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推理は空から舞い降りる 浪速国際空港へようこそ [日本の作家 喜多喜久]

推理は空から舞い降りる 浪速国際空港へようこそ (宝島社文庫)

推理は空から舞い降りる 浪速国際空港へようこそ (宝島社文庫)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2018/05/08
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
新米航空管制官の藤宮つばさは、優秀な管制官だった叔母の真紀子に憧れ、一人前の管制官となるべく日夜奮闘していた。同期の情報官・戸神大地とともに、鳥が原因のエンジントラブルや外国要人専用機の離陸失敗事故など、空港で発生する様々なトラブルを乗り越えていく。つばさは、叔母が口にした「管制官に一番必要なもの」を見出すことができるのか。空港を舞台にしたお仕事ミステリー!


喜多喜久というと、化学、科学系の話が中心でしたので、こういうお仕事ミステリを書くのは少々意外でした。
4つのお話があり、連作長編の形をとっています。
帯に短く各話が紹介されています。
Flight 01 「ウォックス・デイ」ある日、着陸トラブルを起こしかけたつばさは、イヤホンから聞こえてきた謎の声に救われる。果たして、声の主は誰だったのか。
Flight 02 「招かれざる侵入者たち」二年前から減少していたバードストライクが、今年になって増加した理由とは? 一方、空港内では謎の白い生物が目撃され……。
Flight 03 「遭難信号は鳴りやまない」強風と視界不良への対応に追われる管制室に、不定期に鳴り響く発信源不明の遭難信号の正体とは?
Flight 04 「ライト・スタッフ」大統領専用機が滑走路で緊急停止し、離陸に失敗、原因が解明されないまま、つばさだけが事故の責任を問われることに……。

扱われている事件(?) は、「日常の謎」と分類してよさそうなものなのですが、お仕事ミステリとして舞台が空港となると、なぜでしょう、ちっとも「日常の謎」のようには感じませんでした。
個人的感覚として、空港自体が非日常だからでしょうか??
ところで、舞台となる空港、浪速国際空港なのですが、勝手に関空なんだろうと思い込んでいましたが、関空ではなく、神戸空港なんですね。

お仕事ミステリとして、主人公である藤宮つばさの職業、管制官の仕事が描かれ、尊敬する叔母が言っていた「管制官に一番必要なもの」がなにかを探っていく物語になりますが、興味深かったのは、つばさの同期大地の仕事ですね。
航空管制運行情報官。略して情報官。「安全のため」だと考えられる案件はすべて、情報官の業務の一部となる(27ページ)らしいです。
名探偵役に向いてますよね。実際、大地が謎を解くのが多いですね。
という意味では、推理は空から舞い降りる、のではなくて、地上から解かれるんですけどね。

日常の謎だから、というわけではないでしょうが、各話なだらかに謎が解かれていきます。
大地くん、いずれもなかなか目の付け処がいいですよ。
Flight 01「ウォックス・デイ」は、ラテン語で「神の声」(為念、色を変えておきます)という意味らしいです。
Flight 02の侵入者は読者には見当がつきやすくなっていますが(物語の構成上)、白い生物、というのが難物ですね。
Flight 03の遭難信号が鳴るタイミングを潮の満ち引き(完全なネタバレなので色を変えておきます)と結びつけるのはさすがです。
Flight 04は、謎を解くというよりはつきとめる、という感じのストーリーでしたが、同期の支えあい?はいいですよね。
最後に、「管制官に一番必要なもの」に、つばさなりにたどり着くわけですが、これ、今一ピンと来ないというか、おおっ、という感じにならなかったのが残念でしたね。

最後に、帯に「文庫書下ろし!」と謳ってあるのですが、巻末を見ると、いずれも雑誌(なのか、ムックなのかわかりませんが)に掲載されたものを収録したものであることがわかります。
このケースで、書き下ろし、と謳うのは詐欺ではないかと思うのですが......
(作者のせいではなく、出版社が悪いのですが)


<蛇足1>
空港は最新鋭の科学技術に支えられている。いわば、オカルトからは最も縁遠い場所の一つだ。(158ページ)
この表現を間違いだと思う人はいらっしゃらないかもしれませんが、個人的にはどうしても気になりますね。最も~の一つ......

<蛇足2>
「エトランゼ」とは「旅人」の意味を持つフランス語だ。(212ページ)
確かにその通りです。
でも個人的には、エトランゼは、異邦人、という思い込みがありまして......カミュを読んでいるわけではないのですが。




タグ:喜多喜久
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巡礼者パズル [海外の作家 パトリック・クェンティン]


巡礼者パズル (論創海外ミステリ)

巡礼者パズル (論創海外ミステリ)

  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2020/07/16
  • メディア: 単行本

<カバー袖あらすじ>
従軍で精神を病んだダルースは一時的に妻アイリスと離れることを決意。それが功を奏して復調したダルースは、妻のいるメキシコへと発った。アイリスに新しい恋人がいるとも知らずに……。愛と金が絡み合う人間関係に否応なく巻き込まれていくダルース。愛する者のために奮戦する彼を待っている結末とは。本格ミステリ・ファン待望の<パズル・シリーズ>最後の未訳作、ついに登場。


