愛しているけれど……。そんなとき、ラスベガスで思いもよらない出来事が! ハンナの恋、ついに決着!?


2021年11月に読んだ9冊目の本です。
お菓子探偵ハンナ・シリーズ第18弾。

引用したあらすじは、どうみてもミステリではないですね。
ちゃんと(!)殺人事件も起こるというのに。

母ドロレスとドクの結婚式の計画という、ドキドキするオープニングとなっているのですが、ハンナがさらっとは読み飛ばせない述懐をしていて注目です。
「ふたりがいっしょにいるのを見ていると、ハンナは自分もこんな身を焦がすような恋愛がしたくなった。思えば、ノーマンのプロポーズもマイクのプロポーズも受け入れなかったのは、それが理由だった。ふたりとも愛してはいたが、それは彼女が強く望んでいる、胸が高鳴り、その人がいなければ生きていけないというタイプの愛ではなかった。一生に一度でいいから、完璧な夜に完璧な男性から完璧な愛で心を奪われたかった。」(11ページ)
な、なんと!

そうこうするうちに、シリーズ的にはネタバレになってしまうのですが、懐かしのロスが登場し、ハンナの心を奪います。
「マイクと一週間会えないと思うと悲しい?」
「いいえ、そうでもない。マイクのことを考えたのは、だれかが彼の名前を出したときだけだし」
「ノーマンはどう? 彼のことは考えた?」
「彼のことを考える機会はマイクよりは少し多かったけど、たぶんモシェを預けているからだと思う」(125ページ)
とはかなり衝撃の発言です。

シリーズで気になると言えば、ハンナが起こした交通事故があります。
いよいよ危険運転致死罪を問われる裁判が開かれる運びに。
なんですが、裁判所で担当判事が殺されるという事件発生!

恋に目がくらんでしまったのか、ハンナの迷探偵ぶりは絶好調で、十分な推理もできないうちに真犯人にぶつかるというありさまで、このシリーズらしいと言えばらしいのですが、ミステリとしてはもっとしっかりしてほしいところ。
とはいえ、今回は事件なんか大した興味を惹くものでなく(失礼)、ハンナの恋模様ですよね。

ラストで一大決心をして、さぁ、「ウェディングケーキは待っている」 (ヴィレッジブックス)ですね!


<蛇足1>
「ドクと三人の娘たちがこの計画の共謀者だと母が知って、起こることはふたつにひとつだ。~略~
 ハンナならいくつかの理由から後者に賭けるだろう。」(11ページ)
ここの「ハンナなら」の文章、変ではないでしょうか?
そもそもこの物語自体がハンナ視点で語られるものなので「〇〇なら~~だろう」という構文を使う必要がわかりませんし、ハンナの意見として「だろう」と推量を入れる必要もありません。
原文はどうなっているのかな?

<蛇足2>
アンドレアが使わない貰い物のバント型(カップケーキ型)をハンナにあげるというシーンがあるのですが、その型についてアンドレアが
「娘たちが砂場で遊ぶときに使わせていたの」(74ページ)
と言います。
まあ、洗えば済む話ではありますが、なんとなく気持ちよくないなぁ、と思ってしまいました。

<蛇足3>
「リビングルームでコーヒーを飲みながら、ピーナッツバターとバナナのサンドイッチを食べていました」(209ページ)
なかなか強烈な取り合わせのサンドイッチですね......

<蛇足4>
「休みにしていいと言いながらその時間ぶんを給料から引くのは、殺人の動機になるだろうか?」(209ぺージ)
なりません!(笑)

<蛇足5>
「ハンナはモシェにえさをやってから、ベッドルームに行って、アンドリアが“部屋着セット”と呼んでいるものに着替えた。グレーのスウェットパンツと大学の古いスウェットシャツだ。」(295ページ)
大学のスウェットを今でも着ているとは、ハンナも物持ちが非常にいいですね。

<蛇足6>
料理をしながら、ハンナとミシェルがカラーピーマン(パプリカという言い方の方が一般的になってきていますね)の話をするシーンがあるのですが(333ページ~)、そこで
「ピーマンはすべて同じ種からできるのよ」
「大事なのは、ピーマンの色が成熟具合によって異なるってことと、赤いピーマンがいちばん甘くていちばん熟しているってこと」
といっていてびっくりしました。
そうなんですか!? 知りませんでした。緑のピーマンもそのまま育てると黄色、オレンジ、赤と変色していくのですか......

<蛇足7>
「ハンナは冷蔵庫を開けて、少し整理した。すなわち、ひどくしなびてしまったリンゴ一個、寿命を超えてしまった古いジャガイモ三個、食べごろの時期をすぎてしまったニンジンひと袋、ブルーチーズではないのに青くなってしまったチーズ一パックを捨てた。」(336ページ)
えっと、いくらなんでも整理しなさすぎではないでしょうか、ハンナさん。
あと、ジャガイモを冷蔵庫に保存するというのも、ちょっと不思議です。




原題:Double Fudge Brownie Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2015年
訳者:上條ひろみ






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