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夢幻花 [日本の作家 東野圭吾]


【第26回柴田錬三郎賞受賞作】 夢幻花(むげんばな) (PHP文芸文庫)

【第26回柴田錬三郎賞受賞作】 夢幻花(むげんばな) (PHP文芸文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/04/07
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。第一発見者の孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と真相解明に乗り出す。一方、西荻窪署の刑事・早瀬も、別の思いを胸に事件を追っていた……。宿命を背負った者たちの人間ドラマが展開していく“東野ミステリの真骨頂”。第二十六回柴田錬三郎賞受賞作。


プロローグが2つあります。
一つは凄惨な日本刀による殺人事件。
もう一つは主人公のひとりである蒼太の十四歳の頃の話で、初恋の少女伊庭孝美と入谷の朝顔市で出会う。うまくいきそうだったのに突然親に反対され、孝美からも別れを切り出されてしまいます。
その後、本編?となり、秋山周治が殺される事件で、もう一人の主人公である孫娘の梨乃が発見者となります。

この後の展開は、さすがは東野圭吾というべきでしょうか。
限定された登場人物を緊密に絡み合わせた複雑なプロットで堪能しましたが、今の東野圭吾の立ち位置からしてこれがよかったのかどうか。
東野圭吾といえば、今や押しも押されもせぬ国民的作家なのではないかと思うのですが、そうすると日頃ミステリなど読みつけない人も大勢読まれるわけで、この作品のようなプロットは「作り物めいている」「限られた人物たちのつながりが不自然」とか言われてしまいそうな気がします。
そんな心配をしてしまうほど、きっちり組まれています。

柴田錬三郎賞というのがどういう意図を持った賞なのかわかりませんが、賞のHPでは
傑作『眠狂四郎無頼控』をはじめ、不羈の想像力を駆使した数々の作品でひろく大衆の心をうち、ロマンの新しい地平を切り拓いた故柴田錬三郎氏の業績を称えて、氏の名を冠した賞を設け、現代小説、時代小説を問わず、真に広汎な読者を魅了しうる作家と作品を顕彰します。

と書かれていますので、真に広汎な読者を魅了しうると認定されているわけで、余計な心配でしたね。

ところで、この文庫本のカバーには当然のごとく朝顔が描かれているのですが、黄色い朝顔はないんですよね......
なぜだろう?


<蛇足1>
「このところ、捜査本部に詰めっぱなしだ。」(174ページ)
間違いではないと思いますが、微妙な表現だな、と個人的に思いました。
というのも、「~ぱなし」というのは辞書でみると「物事をしかけたままで、あとの始末をせずに捨てておくこと。」(手抜きをしてgoo国語辞書です)とありまして、この場合は少々ふさわしくなさそうです。
言うとしたら「詰め通し」なのでしょうね。

<蛇足2>
「出入りしている従業員たちの職服も白かった。」(175ページ)
職服という語が初見でした。
職務上着ることが要請される服、すなわち制服のようですね。
おもしろい表現だと思いました。




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泣き童子 三島屋変調百物語参之続 [日本の作家 宮部みゆき]


泣き童子 三島屋変調百物語参之続 (角川文庫)

泣き童子 三島屋変調百物語参之続 (角川文庫)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/06/18
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
三島屋伊兵衛の姪・おちか一人が聞いては聞き捨てる変わり百物語が始まって一年。幼なじみとの祝言をひかえた娘や田舎から江戸へ来た武士など様々な客から不思議な話を聞く中で、おちかの心の傷も癒えつつあった。ある日、三島屋を骸骨のように痩せた男が訪れ「話が終わったら人を呼んでほしい」と願う。男が語り始めたのは、ある人物の前でだけ泣きやまぬ童子の話。童子に隠された恐ろしき秘密とは──三島屋シリーズ第三弾!