「迷走パズル」 (創元推理文庫)(ブログへのリンクはこちら
「俳優パズル」 (創元推理文庫)(ブログへのリンクはこちら
「人形パズル」 (創元推理文庫)(ブログへのリンクはこちら
「悪女パズル」 (扶桑社ミステリー)(ブログへのリンクはこちら
「悪魔パズル」(論創海外ミステリ)(ブログへのリンクはこちら
に続くシリーズ第6作です。
論創海外ミステリ98。単行本です。
ピーター・ダルースもので、「パズル」とつく最後の作品になります。
完全なる余談、与太話ですが、せっかくだったら邦題を、巡礼者パズルではなく、巡礼パズルにしておいてもらえたら、漢字二文字+パズルで統一されてよかったのにな、なんて思いました。

「悪魔パズル」感想で、エピローグでのピーターとアイリスの会話に不安を感じたと書きましたが、不安的中、この「巡礼者パズル」の冒頭、アイリスとの仲が壊れていることが明かされます。
ああ~。ピーター可哀そうに。いいやつなのに。

舞台はメキシコでして、そこで、アイリスが想いを寄せるイギリスの作家マーティン(両想いです)、マーティンの妻サリー、マーティンの妹マリエッタ、それにどこか怪しげ?なジェイクが絡みます。
主要人物はこれだけで、ほぼこれだけの人間関係の中で物語は進行していきます。

ピーターが落ち込んでいるところに、人間関係がややこしく絡み合っていることもあり、非常に重苦しい雰囲気で話が進んでいきます。
メキシコという土地も、明るい中米という位置づけよりは、混沌の町、といった趣きで、その重苦しさに拍車をかけているみたいです。

この中で、くるくると多重解決のように疑わしい人物が変わっていくという趣向がとられていまして、ミステリとして大満足。
そして真相が、いわゆる「意外な犯人」(ネタバレとは言えないかも、と思いましたが、念のため伏字にします)の1パターンとなっていまして、これにも個人的にはいたく感心しました。ステキです。

ラストシーンも、これ、期待してもいいんですよね。
解説で飯城勇三が、次々作の「女郎蜘蛛」 (創元推理文庫)で、「本作で破局したはずのアイリスと、よりを戻しているのだ。」と書いてありますしね!
よかったよかった。

本書は飯城勇三の解説も素晴らしく、お勧めです。


<2020.10.27追記>
この作品、「本格ミステリ・ベスト10〈2013〉」第1位でした。
1位なのに書き漏らしていてすみません。


原題:Puzzle for Pilgrims
作者:Patrick Quentin
刊行:1947年
訳者:水野恵





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ブルックリンの少女 [海外の作家 ま行]


ブルックリンの少女 (集英社文庫)

ブルックリンの少女 (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2018/06/21
  • メディア: 文庫


<カバー裏あらすじ>
人気小説家のラファエルは、婚約者のアンナと南フランスで休暇を楽しんでいた。なぜか過去をひた隠しにするアンナに彼が詰め寄ると、観念した彼女が差し出したのは衝撃的な光景の写真。そして直後にアンナは失踪。友人の元警部、マルクと共にラファエルが調査を進めると、かつて起きた不審な事件や事故が浮上する。彼女の秘められた半生とはいったい……。フランスの大ベストセラーミステリー。


ぼくが買った文庫本の帯に
「最後の最後までまったく予期していなかった
 どんでん返しに読者は意表を突かれる。--フィガロ紙」
と書いてありまして、さらには「売れ行き絶好調の話題作!」とあります。
正直、読んでみた感想は、そんなに大したどんでん返しでもないなぁ、というものでした。
少なくともこう謳ってあるのを知って読むのに耐えられるほどの強烈などんでん返しではありません。
むしろスピーディーに展開する筋立ての巧みさに焦点を当てた方がいい気がします。

そう。どんでん返しの効果が薄くても、十分おもしろく、楽しめる作品です。

冒頭が衝撃的で、婚約者アンナの秘められた過去を探りつつ、行方を捜す、という話ですが、こういうパターンの話、最近読んでいないな、と思いました。
過去にあった連続少女拉致監禁事件と婚約者のつながりは?

訳者あとがきに「読み終えたとき、実際は三日間しか経過していないことに気づき、呆気にとられる」と書かれているのですが、まったくその通り。わずか三日の出来事とは到底思えません。
それは、婚約者アンナだけではなく、何人かの登場人物の過去が、連続少女拉致監禁事件(とその周辺)を通して鮮やかに浮かび上がってくるからだと思います。
それがスピーディーな筋立てに支えられて、すっと読者に差し出される。訳者が「濃密」と評するのもよくわかります。

言われているどんでん返しも、読者を驚かせるのが主目的というよりは(その点は、すでに申し上げた通り、どんでん返しがあることを前提に読んでしまうと容易に見当がついてしまうのであまり驚かせる効果は見込めません)、登場人物の過去が鮮やかに浮かび上がってくるという特徴の一つとしてとらえるべきではないかな、と感じました。


原題:La fille de Brooklyn
作者:Guillaume Musso
刊行:2016年
訳者:吉田恒雄






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SOTUS その2 [タイ・ドラマ]

タイのボーイズラブ・ドラマ、「SOTUS」 の感想の続きです。

SOTUSシステムの活動の中、いろんな出来事を通してコングとアーティットの仲が深まっていくのですが、それにしたがって、アーティットのありようがどんどん変わっていくところがポイントなんだと思います。
髪型、表情、服装、すべてにおいてリラックスモードに移行していきます。
鬼軍曹からの変化ですから、言ってみれば究極のツンデレ?(笑)
ここで大事なポイントは、これは「強面、強硬だったアーティットが、コングの熱意で変わっていった」ということではなく、「もともと優しいアーティットがSOTUSシステムのために無理やり強面、強硬を演じていたところを、コングのおかげで?本来の自分を出せるようになっていった」ということなんだと思います。そしてそんなアーティットの本当の姿をコングはしっかりと見出し、見つめていた、と。
といいつつ、ここでも「Love by chance / ラブ・バイ・チャンス」の感想(リンクはこちら)で書いたのと同じことですが、理解してくれることへの共感・感情や友情が愛に変わっていくものかどうか、個人的には疑問です。すごくいい友達、親友というレベルになることは容易に想像できるのですが、そこから恋人というステータスになるものかどうか...... まあ、好きって理屈じゃないので、好きになっちゃったものは仕方がない、ということかもしれないとは思うのですが。

