死体にもカバーを [海外の作家 あ行]
<カバー裏あらすじ>
心機一転、〈ページ・ターナーズ〉書店で働き始めたワケありのヘレン。困ったお客と、もっと困った最低オーナーにもめげず、日々奮闘する彼女に、またも災難が降りかかる。アパートでシロアリが大発生したかと思えば、お次はくだんの最低オーナーが殺される始末。おまけに容疑者として逮捕されたのは意外な人物で……!? 南フロリダで職を転々、必死に働くヒロインの活躍、第二弾。
2022年12月に読んだ3冊目の本です。
「死ぬまでお買物」 (創元推理文庫)(感想ページはこちら)に続くシリーズ第2弾。
主人公ヘレンの設定に特色のあるシリーズです。
自分の居所を見つけられないようにしないといけない状況なので、活動にいろいろ制約があり、就ける職業も限られる。
職業を転々とするという趣向になっていて、今回は本屋の店員。
支えてくれるのは住んでいる<ザ・コロナード・トロピック・アパートメント>の面々。
事件は、その書店のオーナーが殺される、というもので、こいつがなんとも嫌なやつというのがポイントですね。
殺される理由なんかいくらでもありそうな人物という設定なのですが、こういう場合は犯人になりそうな怪しげな容疑者がわんさかいて、捜査は右往左往というのが定番の展開かと思うところ、実際に検討される容疑者は絞られているのがポイントですね。
ミステリとしての精度はたいしたことないのですが、主人公たちの日常の(といってもわれわれの日常とは一味も二味も違いますが)てんやわんやのさなかにチョロチョロと謎解きに取り組むゆるさを楽しんでしまいました。
主人公たちのキャラクターがそうさせてくれるのでしょう。
シリーズはこのあと
「おかけになった犯行は」 (創元推理文庫)
「結婚は殺人の現場」 (創元推理文庫)
と第4作まで翻訳がされたのですが、いずれももう品切・絶版状態です。
復刊そして続刊を期待したいです。
<蛇足1>
「ヘレンがようやくレジを決算したのは二時だった。」(196ページ)
レジで、一日の売上と手元の現金が合うかどうかを突合する作業(いわゆる「締める」という作業ですね)のことをいうのだと思うのですが、レジを「決算する」というのでしょうか?
<蛇足2>
「昼間のきれいな蝶は消えてしまった。いまは皮の翼を持つ生き物が腹の中ではばたき、不安をかきたてている。」(206ページ)
皮の翼を持つ生き物って何でしょう? わかりません。
皮翼目という分類になる生き物がいるみたいなので、それでしょうか? こういう言い回しが英語にはあるのかな?
原題:Murder Between the Covers
作者:Elaine Viets
刊行:2004年
訳者:中村有希
タグ:エレイン・ヴィエッツ
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