「おそろし 三島屋変調百物語事始」 (角川文庫)
「あんじゅう 三島屋変調百物語事続」 (角川文庫)(感想ページはこちら
「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」 (角川文庫)
「三鬼 三島屋変調百物語四之続」 (角川文庫)
「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」 (角川文庫)
「黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続」
「魂手形 三島屋変調百物語七之続」
と、今のところ第7巻まで出ているシリーズの第3弾。
第2巻「あんじゅう 三島屋変調百物語事続」
を読んだのが2011年7月ですから、我ながらなんとものんびりベースで読んでいるものです。

三島屋伊兵衛の姪・おちかが、いろいろな人の不思議な話を聞いていく、という趣向で題して変調百物語というわけで、この「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」には、
第一話「魂取の池」
第二話「くりから御殿」
第三話「泣き童子」
第四話「小雪舞う日の怪談語り」
第五話「まぐる笛」
第六話「節気顔」
の六話収録。

読んでみて驚いたのが、それぞれの話の内容がバラエティに富んでいること。
百物語というと怪談を連想しますが、怪談とは言い切れない話もあります。
解説からの孫引きになりますが、作者自身が
「若い娘が恋バナをしに来るわ、人殺しが来るわ、怪獣は出るわ……。これまで以上に、やりたい放題やらせていただいた感じです。」
と語っていらっしゃるようです。
このバラエティぶりは、このシリーズにとって大きいと思います。
なにより、おちかの成長物語としての側面があるこのシリーズですから、怪談だけにとどまらず、いろいろと話の幅が拡がっていくことは絶大なプラスであると思います。

また、第四話「小雪舞う日の怪談語り」では、いつもの三島屋の黒白の間で話を聞くのではなく、怪談語りの会に出かけたりもします。
これは、おちかに三島屋の外のものを見せるというこの物語上の要請もあったのだとは思いますが、ひょっとしたら、おちかのポジションを、単なるお話の聞き役から、何らかの解決役のような能動的なポジションに変えていく前触れなのかもしれません(シリーズの先を読んでいませんので、まったくの見当はずれの可能性大ですが)。

本書で一番怖い怪談は、表題作である第三話「泣き童子」だと感じました。

シリーズの今後を追いかけていきます!



<蛇足1>
「巷の不思議、人の業、とりどりな人の生き様を聞き知って、それらの話から糸を縒り出し、おちかが自分の魂を繕うことができるよう計らってやった方がいいのではないか」(13ページ)
”生き様” という表現は、すっかり定着してしまったのですね......

<蛇足2>
第二話「泣き童子」に出てくる、三島屋で霜月(子の月)の最初の子の日に行われる<ねずみ祭り>が興味深いですね。
ここでの情景を指して「ねずみ鳴き」とされているのですが、枕草子の影響で一般には「ねず鳴き」なのではと思っていましたが、赤城毅「書物法廷」 (講談社文庫)(感想ページはこちら)にも出てきましたし、「ねずみ鳴き」の方が一般的なのでしょうね。認識を改めねば。

<蛇足3>
「一人客は座の雰囲気を味わうようにまわりを見回したり、供された茶を静かに喫したりしている。」
「話のなかに出てくる場所や人の名前を伏せたり、変えてもいいことになっている。」(197ページ)
同じページのなかに、「~たり、~たり」と正しく使われている箇所と、崩れてしまっている箇所の両方があります。ちょっと不思議です。

<蛇足4>
「あれ以来ずっと空けたままの黒白の間に、次の語り手をお招きしよう。」(302ページ)
おちかの決意表明(?) なのですが、あれ? この部屋、主人の囲碁でも使うのではなかったかな?
おちかの百物語専用になったんでしたっけ?
また、客を招かずにいた状態を「空けたまま」というのでしょうか? むしろ逆に閉じたまま?

