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映画:エンドロールのつづき [映画]

エンドロールのつづき.jpg


映画「エンドロールのつづき」の感想です。

いつものようにシネマ・トゥデイから引用します。

見どころ:映画と出会ったある少年が、映画監督を目指すヒューマンドラマ。映画館でスクリーンにくぎ付けになった少年が、やがて映画を作りたいと思うようになる。監督などを手掛けるのはパン・ナリン。オーディションで選ばれたバヴィン・ラバリが主人公の少年を演じている。ナリン監督自身の実話を基にした本作は、第66回バリャドリード国際映画祭でゴールデンスパイク賞を受賞した。

あらすじ:インドの小さな町に住む9歳のサマイ(バヴィン・ラバリ)は、学業のかたわら父親のチャイ店を手伝っていた。ある日、家族と映画館を初めて訪れた彼は、すっかり映画に魅了される。ある日、映画館に忍び込んだのがバレて放り出されるサマイを見た映写技師のファザルが、サマイの母親の手作り弁当と引き換えに、映写室から映画を観ることを彼に提案する。


インド映画です。
上のあらすじを読んでいただくとわかりますが、インド版「ニュー・シネマ・パラダイス」。
これは観に行かなくては、と思い観に行きました。

映画愛に溢れた映画、であることは間違いないし、いい映画になっているとは思いましたが、やはり、どうしても「ニュー・シネマ・パラダイス」と比べてしまう。

インドの貧しい村の暮らし、美しい風景、ローカル駅の佇まい、映画へのあこがれ......見どころはたくさんあります。
映画好きが嵩じて、途中意外な展開を見せるところもあります。

映画の HP をみると、この映画はパン・ナリン監督自身をモデルにしているということで、であればそこにさらなる物語を求めることは慎むべきなのかもしれませんが、どうしてもね......

気になるのは、やはり現実の重さ、辛さ。
もともとバラモンに属しながら駅でのチャイ売りに身を落としている(と説明される)父親、あたらしい技術の前に処分される映写機やフイルム(と映写技師)
頼りとする駅すら広軌への切り替え列車が止まらなくなるという
町(村?)を出ろ、と主人公にいう教師は誠実なのでしょうが、やるせない気分にもなります。

監督自身の物語であることからもわかるように、主人公は映画の夢に向けて旅立っていくのですが、残された人々の暮らしがとても気になりました。列車が停車しなければ駅もなくなっちゃいますよね?
フイルムが形を変えるエピソードもエンディングにつながって、映画の夢を印象づけるものではあるのですが、個人的にはかえって寂しく感じました。

「エンドロールのつづき」と比べると、「ニュー・シネマ・パラダイス」はファンタジーだったのだな、と思います。
そして気づくのです。ファンタジーである「ニュー・シネマ・パラダイス」が好きだったのだ、と。

とはいえ、「ニュー・シネマ・パラダイス」と比べてどうこう言うのは余談でして、「エンドロールのつづき」はとても楽しく観ることができました。
よかったです。

最後にタイトルについて。
「エンドロールのつづき」という邦題はとてもよいタイトルだと思いました。
この映画のエンドロールの続きは、当然、パン・ナリン監督が生み出す数々の映画ということになるのでしょう。
パン・ナリン監督の作品を観たことはないのですが、そこに込められた夢を感じることができます。

一方で原題は「LAST FILM SHOW」。
最後の(フィルム)上映ですか。
となるとこれは、劇中に出てくる非常に印象的な上映会のことを指すはず。
あの上映会は、主人公の映画への情熱の一つの頂点であり、映画を楽しむことの喜びに満ち溢れていましたと同時に、主人公の転機をもたらすきっかけでもありました。
こちらもいいタイトルだと思います。



製作年:2021年
原 題:LAST FILM SHOW
製作国:インド/フランス
監 督:パン・ナリン
時 間:112分


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