ドラマのハイライトシーンは、やはり、ラマ8世橋の上でのキスシーン(EP13)なんでしょうねぇ。
アーティットからコングに、付き合うことをちゃんと認めるシーンです。

[Eng Sub] SOTUS The Series  _ EP_13 [3_4]_Moment.jpg

ネクタイをぐっと掴んで引き寄せる、というのがなかなかカッコいいシーンなのですが、ネクタイだけだと変な引っ張り方・引っ張られ方になるので、ネクタイだけではなくちゃんと(?) ラペルもひっかけて引っ張っているのがリアリティあるなぁ、と思って観ていました。アーティットの右手小指にご注目。撮影にあたって、何度もリハーサルしたんでしょうねぇ(笑)。
先輩の結婚パーティの後という設定ですが、コング、アーティットの服装、着方含めて、よく考えられたシーンだな、と思いました。もちろん、ラマ8世橋の上というロケーションも含めて。

同様にアーティットが仲間の前でコングと付き合っていることを公表する(?) シーン(EP14)もいいですね。

全編ほぼこのコング-アーティット カップルの話で占められているのですが、個人的に魅かれたのは、コングの友人エム (M) のエピソードです。
エムを演じているのは、Thitipoom Techaapaikhun。愛称が New 。
彼のルックスもいいですが、演技がいいな、と思いました。違う役も見てみたいと思いましたね(後で何作品も観ました)。
エムはとても内気な性格という設定で、エムは、女子学生メイ (May) のことが好き。メイはコングのことが好き(コングはご承知の通り、アーティットが好き)、という状況なんですね。
このエム EP1でコングに親切にしてもらったエピソードがあって、そのときのエムの表情から、ひょっとしてエムもコングのことを好きになるという設定なのかな、と思っていましたが、違いました(笑)。
メイがコングに玉砕してしまったあとの、エムとメイとのシーン(EP12)は見ごたえありました。引き込まれましたね。
このメイという女の子(大学生なので、女性というべきかもしれません)、演じているのはNeen Suwanamas。とてもきれいですね。

[Eng Sub] SOTUS The Series  _ EP_12 [4_4]_Moment.jpg

実はこのエム、コング-アーティットの関係にも少し貢献 (?) していまして、エムとコングが話すシーン(EP12) は結構キーとなるエピソードだと思っていて、個人的にはこのシーン大好きです。

[Eng Sub] SOTUS The Series  _ EP_12 [2_4]_Moment.jpg

ここでの会話、アーティットとの関係に思いを馳せて、コングがいろいろ考えるきっかけになっているはずですから。
こういうさりげないシーンもしっかりしていていいドラマだと思いました。

話があちこち飛んで恐縮ですが、BLドラマとはいえメイだけではなく女性陣もしっかり登場します。
しかも、コングたちの仲間の女性たち、主として3人登場するのですが、メイ含めみんなきれい、かわいいんですよね。
下の写真で、こちらを向いて座っている右側が、工学部のスターの女子大生プレー (Praepailin) 、演じているのが Ployshompoo Supasap、愛称 Jan という女優さん。左側が、女子大生マプラン (Maprang) 、演じているのが Maripha Siripool、愛称 Wawa という女優さん。
タイの大学の工学部には、きれいな女性がいっぱいいらっしゃるのでしょうか?
[Eng Sub] SOTUS The Series  _ EP_1 [2_4]_Moment.jpg

手前、こちらに背を向けて座っているのがメイです。
彼女の手にご注目。なんと韓国海苔を持っています。
タイ・ドラマ名物(?) のあからさまな広告宣伝なのですが、韓国海苔の出し方、相当困ったのでしょうね(笑)。大学生がキャンパスで韓国海苔なんて食べるかなぁ?

女子ということでは、
「日本人が言うには おまじないでね
消しゴムに好きな人の名前を書いて
誰にも触られないように全て使い切ったら
恋が叶うんだって」
とマプランが披露(?) するシーン(EP3)があって、ああ、そういうおまじないあったかも、と思いました。


俳優さんの話をもう少しすると...
2gether」で、Sarawat の友人として出ていた役者さん Chanagun Arpornsutinan (愛称が Gunsmile )が、アーティットの仲間として登場しています。
[Eng Sub] SOTUS The Series  _ EP_1 [4_4]_Moment.jpg

ずいぶんイメージが違う登場の仕方ですが、話が進むにつれて、楽しいキャラが表に出てきます。

また、「Love by chance / ラブ・バイ・チャンス」で、Pete につきまとうろくでなしを演じていた役者さん Phurin Ruangvivatjarus (愛称がM)が、コングの仲間として登場しています。
こちらもイメージがずいぶん違いますね。

そうそう、「2gether」で、Tine の兄を演じていた Jirakit Kuariyakul(愛称が Toptap )もずいぶん違ったイメージ、役柄で登場しますよ。