<蛇足5>
「汁粉の匂いと、汁粉にする前の小豆を煮る匂いは別物ですよ」(303ページ)
なにわがまま言っているんだ、このじじい(失礼っ)、と思うと同時に、それはそうかもしれないな、とも思わせるセリフでした。
「寿司は好きだが、寿司飯をこしらえているときの匂いが嫌いな人はおります。蕎麦が好きでも、蕎麦を茹でている湯気の匂いは駄目だという人もおります」
と続きます。


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軍艦探偵 [日本の作家 や行]


軍艦探偵 (ハルキ文庫)

軍艦探偵 (ハルキ文庫)

  • 作者: 山本巧次
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2018/04/13
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
短期現役士官制度に応募して海軍主計士官となった池崎幸一郎は、戦艦榛名に配属された。山本五十六連合艦隊司令長官の視察を控え、運び込まれたはずの野菜の箱が一つ紛失したことが彼に報告される。銀蠅(海軍での食糧盗難)かと思われたが、食材箱の総数は合い、破壊工作の疑いが生じる(第一話)。一方、駆逐艦岩風が救助した陸軍兵士の行方不明事件(第五話)はやがて他の事件と結びつき――。鋭い推理力で軍艦内事件を解決し、図らずも「軍艦探偵」と呼ばれた海軍士官の活躍を描く軍艦ミステリーの登場!!


映画の感想を長く続けましたが、本の感想に戻ります。
2021年8月に読んだ12冊目の本です。
「大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう」シリーズの山本巧次の単発作品で、軍艦探偵と呼ばれることになった海軍士官を探偵役に据えた連作短編集です。
戦艦榛名、重巡最上、航空母艦瑞鶴、給糧艦間宮/航空機運搬艦三洋丸、駆逐艦岩風、駆逐艦蓬を舞台とする6つの話に、昭和二十九年のプロローグ、昭和三十年のエピローグがついています。

目次に続いて、海軍階級表がついていて助かります。
いわゆる常識の部類に入る知識なのだと思うのですが、いつもこんがらがるんですよね。

戦艦榛名での事件は、野菜を詰めた箱の紛失事件。
おっ、戦時中の軍艦の中で日常の謎!? と一瞬虚を突かれた感じがしましたが、
「軍艦の中だろうと戦時だろうと、そこに人が居るからには、生活があるのだ。軍隊としての課業だけで、人は生きているわけではない。だから娑婆の町と同じように、ここでもいろんなことが起こるのだ。」(116ページ)
と主人公である池崎が考えるように、当たり前のこと、なのでしょう。

後半の話で人が死ぬ事件が起こり、日常の謎から離れていきます。
軽やかに進められる中で、なめらかに話の比重が重くなっているところがポイントなのだと思いますが、ひょっとしたらチグハグという印象を持たれる方もいるのでは、と懸念します。
作者の手によるものではありませんが、この本のカバーの絵や題字も、戦時中ならではの重々しい感じがするのに対し、中身の筆致と主人公の性格付けが軽やかであることも、こうした感想を生みやしないかと心配になります。

また、これは個人的な意見にすぎませんが、現在の視点から戦争を取り扱ってしまう以上仕方のないことなのでしょうが、”反戦” 思想が登場人物の根底に流れているのが気になります。
今から見れば当然「戦争反対」なのですが、当時の人たちの間では「戦争反対」という思想がいきわたっていたとは思えないからです。むしろ、積極的にせよ消極的にせよ、戦争を支持していた人が多かったのではないでしょうか。
敗戦を迎えた戦後に転換した、というのならともかく、戦時中に反戦に転換するとなると、かなり大きなきっかけを用意してもらわないといけないような気がします。
これはこの作品に限ったことではありませんが。

話がそれました。
単独の物語としてこの「軍艦探偵」 (ハルキ文庫)は完結してしまっていますが、池崎の活躍をもっと読んでみないなと思いました。
楽しく読めた作品です。


<蛇足>
「上陸のときは水兵服(ジョンベラ)」(42ページ)
「ふと先を見ると、商店街からの道を歩いてくる水兵服(ジョンベラ)姿の三人連れの姿が見えた。」(254ページ)
ジョンベラという語には馴染みがなかったのですが、いわゆるセーラー服のことらしいですね。
Wikipedia のセーラー服の項 によると『イギリス人を意味する「John Bull」から「ジョンベラ」とも呼んでいた。』とのことで、意外な語源でした。しかし、「John Bull」がジョンベラに聞こえますかね?





