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花嫁、街道を行く [日本の作家 赤川次郎]


花嫁、街道を行く (ジョイ・ノベルス)

花嫁、街道を行く (ジョイ・ノベルス)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2022/03/17
  • メディア: 新書

<カバー裏あらすじ>
花嫁をつけ狙うのは誰──
亜由美の恋の行方は?
ツアコンの久美子は、高屋医師とのデートのためホテルへ。そこへ怪しい男が現れ、高屋を必要とする患者がいると同行を求められる。大人しく従うが、その後、久美子だけが行方不明に。ひょんなことから探偵事務所を開くことになった亜由美の元へ、久美子の捜索依頼が舞い込んだ。手がかりを探し、たどりついたのは、ある大使館。事件は思わぬ方向へ展開し、舞台はロマンチック街道へ!
表題作のほか「あの夜の花嫁は、今」を収録。シリーズ第35弾。


2022年4月に読んだ最後の本です。
花嫁シリーズ35作目。
表題作と「あの夜の花嫁は、今」の2話収録。

本を手に取って、太いなと思いました。
分厚い本が増えていますので、このくらいの本はざらにあるのですが、赤川次郎にしては珍しい。だいたいこの花嫁シリーズも薄い本が多いですから。

表題作「花嫁、街道を行く」は、ロマンチック街道を舞台にして赤川次郎も筆が乗ったのでしょうか?
いろいろなシリーズに登場させておられますから、お好きなんでしょうね。だから、本も分厚く。
<R共和国>という架空の国が登場し、その13歳の王子が日本にいるという設定になっています。
政情不安定な国で、共和国なのに王子がいるという、いかにもなにか起こりそうな設定になっているところがミソでして、いつも通りのにぎやかなストーリーが展開します。

「あの夜の花嫁は、今」も通常より少し長い気がしましたね。
轢き逃げをしたと思しき新婚夫婦。運転していた夫は大手スーパーチェーンのオーナーの御曹司。
その車の傷に気づいたホテルのベルボーイ佑太(とその恋人)が騒動に巻き込まれる。
この御曹司とその父親の醜悪なことといったら赤川次郎の定番中の定番で、その通りに展開します。ここまでだとかえってリアリティがない気もしますが......
大変な目に遭うというのに、佑太が最後に陥る状況はちょっと赤川次郎もいじわるですね。
ところでこの作品、亜由美たちの影が薄い気がしております。登場シーンも少ない。
これだとシリーズ外の作品にした方がよかったのでは?


<蛇足1>
「だって今、そうおっしゃたじゃありませんか」
と、ウエイトレスがふくれっつらになって、
「一旦入力すると訂正するの面倒なんですよ」
「じゃ、いいわ、<ちらし寿司>で」(34ページ)
こんな会話デパートの食堂でありますか? まあアルバイトなんでしょうけれど。
続けて
「平日なので、あまり人はいなかったが、セール中ということで、大荷物を抱えている女性は何人か目についた。」
とあります。平日でも「あまり人はいな」いなどということはないのではないでしょうか? ましてやセール期間中に。

<蛇足2>
「だけど……私、探偵の免許なんてもってないのよ」(60ページ)
日本では探偵に免許は必要ありませんね。この部分は亜由美の知識不足でよいのですが、
「資格もないのに、<調査費>なんかもらったら、問題だろう」
と地の文が続くのは困りますね。日本では資格必要ありません。

<蛇足3>
「今まで色々な事件に係って来た経験から、亜由美は、
『常に最悪の状況を想定しておくべき』
という学びを得ていたのである。」(115ページ)
赤川次郎はきちんとした文章を書く小説家だと認識していたのですが、その赤川次郎をもってして「学びを得」たですか......


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