こういう風に同じ俳優さんが違う作品に出ているのを見つけるのもいろいろとタイのドラマをあれこれ観る楽しみの一つになりますね。

このSOTUSは、最初の集団いじめ(?) のバランスが悪くて嫌になってしまうところはあるのですが、そこを通り過ぎてしまえばとても面白いと思えましたね--といいつつ、その集団いじめの最中にコングがアーティットに対して「嫁にする」という爆弾発言!!!をするシーン(EP1)があって、侮れないのですが。
この感想を書くのにちらほら YouTube で見返していたら、見入ってしまって時間をずいぶん費やしてしまいました(笑)。

最後に、音楽ですが、メインの曲、というかオープニングの曲はそれほどでもなかったのですが、下の曲はいいです。



ついでなので、オープニングの曲も貼っておきます(笑)。



タグ:タイBL SOTUS
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SOTUS その1 [タイ・ドラマ]

今日の感想は、タイのボーイズラブ・ドラマ、「SOTUS」 です。




2gether」(ブログの感想ページへのリンクはこちら
Love by chance / ラブ・バイ・チャンス」(ブログの感想ページへのリンクはこちら
につづく、タイBLドラマ第3弾です。
こちらも、タイBLドラマの中でも屈指の名作、らしいです。
もともとタイで2016年の8月から2017年の1月にかけて放送されたようです。
TV局は、GMM One となっています。GMM TVと違うのかどうか、わかりません......日本でいうところの系列であることは間違いないとは思いますが。
MyDramaListからの情報です)

EP1からEP15まで全15話。だいたい各エピソード45分くらいです。
ぼくが観たYouTubeだと、各エピソードが4つのパートに分かれているので、60本観たことになります。

SOTUS.jpg

画面左が工学部の新入生コングホップ(コング) Kongpob。
日本人の耳にはグはほぼ聞こえませんので、コンホップ、の方が音は近いですね。
演じているのは、Prachaya Ruangroj。一般に Singto (シント)と呼ばれているようです。
とてもとても良い役者さんだと思いました。
まずもって表情が豊かで、表情による感情表現に幅があって観ていて心地よいですね。それと、声がいい。大学のスター、ムーンを選出するイベントであるスターコンテスト(ミス、ミスターコンテストですね。女性がスター、男性がムーンです。タイでは一般的なのでしょうか?)で歌うシーンもありますよ(EP5)。1、2曲目は音程が怪しいところがありますが(笑)。
画面右が工学部3年生のアーティット Arthit 。
演じているのは、Perawat Sangpotirat。一般に Krist (クリスト)と呼ばれているようです 。
この二人がカップルになるまでの物語、ということになりますね。

タイの大学(の工学部)で一般的なのかどうかわかりませんが、少なくともこの「SOTUS」では、学部の先輩が後輩を指導するシステムがあり、タイトルの SOTUS もそのシステムにちなんでいます。
コングホップは被指導側、アーティットが指導側です。
ちなみに、SOTUS は、
Seniority / 敬意
Order / 秩序
Tradition / 伝統
Unity / 団結
Spirit / 精神
の頭文字をつなげたものです。

この指導の中で、コングが筋が通らないことに楯突いていって、アーティットとぶつかる、というのがフレームワークで、よくある設定といえばよくある設定なのですが、このシステムがちょっとあまりにも理不尽でびっくりします。
時代錯誤も甚だしい感じ。
指導というよりも、いじめ、嫌がらせ。
コングは特に目をつけられているからか、公衆の面前で「僕は男が好きです」と3回叫ばされ、しかも、そのあとに10人の男子学生に「僕の彼氏になってくれないか」と言わされる始末です。しかも、ちゃんとやったのに、必要なサインはしてもらえない。
これ、もう立派ないじめですよね。
こういう極端なケースを別にしても、男女差もあるでしょうに、腕立て伏せやスクワット、校庭、グランドを走らせるのを一律で、というのはさすがにありえないなー、というところ。
しかも、こういう先輩たちに認められないと、ギアがもらえない。どうもこれを持っていることが工学部生の誇りみたいなんですよね。
いわばギアを人質にして、新入生いじめをしているかのような構造。
ーーちなみに、このギアはこの物語の重要なアイテムでもあります。工学部生の心の象徴でもあり、
「誰かにお前のギアを大切にしたいと言われたらそれはお前の気持ちを大切にしたい、好きだってことだ。」(EP9)と説明されています。ギアを渡すということは、そういうことなんですね。コングはアーティットに自分のギアをさらっと委ねます(笑)(同じくEP9)。

コングは、そんな中でも、一番ターゲットにされているにもかかわらず
「俺だって先輩達のやり方は好きじゃない
 ただ俺は知りたいんだ
 彼らが何のためにやってるのか
 時には目に見えるものだけが真実じゃないってことなんだろうな」
と言って真実を見極めようとします。

一方でアーティットをはじめとする先輩たちの方にも葛藤や裏事情(?) があることが描かれます。
そりゃそうですよね。常識的に考えてありえないことを命令し指示するんだから。
この点でもこのドラマのSOTUSシステムの設定はおかしいと思います。アーティットたちも、もう少し違うプログラムを用意するのではないかと思えるからです--特にアーティットたちの1年生時代が描かれるところまで来ると、この思いが一層強くなります。
目的達成のための手段が間違っている、ということでしょう。一定の乖離はあり得たとして、常識との差があまりにも激しいと、伝えるべき真意が全く伝わらず、指導システムを導入する意味がなくなってしまいます。達成感や連帯感を得るにしては......
SOTUSシステムについて、コングホップがコメントする場面がスターコンテストのところであるのですが(EP5)、この答はいい答だと思うものの、意見を述べているというよりは、なんだか祈りを口にしているかのように思えてしまいました。