タグ:山本巧次
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映画:ナイル殺人事件 [映画]

ナイル殺人事件.jpg


映画の感想を続けていますが、さらに続けて「ナイル殺人事件」の感想です。

シネマトゥデイから引用します。

---- 見どころ ----
アガサ・クリスティの推理小説「ナイルに死す」を、『オリエント急行殺人事件』に続きケネス・ブラナーが監督・主演を務めて映画化。エジプトのナイル川をめぐるクルーズ船を舞台に、名探偵ポアロが密室殺人の解明に挑む。共演には『ワンダーウーマン』シリーズなどのガル・ガドット、『君の名前で僕を呼んで』などのアーミー・ハマー、ドラマシリーズ「セックス・エデュケーション」などのエマ・マッキーに加え、レティーシャ・ライト、アネット・ベニングらが集結。前作同様リドリー・スコットらが製作に名を連ねる。

---- あらすじ ----
エジプトのナイル川をめぐる豪華客船内で、新婚旅行を楽しんでいた大富豪の娘リネット(ガル・ガドット)が何者かに殺害される。容疑者は、彼女とサイモン(アーミー・ハマー)の結婚を祝いに駆け付けた乗客全員だった。リネットに招かれていた私立探偵ポアロ(ケネス・ブラナー)が捜査を進めていくうちに、それぞれの思惑や愛憎が絡み合う複雑な人間関係が浮き彫りになっていく。


言わずと知れたクリスティの名作の映画化、ではありますが、世間的には、「ナイル殺人事件」のリメイク、と言った方が通りのがいいのでしょうか?
「オリエント急行殺人事件」(感想ページはこちら)に続く、ケネス・ブラナーによる作品です。

冒頭、いきなり戦場のシーンでびっくりします。
なんと、ポワロの若き日の姿です。恋するポワロまで。
うーーん、どうでしょうね。このエピソードは映画の後半のポワロのセリフとも相まって、ポワロの人間像を掘り下げたもの、なのでしょうが、個人的には邪魔に思いました。
正直、こんな ”ベタな” 設定をほんの触りだけ端折って紹介するくらいなら、単なる推理機械と言われた方がよいではないかと思ってしまいます。
ここを評価する人もいるとは思いますが。
それにしても、ポワロの口ひげの理由も明かされるのですが、あんなにきれいな髭になりますか?

「オリエント急行殺人事件」のエンディングで、ポワロが別の事件にかり出されちゃうシーンがあって、それがこの「ナイル殺人事件」なんだろうと勝手に思っていましたが、違いましたね。
一旦ポワロはその別の事件を終わらせて、ロンドンに戻って、ふたたびエジプトへ。

原作「ナイルに死す」 (クリスティー文庫)感想にも書いた通り、いきいきとした登場人物あってこその謎解きミステリなので、実際にその人物が目の前で動いて見せる映画向きとは思うのですが、登場人物も多く、長い物語なので、映画として一定の時間に収めるには削ることが必要で、その結果、少々バランスが悪くなった気がします。
謎解きの駆け足ぶりは、ポワロがかわいそうになるくらい。せっかくの犯人指摘のシーンも、なんかあっさりしちゃって。

ただでさえ物語が窮屈なのに、余計な(失礼)ポワロのエピソードまでいれようとするから......この点からもポワロのエピソードは不要だと思いました。

とはいえ、楽しんで観たことは事実です。
ミステリとしての建付けはずいぶんまずくなってしまいましたが、今あげた不満は原作を知っているからこそ、でしょう。
豪華な雰囲気には浸れますし、全部CGらしいのですがエジプトの様子はさすがに異国情緒たっぷりです。
ロンドン滞在期間中に、足をのばしてカイロとルクソールに行った旅行を思い出したりしました。

どうやらシリーズ第三作も企画されているようで、そちらも楽しみです。


製作年:2020年
製作国:アメリカ
原 題:DEATH ON THE NILE
監 督:ケネス・ブラナー
時 間:127分





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映画:ゴヤの名画と優しい泥棒 [映画]

