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ロスト・シンボル [海外の作家 は行]

ロスト・シンボル (上) (角川文庫)

ロスト・シンボル (上) (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/08/25
  • メディア: 文庫

ロスト・シンボル (中) (角川文庫)

ロスト・シンボル (中) (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/08/25
  • メディア: 文庫

ロスト・シンボル (下) (角川文庫)

ロスト・シンボル (下) (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/08/25
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
世界最大の秘密結社、フリーメーソン。その最高位である歴史学者のピーター・ソロモンに代理で基調講演を頼まれたラングドンは、ワシントンDCへと向かう。しかし会場であるはずの連邦議会議事堂の〈ロタンダ〉でラングドンを待ち受けていたのは、ピーターの切断された右手首だった! そこには第一の暗号が。ピーターからあるものを託されたラングドンは、CIA保安局局長から、国家の安全保障に関わる暗号解読を依頼されるが。<上巻>
フリーメイソンの最高位、ピーター・ソロモンを人質に取ったマラークと名乗る謎の男は、“古の神秘”に至る門を解き放てとラングドンに命じた。いっぽうピーターの妹・キャサリンは、研究所に侵入した暴漢に襲われる。ソロモン家の血塗られた過去、代々受け継がれた石のお守りの秘密。ピーターを救うには暗号を解読するしかない! アメリカ建国の祖が首都・ワシントンDCにちりばめた象徴に、ラングドンが立ち向かう。<中巻>
国家の安全保障のため拉致犯の要求に従うよう、CIA保安局局長サトウに迫られたラングドンは、暗号に導かれ、連邦議会議事堂の地下室へと赴く。伝説のピラミッドの存在を目の当たりにし、刻限ぎりぎりに隠された暗号を見抜いたキャサリンとラングドンだが、その身には拉致犯・マラークの魔の手が迫っていた!絶体絶命の危機の中、建国以来護られてきた「人類最大の至宝」がいま明らかになる──。人間、宗教、科学を巡る衝撃作。<下巻>


2022年7月に読んだ8作目で、最後の本です。
上中下の3冊なので、7月はなんとか10冊読めた、ということになります。

「天使と悪魔」 (上) (中) (下) (角川文庫)
「ダ・ヴィンチ・コード」(上) (中) (下) (角川文庫)
に続く、ラングドン・シリーズ第3作です。
このシリーズは、トム・ハンクス主演の映画で世界的にとても有名ですが、この「ロスト・シンボル」は劇場映画化されていないようですね。映像化されてはいるようですが、主演はトム・ハンクスではないようです。

今回のテーマは、フリーメイソン(だけではないですけれども)。
いやあ、わくわくしますね。
フリーメイソンといえば、ミステリとは縁が深いというか、ミステリに限らず、”謎”を志向する物語にはしばしば登場する、実在の秘密結社ですね。

ダン・ブラウンは、いろいろな史実であったり、事実であったり、様々な要素を組み合わせて、新しい見方、構図を示すところに大きな見どころがあり、人気を博しているのですが、今回は新たな要素を持ち込んでいます。
SFの領域になるのでしょうか? 
純粋知性科学者となっていますが、主要登場人物の一人である、キャサリン・ソロモンが研究しているのが、人間の精神。
「精神は物質を変容しうるエネルギーを生み出せる」(下巻326ページ)
というのですから、これは(現在の常識的な──と書いておきます──)科学の領域を超えていると思われます。
もっとも、この部分は「いまはまだ黙殺されている」(下巻326ページ)ことになっており、物語の展開そのものの理解を(読者にとって)阻害するものではありませんので、ご安心を。

ただ、この要素のおかげで、想像の翼の拡げ具合は広がったと思うのですが、一方で、読者の許容範囲、と言って悪ければ、想定範囲を逸脱してしまう危険性もはらんでいます。
いろいろなものごとが想定外につながっていく面白さがダン・ブラウンの作品の醍醐味ではあるのですが、正直ここまで拡げてしまうと、なんでもありだよね、そりゃ繋げられるよね、という感想になってしまいました。

といいつつ、とても楽しんで上中下巻1000ページほどを読んだのですから、ないものねだりというか、単なるいちゃもんですよね、これは。
また拡げ切った想像力で楽しませてほしいです。

それにしても、本書を読んでフリーメイソンが怪しくなくなってしまったのですが、これでよいのでしょうか?(笑)


<蛇足1>
「それはアメリカの子供たちの興味を掻き立てて、このすばらしい歴史的建造物を見にくるよう仕向けたいと願って書いたもので、この記事──『モーセ、月の石、スター・ウォーズ』──は、何年も旅行ガイドブックに転載されていた。
 ワシントン国立大聖堂。ラングドンは久しぶりにここへ帰ってきて、意外なほど胸の高鳴りを覚えた。」(中巻244ページ)
ワシントン国立大聖堂、行ってみたいですね。
特にダース・ベイダーの怪物像を見てみたいです(笑)。

<蛇足2>
初期のキリスト教徒でさえ、マタイ伝十九章十二節でイエス自身がその美徳を褒めたたえるのを聞いている。“天国のためにみずからなりたる閹人(えんじん)あり、これを受け入れうる者は受け入るべし”と。」(中巻298ページ)
閹人がわからなかったのですが、「去勢されて宮廷の後宮に仕える男子。 閹者(えんしゃ)。 宦官(かんがん)。」ということなのですね。宦官は知っていましたが、西洋にもあったのですね。
「みずから去勢したギリシャ神話のアッティスの例に見られるとおり、永遠の生命を得るためには男女の肉体世界と決別する必要がある。」(中巻298ページ)
というところの後に続くので、どういう場面で出てくるのか、お分かりいただけると思います。




原題:The Lost Symbol
作者:Dan Brown
刊行:2009年
翻訳:越前敏弥







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