このドラマも、この部分で嫌気がさして観るのをやめてしまう人結構いてもおかしくないな、と思えます。SOTUSシステムそのものはEP9まで続くのですが(SOTUSの修了シーンは、相応に感動的です)、本当に苛烈なシーンは一部を除いてEP2くらいで終わるので、そこを観る方も乗り越えていただければ、と思います。

ちょっと中途半端ですが、長くなってきたので明日に続きます。


タグ:タイBL SOTUS
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明日死んだ男 怪異名所巡り 10 [日本の作家 赤川次郎]


明日死んだ男 怪異名所巡り 10

明日死んだ男 怪異名所巡り 10

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/07/26
  • メディア: 新書


<帯紹介文>
高額報酬の仕事があると言われ、高級ホテルの最上階を訪れた女。依頼人のもとに向かうと、「私を殺してほしい」と頼まれて――表題作「明日死んだ男」ほか、全6話。困った人を放っておけない“幽霊と話せる”バスガイド・町田藍が不思議な事件をたちまち解決!人気シリーズ第10巻!


ここから6月に読んだ本となります。
怪異名所巡り第10巻です。
前回感想を書いたのは、「友の墓の上で 怪異名所巡り 8」 (集英社文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)で、第8巻。
「死神と道連れ 怪異名所巡り 9」は感想を書けずじまいです。

シリーズ第10巻の本書には
「過ぎ去りし泉」
「虹の落ちる日」
「賭けられた少女」
「遠い日の面影に」
「円筒の向う側」
「明日死んだ男」
の6編を収録。

いずれも、生きている人間、死んでしまった人間の思いが交錯して哀しみが浮き上がってくる構図になっていますが、帯に「本当にやっかいなのは、生きている人間かもしれません」と書いてある通りですね。
いい意味でのマンネリを楽しむことができます。

ところで、「賭けられた少女」で
「私、人の嘘には敏感なんです。」
と藍がいうところがあります(121ページ)。
霊感がある、だけではなくて、そんな才能もあったのですか、藍には。すごいなー。
いままであまり使っていない才能ですね。こちらも使った作品も期待できるかもしれませんね。

また、ネタバレになると困るのでどの話か特定しないで書きますが、女の子の幽霊について「産むのを諦めた子です。」という説明がされるところがあります。
産むのを諦めた、ということは胎児の状態で堕胎してしまった、ということかと思うのですが、幽霊になると女の子になっている?? 幽霊になってから成長するということでしょうか?


<蛇足1>
「アクセントを与えている白い彫刻--安物は使わない、と主張して、注文主と喧嘩になったが、最終的にはヨーロッパから本物の彫刻を輸入して揃えた。
 やはり良かった。青白い照明の下で、真っ白な安っぽい彫刻は、まるで張子のように見えただろう。本物の色づいた白さは、今の光の下でも少しも派手でない。」(6ページ)
なんとなく言わんとすることはわかる気もしますが、本物の彫刻って、なんでしょうね?

<蛇足2>
安全バーが上がったままの状態で、ジェットコースターに藍が乗っているシーンがあるのですが、そしてそれはとても怖いなと思うのですが、宙返りすることを特に恐れているんですよね、藍は。
でもジェットコースターの仕組みからして、宙返りの際には遠心力が働いて、止まりでもしない限り落ちることはなく、普通のカーブよりも宙返りの方が怖くないのでは、と思ってしまったのですが......

<蛇足3>
「お疲れさまでした」
<すずめバス>のバスガイド、町田藍は、バスの外に立って、降りてくる客一人一人に、
「ありがとうございました」
と、頭を下げていた。(214ページ)
というシーンがあります。
一瞬、「お疲れさまでした」と発言したのが町田藍かな、と思って、嫌な気分になったのですが、違いましたね。よかった、よかった。
異論はあるのだと思いますが、バスガイドが客にかける言葉が「お疲れさまでした」であってはいけません。「ありがとうございました」でなければね。

<蛇足4>
「バスガイドの仕事は、まだ終ってないのよ」
「営業所に戻って、報告して、バスを洗う。それでやっと終わりなの。」(215ページ)
バスを洗うって、大変ですね......




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ひとり吹奏楽部 ハルチカ番外篇 [日本の作家 初野晴]


ひとり吹奏楽部 ハルチカ番外篇 「ハルチカ」シリーズ (角川文庫)

ひとり吹奏楽部 ハルチカ番外篇 「ハルチカ」シリーズ (角川文庫)

  • 作者: 初野 晴
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/02/25
  • メディア: 文庫


<カバー裏あらすじ>
マレンと成島の夢は、穂村と上条の夢を叶えることだ――。部を引退した片桐元部長から告げられ、来年のコンクールへの決意を新たにする芹澤直子。ギクシャクした関係を続けるカイユと後藤朱里。部の垣根を越えてある事件を解決するマレンと名越。そして部のまとめ役の成島美代子……。清水南高校吹奏楽部に運命的に集まった個性的なメンバー。その知られざる青春と日常の謎を描く、大人気シリーズ書き下ろし番外篇!


