三世代探偵団 枯れた花のワルツ [日本の作家 赤川次郎]
<帯あらすじ>
個性爆発の三世代女子を、事件が放っておいてくれない。
天才画家の祖母、恋するマイペース主婦の母と暮らす女子高生・天本有里。祖母が壁画を手がけた病院で、有里は祖母と同世代の大女優・沢柳布子に出会う。布子が主演する映画の撮影を見学することになった有里だが、撮影は波瀾の連続。妻を殺した容疑で逮捕されたエキストラ、金の無心にくる昔の相手役。さらに新たな殺人事件がおきて……。
単行本です。
「三世代探偵団 次の扉に棲む死神」(感想ページはこちら)
に続くシリーズ第2弾です。
シリーズ快調ではありますが、登場人物といい、起こる事件と言いいかにも赤川次郎という作品になっていまして、快調ではあるんですが、新たなシリーズを立ち上げた意義というのが今一つわかりません。
と、これでは、「三世代探偵団 次の扉に棲む死神」の感想と変わりませんね......
この作品では、老齢の女優、往年の名女優というべきでしょうか? が登場し、改めて映画に意欲を燃やすという設定がありまして、ちょっとアレンジが加えられていますが、爽香シリーズの栗崎英子がだぶって、だぶって......
シリーズ的には、有里の恋人候補でしょうか? 加賀和人の登場が気になりますね。
このあとの作品に出てくるのでしょうか??
このシリーズならでは特色というのは、この「三世代探偵団 枯れた花のワルツ」でも見出せませんでしたが、次作「三世代探偵団 生命の旗がはためくとき」がすでに刊行されていますので、そのあたりを念頭におきつつ、読み進めていきたいです。
<蛇足1>
「ムッとして、文乃は言った。」(36ページ)
なんとなく、「ムッとして」というのを小説の地の文で読むのは初めてのような気がします。
<蛇足2>
「刑事に向って、そういう口をきくんだね。」
「そりゃそうよ。公僕だもん。」
と、有里は言った。(237ページ)
公僕という語が高校生の口から出ると、なんだか違和感が......
<蛇足3>
「今どき、クラブ活動に熱中する子はそう多くない。有里にしても、勉強そっちのけで打ち込んでいるわけではなかった。」(262ページ)
そうなんですか?
ぼく自身クラブ活動に熱心に取り組んでいたわけではないので、こんなことを言うのはあれなんですが、クラブ活動に熱中するのはいいことだと思うので、若い皆さんにはぜひ打ち込んでほしいです......