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幽霊終着駅 [日本の作家 赤川次郎]


幽霊終着駅

幽霊終着駅

  • 作者: 次郎, 赤川
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/08/28
  • メディア: 新書

<カバー袖あらすじ>
「ここへ来れば、父に会えるかと思って……」
と、人気のなくなったホームを、綾子は見渡した。
「──幽霊でもいいわ。出てきてくれれば」

郊外の駅で、深夜に首だけの死体が発見された。連絡を受けた宇野と夕子が駆けつけると、持ち主を名乗る男が現れる。そこには、ある親子の悲しい過去が隠されていたのだ。そんな中、生首が忽然と消えてしまい──。大好評〈幽霊〉シリーズ第28弾。



この「幽霊終着駅」には
「袋小路を照らせ」
「雪女の従妹」
「正方形の裏切り」
「叔母捨て山」
「真面目人間、ここにあり」
「ゆく年くる年」
「幽霊終着駅」
の7話が収録されています。

赤川次郎の最近の作品にミステリとしての結構を求めるのは間違っているというのは重々理解していますが、それでもさすがに幽霊シリーズはもうすこし配慮してくれてもいいんじゃないか、と思ってしまいますね。
「雪女の従妹」の謎解きは相当無茶苦茶ですし、「真面目人間、ここにあり」の動機は想像を超えています。
それを納得させるだけのものがあるかというと、それもない......

前回、「幽霊解放区」(感想ページはこちら)に書いたことの繰り返しになりますが、幽霊シリーズは、デビュー作でもありますし、今一度、デビューのころの志に立ち返って、大切に書いていってほしいなぁ、と思いました。



<蛇足1>
「あの子は区立の中学に通っています」
と、貫井は、むしろ誇らしげに、「常に学年トップでいるのがたのしいようで」
「私には想像もつかないですね」
と、私は言った。
「あの子は東大へ行くことにしているんです」
と、咲子は言った。「ですから、公立校に通っている方が」(35ページ)
この部分、意味がわかりません。区立、公立校と、東大へ行くこととのつながりが理解できませんでした。
私立にいくと東大に行きにくい、と、そういうことなのでしょうか? 不思議です。

<蛇足2>
「真剣にものを考えられない子が増えているよね。いつもジョークにして笑ってたら、世の中をうまく渡っていけると思ってる子が……」
 真面目になることを「ダサい」と嫌って、何でも笑ってごまかそうとする。(171ページ)
ここで言われているような風潮は、嘆かわしいことだとは思いますが、最近の若い人はむしろ違うのではないでしょうか? ここで言われているのは、たとえばバブルの頃の若者像ではないかと思います。







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