「退出ゲーム」 (角川文庫) (感想のページへのリンクはこちら
「初恋ソムリエ」 (角川文庫)(感想のページへのリンクはこちら
「空想オルガン」 (角川文庫)(感想のページへのリンクはこちら
「千年ジュリエット」 (角川文庫)(感想のページへのリンクはこちら
「惑星カロン」 (角川文庫)(感想のページへのリンクはこちら
に続くハル・チカシリーズ第6弾にして、番外編。
ハル・チカではない登場人物たちに焦点のあたった連作になっています。

「ポチ犯科帳 -檜山界雄×後藤朱里」
「風変わりな再会の集い -芹澤直子×片桐圭介」
「掌編 穂村千夏は戯曲の没ネタを回収する」
「巡るピクトグラム -マレン・セイ×名越俊也」
「ひとり吹奏楽部 -成島美代子×???」
の5編収録。

「ポチ犯科帳 -檜山界雄×後藤朱里」は、タイトルから連想されますとおり、犬が登場します。
コーギーの引き取り先探し、がメインですが、犬好きのおばさんが飼っている犬の名前が、おまさ、お千代、おさわ、お豊、そして鬼平と、「鬼平犯科帳」の登場人物からつけている、っていうのがふるってますね。

「風変わりな再会の集い -芹澤直子×片桐圭介」は、居合わせた駄菓子屋での怪しい出来事の顛末を描いています。ちょっとした寸劇といったところでしょうか。
本筋のストーリーよりも、
「ピアノって鍵盤を押しただけでいつも同じ高さの音が出る便利な楽器なの。だから音楽家はピアノの勉強をする。絶対音感より、絶対音高なのよ。それにピアノは音楽の三要素--旋律(メロディー)、リズム、和音(ハーモニー)を同時に表現できる万能の楽器でもあるのよ。ピアノのある家からは音楽家が育ちやすいの。楽器の中でも特別だと思って。」(93ページ)
と芹澤直子が片桐圭介に説明するセリフですが印象に残りました。
うーん、なるほどー。ピアノって、すごいですね。

「掌編 穂村千夏は戯曲の没ネタを回収する」は、間奏曲、というか、お口直し?

「巡るピクトグラム -マレン・セイ×名越俊也」は、扱っているテーマが、ベルマーク。身近なようで、縁遠い存在のベルマーク。
今もあるんですかねー? というと、作中人物に叱られますね。
出てくるエピソード、実話をもとにされているのでしょうか? 現実感漂うあたり、ステキだなと思いました。

「ひとり吹奏楽部 -成島美代子×???」は、昔の部の日誌に
「あえて、困難や逆境を乗り越えられるひとのタイプを考えてみた。」
「ひとりではだめだ。この五人のタイプがそろわないと、意味がない。この五人がそろえば、優秀な指導者が去っても、部員が減っても、なんとか持ちこたえることができる。
 いまから記す。
<ファイター>=闘うひと
<シンカー>=考えるひと
<ビリーバー>=信じるひと
<コネクター>=つなぐひと
<リアリスト>=現実的なひと」(227ページ)
と書いたモチヅキという人物に思いをはせるエピソードです。これが、清水南高校吹奏楽部の今を映し出ているという趣向ですね。
「私たちは悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ。」(209ページ)という冒頭の引用が、視点人物である成島の背景にマッチして印象的でした。

このあとシリーズは出ていないようです。
期待していますので、続刊を早くお願いします!


<蛇足1>
「音色が悪くなったり低音の伸びがなくなったら交換時期になる。」(17ページ)
「お金のためになにかを犠牲にしたり後回しにする現象はよくない。」(152ページ)
「技術が低かったり、人数合わせの奏者を入れるくらいなら、最初から不要だという極論さえある。」(218ページ)
徹底して、「~たり」は単独使用になっていますね。「~たり~たり」としないと、文章のリズムが悪くなって居心地が悪い、ということはないのでしょうか?

<蛇足2>
ティンパニのチューニング・ボルトについて、カイユが
「ボルトに下手に油さすと、かえって演奏中にゆるんじゃうかもしれないだろ。すこし錆びてきたあたりが調子いいんだ。」(16ページ)
というシーンがあり、本当ですか!? と思いました。と同時に、そうかも、と素人ながら思ったり。




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少年検閲官 [日本の作家 か行]

少年検閲官 (創元推理文庫)

少年検閲官 (創元推理文庫)

  • 作者: 北山 猛邦
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/08/22
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
旅を続ける英国人少年クリスは、小さな町で家々の扉や壁に赤い十字架のような印が残されている不可解な事件に遭遇する。奇怪な首なし屍体の目撃情報も飛び交う中、クリスはミステリを検閲するために育てられた少年エノに出会うが……。書物が駆逐される世界の中で繰り広げられる、少年たちの探偵物語。本格ミステリの未来を担う気鋭の著者の野心作、「少年検閲官」連作第一の事件。


書物が駆逐される世界、というと「華氏451度」(ブログの感想ページへのリンクはこちら)ですが、特にミステリがターゲットになっている、というのがおもしろい設定ですね。
かかるディストピアにおける小さな町が舞台になっています。
不思議な雰囲気をたたえていて、少年を主人公にしているので一層そう感じるのかもしれませんが、不思議な詩情が漂っています。
事件は、かなり陰惨なものなのですが。

解決は、この世界設定ならではのものになっていまして、よかったですね。
だから、手放しで称賛、と行きたいところですが、残念ながらそうはいきません。
こういう架空の世界のもとにミステリを構築するって、難しいですよね。
なかなかおもしろい着眼点から真相を作り出されているな、と思うものの、無理が多すぎますね、この作品の場合は。

でも、じゃあ、つまらなかったか、と言われると、強くNOです。
とてもおもしろかった。
無理が多いといった真相も、おそらくわざとなんじゃないかな、と。

そしてなにより、クリスとエノ、二人の交流が気になるのですね。
三部作となるシリーズらしいので、今後に注目ですが、第二作「オルゴーリェンヌ」 (ミステリ・フロンティア)が出た後、未だ第三作は出ていないようです。


<蛇足1>
「英国の銀行が発行しているキャッシュカードだ。そのまま通貨として利用することができる。」(56ページ)
キャッシュカードがそのまま通貨として使える......どうこうことなのか理解できませんでした。
キャッシュカードが、デビットカードとして使える、というのはわかりますが、そのまま通貨として???

