合唱組曲・吸血鬼のうた [日本の作家 赤川次郎]
<カバー裏あらすじ>
合唱コンサートの帰り、見知らぬ女性に『リュドミラ様』と呼び掛けられたエリカたち。エリカの友人・関谷しおりと、『リュドミラ』が瓜ふたつだというのだが……? しおりとリュドミラ、日本とトランシルヴァニアを繋げる、幻の秘宝〈マキシミリアン大公の十字架〉の謎を追って、クロロック父娘は東欧に飛ぶ! 大人気ロングランシリーズ、待望の最新作!
2021年11月に読んだ最後の本です。
「吸血鬼はお年ごろ」シリーズ 第39弾。
「吸血鬼と悪魔の休日」
「吸血鬼の道行日記」
「合唱組曲・吸血鬼のうた」
の3編収録です。
「吸血鬼と悪魔の休日」は20年後に再会を約した高校生たちの、その20年後を描いています。
舞台となるのは東京にあるMデパートなのですが、
「明日日曜日の午後二時にMデパート一階のライオン像の前で待ち合わせることに決まった。」(23ページ)
という記述があり、あからさまに三越ですよね。
「Mデパート? ――まあ、二十年たっても、なくなりゃしないだろうな」(13ページ)
などというセリフもあり、三越だとすると以前それこそ潰れそうになりましたので、実名を出すのが憚られたのでしょうか(笑)。
この作品でもやはり警察の活動がでたらめで興ざめです。
(最近の)赤川次郎の作品では、一般的な犯罪者側がよい人で、捜査する警察が腐っていることが多すぎですね......
「吸血鬼の道行日記」を「ミステリのあるテーマに挑んだ意欲作」というのはいくらなんでも買いかぶりすぎでしょうね。
ただ、勢いに任せて書き飛ばしたような(失礼)作品であっても、こういうポイントが忍ばせてあると印象はずいぶんよくなりますね。
「合唱組曲・吸血鬼のうた」の主役は、トランシルヴァニア地方の血を引くピアニストです。
赤川次郎ではずいぶんこの種の話を読んだ気がしますが......まあ、楽しく読めたからいいでしょう。
しかし、クロロック商会、簡単に海外出張が組めて、さらにエリカの分まで経費負担できるとは、なんと自由で儲かっている会社なのですね。
クロロックが社長だとブラック企業ということはなさそうですし、いい会社みたい。
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