SSブログ

メアリー-ケイト [海外の作家 さ行]


メアリー‐ケイト (ハヤカワ・ミステリ文庫)

メアリー‐ケイト (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/11/01
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
毒を盛ったから、あなた十時間後に死ぬわ──バーで飲んでいたジャックは、隣の席に座った美女の言葉に耳を疑った。さらに、解毒剤がほしければいうことをきけと言い、奇妙奇天烈な要求をしてくる。片時も離れず、女がトイレに行く時も一緒についてこいというのだ。やがてムラムラしたジャックは彼女に襲いかかってしまう。そんな馬鹿なことをしている間に悲劇は着々と進行し……予測不可能なタイムリミット・サスペンス。


空港のバーで隣に座ったブロンドの美女ケリーに
「毒を盛ったから、あなた十時間後に死ぬわ」
と言われてしまったジャック。
開巻早々のこの場面で、つかみはOK。
なんだそれ、という感じではありますが、もう一つ、SF的な発想の、これまたとんでもないアイデアが(一応伏せておきます)盛り込まれていまして、ぶっ飛んだ設定で、悲劇のジャックはもとよりこちらを振り回してくれます。
ひょっとしてAIDSにインスピレーションを受けたのかな? という感じも受けたのですが、原著が2006年ということなので、それはないですね。

このジャック視点に加えて、国土安全保障省の諜報組織CI−6に所属する工作員コワルスキーの視点でも物語が語られます。
こちらは、どうやらケリーを追えという指示を受けているよう。SF的設定の方と関連があるらしいことが想像できます。
このコワルスキーという人物、平気で殺人も犯すというか任務として殺人も行っているという設定でして、ジャックから見た時の敵か味方ががわからず、まさにサスペンス(宙づり)状態でものがたりが進んでいきます。

関係者が増え、謎が増え、物語の拡がりが感じられても、ジャックは窮地からなかなか抜け出せず、というか、いよいよ深みにはまっていく一方で、タイムリミット・サスペンスとしての緊迫感がすごい。
この物語はどうなってしまうのだろう、どこに着地するのだろう、と不安にもなるのですが、エンターテイメントとして見事なエンディングを迎えます。

ドゥエイン・スウィアジンスキーの作品はいくつか訳されているので、もっと読んでみたいですね。

<蛇足>
「六十から七十パウンドの体重の子供のための、組みこみ式のブースターシートがあった。」(63ページ)
チャイルドシートとは違う、ブースターシートというのがあるのですね。
重さの単位の Pound は日本語では普通ポンドと表記されると思いますが、ここでは発音に忠実にパウンドと書かれていますね。1ポンドは 453.592g らしいです。
アメリカも早くメートル法にしましょう!


原題:The Blonde
作者:Duane Swierczynski
刊行:2006年
翻訳:公手成幸

nice!(14)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 14

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。