<蛇足2>
「書物が残酷なことを教えたり、人を乱暴な性格に変えるなんて、きっと嘘だよ。」(123ページ)
「たり」の使い方が不正確ですね。129ページでは、「父親に怒られたり注意されたりした記憶がほとんどない」と正確に使われているのですが。
一生懸命という表記も43ページにあります。



タグ:北山猛邦
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Love by chance / ラブ・バイ・チャンス その2 [タイ・ドラマ]

「Love by chance」の感想、その2です。

このシリーズ、その1で書いたカップルの話も面白いのですが、このメインたちをとりまく面々がとても面白い。スピンオフができるのも当然、という感じがします。

ファンのかたが作っていらっしゃるのだと思うのですが、この Love by chance には、Facebookのページがありまして、人物相関図(?) が載っています。31179428_1993929273969125_5692228506528776192_n.jpg

特に、一番下中央の、Ae の友人たち3人がとても楽しい。
彼らの出てくるシーンは、笑いのパートとしてよいアクセントになっています。
仲間に入れてほしいくらいです。

あと、音楽も印象的でした。
毒にも薬にもならない音楽だ、という人もいらっしゃるであろう曲ですが、肩の凝らない爽やかな曲で気に入っています。
一番気に入ったのが、これ ↓。



これ以外の曲もなかなかいいですよ。





顔が好きじゃない、なんてコメントもしてしまっておりますが、それは所詮見た目だけの話、顔なんてエピソードを重ねるごとに見慣れて気にならなくなります。(それにしても、「2gether」は顔面偏差値が高かったのだなぁ、と改めて思いました)
「Love by chance」、とてもおもしろかったです。


最後にタイトルの Love by chance。「偶然の恋」という訳を当てている例もあるようで、それはその通りなのですが、感覚的に、「偶然の」というよりは「思いがけない恋」とか「飛び込んできた恋」とかの方がしっくりきます。

タイBLドラマ「ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance」日本公式アカウントというのも Twitter にあるのですね。
トップには「爆発的な人気を誇ったタイ発BLドラマ「ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance」の日本公式アカウントです[わーい(嬉しい顔)] DVD-BOX好評発売中[ぴかぴか(新しい)](音声:タイ語/日本語字幕) 4月2日からアジアドラマティックTVで日本初放!!」と書かれています。

日本ではDVDが売られているようですね。

ラブ・バイ・チャンス / Love By Chance  DVD-BOX

ラブ・バイ・チャンス / Love By Chance DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2020/02/04
  • メディア: DVD




<蛇足>
Tin が、Ae たちのことを蔑んで、タイ野郎と呼ぶシーンが何度かあるのですが、全員タイ人ですよね?
英語字幕では、Those Thai Programs となっているので、なにか貧困層向けの特別な大学進学制度が用意されているのかな、と思ってネットでちょっと調べてみたのですがわかりませんでした。

<蛇足2>
露骨な宣伝があるのが、タイ・ドラマの特徴なのでは、と思いますが、この「Love by chance」でも何度も見られます。特に、CATHY DOLLというブランドの洗顔料の宣伝のためでしょう、Can の洗顔シーンが挟み込まれたのには大笑いしました。そんな洗顔料、持ち歩いていませんって......

<蛇足3>
Ae の同室の友人 Pond がAV好きという設定になっていまして、特に日本のAVがお気に入りのようです。というより、日本のAVはタイで人気なのでしょうか? Pond や Ae の寮の中でも人気みたいですね。
MiyabiというAV女優の固有名詞が出てきます。タイで有名なのでしょうか?
この時代でも、まだDVDなんですね。インターネットではなく......




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Love by chance / ラブ・バイ・チャンス その1 [タイ・ドラマ]

今日の感想は、タイのボーイズラブ・ドラマ、「Love by chance」 です。



2gether」のおかげで、すっかりタイ・ドラマ好きになってしまいました。
本題(?) のミステリをちっとも読まずに、あれこれタイ・ドラマを見漁っていました。
ずいぶん観たので、ボーイズラブにも抵抗はなくなってきました。というか、もともと適応があったんでしょうけれども(笑)。

「2gether [タイ・ドラマ]  追加の感想」(リンクはこちら)にも書いたように、タイのドラマ(特にBL)に関しては、日本の方もいろいろとネットに書いておられるので、それらを参考に何を観るか考えました。

「2gether」 の次に観たのが、この 「Love by chance」 です。
タイBLドラマの中でも屈指の名作、らしいです。
特に参考にさせていただいたのが、BLドラマほびっと「ラブ・バイ・チャンス 視聴感想 愛する人に出会えた幸せの重み 喜びに満ちたボーイズロマンス」です。
「まさかの17才、主演Perthの演技力にひれ伏す」と書かれています!
BLドラマほびっとのHPは、とても充実していてわかりやすいので、初心者にうってつけです!(いつもながら、勝手リンクで恐縮です)