ゴヤの名画と優しい泥棒.jpg


ミステリだけではなく映画の感想もぼちぼち書いてきたのですが、今回の感想が映画の感想101回目となります。
映画「ゴヤの名画と優しい泥棒」の感想です。

シネマトゥデイから引用します。

---- 見どころ ----
1961年にイギリス・ロンドンのナショナル・ギャラリーで起きた絵画盗難事件に基づくコメディー。60歳のタクシー運転手が、盗んだ絵画を人質にイギリス政府に身代金を要求した事件の真相を描く。監督は『ノッティングヒルの恋人』などのロジャー・ミッシェル。主人公を『アイリス』などのジム・ブロードベント、彼の妻を『クィーン』などのヘレン・ミレン、彼らの息子を『ダンケルク』などのフィオン・ホワイトヘッドが演じるほか、アンナ・マックスウェル・マーティン、マシュー・グードらが出演する。

---- あらすじ ----
1961年、イギリス・ロンドンにある美術館ナショナル・ギャラリーで、スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤの絵画「ウェリントン公爵」の盗難事件が起きる。犯人である60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン(ジム・ブロードベント)は、絵画を人質に政府に対して身代金を要求する。テレビが娯楽の大半を占めていた当時、彼は絵画の身代金を寄付して公共放送BBCの受信料を無料にし、孤独な高齢者たちの生活を救おうと犯行に及んだのだった。


原題は"THE DUKE"。
公爵、というわけで、すなわちナショナル・ギャラリーから盗まれた絵画を指します。
このまま訳しても日本の観客にはさっぱりということで、ゴヤの名画となったのでしょうが、その後ろの「優しい泥棒」というのがいまいちですね。

このところ偶々なのでしょうが、実話をベースにした映画をいくつか観ました。観た順にいうと、
「クーリエ 最高機密の運び屋」(感想ページはこちら
「最後の決闘裁判」(感想ページはこちら
「ハウス・オブ・グッチ」(感想ページはこちら
「シルクロード.com 史上最大の闇サイト」(感想ページはこちら
「オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-」(感想ページはこちら
そこにこの「ゴヤの名画と優しい泥棒」が加わったわけですが、これら6作品の中では、「ゴヤの名画と優しい泥棒」がダントツの1位です。

冒頭から、BBCの受信料を払わないと主張している主人公が描かれます。
BBCの受信料と訳されていますが、TV License と言われるもので、TVを持つと払わなければならない=TV設置料的にとらえていましたが、調べてみると視聴料が正しいようです。
TVから出る電波?をキャッチする機械を車で積んで巡回しており、取り締まりは結構強烈です。
もちろん、在住中は払ってましたよ(笑)。
なので、BBCが映らないから払わない! と主人公が主張しているのを観てそうだったかなぁと思いました。とはいえ、この受信料がBBCのメインの収入ですから、そういう規定になっている(あるいは、なっていた)可能性はありそうです。

さておき、この地味なおじさんと一家の生活が淡々と描かれていきます。
退役軍人や老人世帯などの受信料を無料にしろという運動を展開しています。
妻をヘレン・ミレンが演じていまして、すごくいい感じです。この奥さん、旦那が旦那だけに頑固者っぽく見えるだけで、いたって普通の女性です。
もっとも二人には、幼いころに自転車事故で娘を亡くした、という事実が横たわっており、確執につながっています。
頼りなさそうな息子役をフィオン・ホワイトヘッドが演じています。この役者さんクリストファー・ノーラン監督「ダンケルク」(感想ページはこちら。そういえばこの映画も実話ベースでしたね)で抜擢された俳優さんなんですね。

海外に流出しそうになったゴヤの名画「ウェリントン公爵」を巨額で買い戻したという報道に憤ってみたりします。
物語が急展開するのは、ナショナル・ギャラリーで展示されていた「ウェリントン公爵」が盗まれてから。
ヘレン・ミレンに絵が見つからないように、あたふたするおじさんと息子(笑)。

