ブルーローズは眠らない [日本の作家 あ行]
<カバー裏あらすじ>
ジェリーフィッシュ事件後、閑職に回されたフラッグスタッフ署の刑事・マリアと漣。ふたりは不可能と言われた青いバラを同時期に作出したという、テニエル博士とクリーヴランド牧師を捜査することに。ところが両者と面談したのち、施錠されバラの蔓が壁と窓を覆った密室状態の温室の中で、切断された首が見つかり……。『ジェリーフィッシュは凍らない』に続くシリーズ第二弾!
2022年10月に読んだ4冊目の本です。
市川憂人「ブルーローズは眠らない」 (創元推理文庫)。
「2018 本格ミステリ・ベスト10」第5位
「ジェリーフィッシュは凍らない」(創元推理文庫)(感想ページはこちら)に続くシリーズということで、警戒して読みますよね。
2つの視点から綴られるストーリーということである程度想像がつくのですが、作者は一段上手でした。
記憶力が悪くて覚えていないだけかもしれないのですが、これ世界初の試みではなかろうかと思うのです。
ここまで周到に組み立てるのは大変だっただろうな、と驚嘆。
ネタばれになるので、詳細を書けないのが残念なほどです。
ただ、ちょっとズルくないですか?←負け惜しみ
アンフェアとまでは言えないとは思うのですが、ズルいです←負け惜しみ。
負け惜しみついでに。
舞台は80年代のパラレルワールド的世界で、U国(地名などからしてアメリカ合衆国ですね)。探偵役がアリスと漣で、漣の出身はJ国(アサガオの話も出てきますが、明らかに日本)。
実は前作「ジェリーフィッシュは凍らない」を読んだ時も感じていたのですが、この設定だと会話は英語ですよね。
こうやって我々日本の読者に向けて出版されていますから、当然日本語で綴られているわけで、英語で会話や記録が行われていることを前提に考えると、(ミステリとしての本筋を離れたところが多いですが)突っ込みどころがあちこちにあるのです。それはある程度やむを得ない。
なので、それを逆手に取ってあると、ズルいと感じてしまうんですよね。
と、さんざんズルい、ズルいと騒いでおきながら、ですが、それでもこういう方向性の作品は大好きです。
快調に作品を発表されているようなので、追いかけていきます。
ところで、福井健太の解説によると、前作「ジェリーフィッシュは凍らない」の感想で伏せておいた日本の某有名作の名前が、同書の文庫本の帯には書かれているそうですね。
無駄なことをしていたな、と我ながら笑ってしまいました。
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