もともとタイで2018年の8月から11月にかけて放送されたようです。「2gether」と同じ GMM TVです。
EP1からEP14まで全14話。だいたい各エピソード50分くらいです。(MyDramaListからの情報です)
ぼくが観たYoutubeだと、各エピソードが4つのパート(最後のエピソード14のみ5つのパート)に分かれているので、57本観たことになります。

kkxobf.jpg

画像でお分かりだと思いますが、大学を舞台に、4組のカップル(?) が描かれます。
メインは、左上の二人。
左側がお金持ちの世間知らずのおぼっちゃま Pete。ベンツで大学に通ってます! Gayです。それが悩みだった、という設定。
右側が庶民(!) で正義感の強いまっすぐな青年 Ae (Aey という表記もあるようです。Youtube の字幕は Ae です)。この庶民の方が、演技力にひれ伏すとされた Perth 君です。
ちなみに、おぼっちゃまの方の Saint 君は、かなり人気の俳優さんのようで、いろんな作品に出ているようです。
この Ae 青年は、好感の持てる性格設定になっているのですが、どうも個人的に Pete が好きになれなかった......いくら世間知らずでも、ここまでということはないんじゃないの? という感じですね。大学生の日常という身近な設定であるにも関わらず、リアリティが吹っ飛んでしまった気がします。もっともそのおかげで Ae のいうことをなんでも素直に聞くんですけどね。
Pete 役の Saint 君の顔も好きじゃないんですよね......(ああ、言ってしまった)
そういう好き嫌いを置いておくと、この二人のストーリーは、極めてナチュラルに進みまして、自転車での接触事故で知り合って、どんどん仲良くなって、深まっていく、という王道中の王道の展開。
演技力は Perth 君だけではなく、この Saint 君もすごいな、と思えました。
Ae と Pete のシーンは、とてもナチュラルな感じがしました。すっと感情移入できますね。
イライラもモヤモヤも、弾けるような喜びの気持ちもこみ上げるようなじわじわ来る嬉しい気持ちも、しっかり伝わってきます。
車の中でのファーストキスのシーン(EP4)も、いいなぁと素直に思えました。
(ただし、個人的には、Ae が Pete のことを心配していたところから、愛へと移り変わっていくのは、ちょっと理解を超えています。友人としての心配、守ってやるという気持ちは、そんな簡単に愛へとは変わらないのではないかと思ってしまうのですが。実はこれ、いろんなタイBLドラマを観て、共通して思うことでして、どのドラマでも、すっと愛へ変わっていくのが個人的にはとても不思議です。そういうものだ、として観るのがよいのでしょうね。)

カップルとしては、右上の二人の方が興味深かったですね。
左側がサッカー&友だち大好き少年で、少々頭の悪そうな(少々、ではないかもしれませんが)Can。Ae 以上にまっすぐといえる設定かもしれません。ピュアといえばピュアなんですけど、ピュアというよりは原語のニュアンスのナイーヴでしょうか。サッカーのキャプテンからは、多動症のちびっことか言われちゃっています(笑)。俳優は Plan 君。こういう子供っぽい顔好きですね。でも、こんな童顔なのに身長高いようで、ちょっと不思議です。174cmと書いてあるのを見つけました。
一方で、右側はお金持ちの御曹司 Tin。次男坊ですが。見事に曲がった育ち方をしております(笑)。結構トラウマチックなエピソードも盛り込まれていてかわいそうな感じです。「誰も信じなければ傷つくこともない」なんてセリフも吐きます。ちなみに、こちらの車はBMW。
こちらの俳優さんは Mean 君。見事に韓流スターみたいな顔している俳優さんです。韓流スターの顔って、整っているとは思うものの、不自然というか、人工的というか過度に手がかかっている感じがして好きじゃないんですよね。ああ、またもや言ってしまった。
犬猿の仲から、なぜか仲良くなっていく、というこれまた王道パターンを歩むのですが、あくまで鈍感な Can が Tin に押されてわけがわからなくなっていく、というのが趣深いですね。あんだけキスされまくったら、混乱もするだろうな......でも、無防備ですよね。そんな簡単にキスってされませんよね!? 避けるの簡単だろうに。
一方で、Tin の方も 自由な(?) Can に振り回されるような面もあって、なかなか見ごたえのあるカップルかな、と。
この二人のパートは、名シーンと言いたくなる場面が数多くあります。Tin の家でキスするシーンとか、妙なリアリティがありましたね。こんなキスシーンのあとで、あのラストは......
そのラスト、とても意外な終わり方をしまして、続きが気になるところでしたが、「Love by chance」 は、「A Chance to Love」 という名前でシーズン2 が放送されるようで、そこでは、この Tin & Can のカップルがメインを張るようです。これは楽しみ。

あとの2つのカップルは、まあ、おまけみたいなもんですね、というとファンの方には叱られてしまうのでしょうが、個人的にはあまり......でした。
高校生のくせに、大学生 Techno を狙って落とそうとする左下の左側 Kengkla の設定は面白いと思いましたが(笑)。かなりあくどいやつです。ちなみに、狙われる Techno の顔も好きじゃなかった。
右下の二人は、血のつながっていない兄弟、という設定で、弟である右側(上側?)の Tar に陰がある。兄 Tun はなんとかしようと努力するんだけれど......という感じ。(Tar の裏事情については、別のドラマ「TharnType」で扱われていました。後で観ました。)これまた、ちなみに Tar 役の俳優の顔も好きじゃないですね。
なんか、どのカップルも片側の顔を好きじゃないって言ってしまっていますが。まあ、顔は好き好きですし、顔が第一要素でもありませんから!

長くなってきたので、続きはその2へ。


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