紆余曲折の末、おじさんは絵をナショナル・ギャラリーに返しに行きます。
そしておじさんを被告人とした裁判がはじまる......
ここからがこの作品の真骨頂なのでしょう。
前半の地味な生活が、ここへ来てレバレッジを効かして迫ってきます。

途中で、さらっと扱われる事項があるのですが、ここにいたく感心しました。感銘を受けた、といってもいい。感服。
別の人が手掛けたら、大見得を切るような気もするところを、あくまでもさりげなく、さらっと進めていく。
素晴らしい。ステキです。
実はそこまでの間に妙な違和感というか、居心地の悪さを感じていたのですが、このくだりで解消。これが実話というのも納得の部分でもあります。
なんていい映画なんでしょうか。

ただ、この映画人気はあるのでしょうか? 心配です。
派手な大作の間に埋もれてしまわないでしょうか......

そうそう、いつもは映画のHPにあらすじがあれば、上の方で引用するのですが、この映画のHPのあらすじはダメです。
映画を観る前には読まないようにしてください。
後の記録のために、下に引用しておきます。念のため、鑑賞の妨げとなり問題と思う部分の字の色を変えておくことにします。
事件に秘められた優しい嘘と、驚きの真実とは――
世界中から年間600万人以上が来訪・2300点以上の貴重なコレクションを揃えるロンドン・ナショナル・ギャラリー。1961年、“世界屈指の美の殿堂”から、ゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。この前代未聞の大事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。孤独な高齢者が、TVに社会との繋がりを求めていた時代。彼らの生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもう一つの隠された真相が・・・。当時、イギリス中の人々を感動の渦に巻き込んだケンプトン・バントンの“優しい嘘”とは−!?




製作年:2020年
製作国:イギリス
原題:THE DUKE
監督:ロジャー・ミッシェル
時間:95分




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映画:キングスマン:ファースト・エージェント [映画]

キングスマン ファースト・エージェント.jpg


映画「キングスマン:ファースト・エージェント 」の感想です。
シネマトゥデイから引用します。

---- 見どころ ----
『キングスマン』シリーズの第3弾。第1次世界大戦前夜のヨーロッパを舞台に、スパイ組織キングスマンの誕生秘話と、彼らが巨大な陰謀に立ち向かう姿が描かれる。前2作に引き続きメガホンを取るのはマシュー・ヴォーン。『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』などのレイフ・ファインズ、『マレフィセント2』などのハリス・ディキンソンのほか、リス・エヴァンスらが出演する。

---- あらすじ ----
イギリス、ドイツ、ロシアといった大国間の陰謀が渦を巻き、第1次世界大戦勃発の危機が迫ろうとしていた。そんな中、コンラッド(ハリス・ディキンソン)は父親のオックスフォード公(レイフ・ファインズ)に連れられ、高級紳士服テーラーを表向きの顔にしたスパイ組織キングスマンの一員として迎えられる。世界に迫る危機を回避しようと動き出す二人だが、その前に怪僧ラスプーチン(リス・エヴァンス)が立ちはだかる。


キングスマン (感想ページはこちら
キングスマン ゴールデン・サークル (感想ページはこちら
に続くシリーズ第3作。
今回は趣向を変えて? キングスマン創設時に遡ります。

となると、シリーズ第1作の「優雅な雰囲気漂う、クラシカルなスパイ映画」という雰囲気に浸れるのでは? と大きな期待を寄せて観に行きました。

結果からいうと、雰囲気は違いましたね。
第1次世界大戦を時代背景にしたスパイもので典雅な風格としてしまうと、あまりにもいかにもな作品になってしまってかえってつまらないのかもしれません。
でも、この映画、ざっくり言ってしまうと、これは普通のアクション・スパイ映画です。最近の。

普通のアクション・スパイ映画でも十分面白く、楽しく観たのですが、うーん、やはりキングスマンには典雅な趣を期待してしまいますね。
敵役として設定されているラス・プーチンとの対決シーンに、なんとか典雅なテイストを感じる程度にとどまってしまっていて、クライマックスへ向けて盛り上がる黒幕?との対決は、極めて普通です。
これぞ究極のないものねだりかもしれませんが。

このシリーズは、このあと話を現代に戻してエグジー(&願わくばコリン・ファース演じるハリー)の物語となるようですね。
どういう方向性になるのか、期待です。


ところで、この感想を書こうとしてあれっと思ったのが、原題。
"The King's Man" なんですよ。
あれ? キングズマン?
じゃあ、第1作はなんてタイトルだったんだろうと思って遡ったら
"KINGSMAN : THE SECRET SERVICE"
組織ができる前は一般名詞的な "The King's Man" だったのが、組織化して固有名詞 "KINGSMAN" になったということですね。
おもしろい。


製作年:2021年
製作国:イギリス/アメリカ
原題:The King's Man
監督:マシュー・ヴォーン
時間:131分




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映画:最後の決闘裁判 [映画]

最後の決闘裁判.jpg


映画「最後の決闘裁判」の感想です。
シネマトゥデイから引用します。

---- 見どころ ----
エリック・ジェイガーによる「最後の決闘裁判」を原作に描くミステリー。600年以上前にフランスで行われた、決闘によって決着をつける「決闘裁判」の史実を基に、暴行事件を訴えた女性とその夫、そして被告の3人の命を懸けた戦いを映し出す。『グラディエーター』などのリドリー・スコットが監督を務め、マット・デイモンとベン・アフレックが脚本とともに出演も果たす。ドラマシリーズ「キリング・イヴ/Killing Eve」などのジョディ・カマー、『マリッジ・ストーリー』などのアダム・ドライヴァーらが共演する。

---- あらすじ ----
中世のフランスで、騎士カルージュ(マット・デイモン)の妻マルグリット(ジョディ・カマー)が、夫の旧友であるル・グリ(アダム・ドライヴァー)から暴力を受けたと訴える。事件の目撃者がいない中、無実を主張したル・グリはカルージュと決闘によって決着をつける「決闘裁判」を行うことに。勝者は全てを手にするが、敗者は決闘で助かったとしても死罪となり、マルグリットはもし夫が負ければ自らも偽証の罪で火あぶりになる。


原作「最後の決闘裁判」 (ハヤカワ文庫 NF)がハヤカワ文庫から出ていますが、読んでいません。
ノンフィクションです。
ミステリーではありません。なので、シネマ・トゥデイの見どころ欄は間違いです。

決闘で決着をつけるなど、現代の目で見ればありえないような事態ですが、この時代のヨーロッパ(フランス)ではこういうものだった、ということですね。
扱われているのが、レイプ裁判。
現代の法廷でも扱いが難しい ”事件” ですね。そもそも "犯行現場" には当事者二人しかいないもので、証拠も残らないという状況ですから。当時のこと、決闘で決着をつけるのもやむなし、だったかもしれませんね。

評を見ると、「藪の中」に言及しているものがあるようです。
たしかに、当事者のどちらを信じるのか、というのは上述の通り難しく、事件そのものレイプがあったかどうかも含めて「藪の中」だったのかもしれませんが、この映画は違います。「藪の中」に言及するのは間違いだと思います。

この映画、主要登場人物である騎士カルージュ(マット・デイモン)、その妻マルグリット(ジョディ・カマー)、そしてレイプ犯でありカルージュの旧友であるル・グリ(アダム・ドライヴァー)の3人の視点で綴られます。
映画なので映像で見るしかなく、心理の中にまで踏み込むわけではありませんが、それぞれの視点で語られ直すという構成がとられており、レイプシーンも、マルグリット、ル・グリ、二人の視点で繰り返されます。
つまり、レイプがあったこと、それが合意ではなくレイプであったことは明確なのです。
(マルグリットが嫌がったのは演技だったのだ、という言い抜けの余地は可能性としてはありますが、映画を観る限り、そのような解釈の余地はないと思えました)
観客からすれば「藪の中」でもなんでもありません。明々白々です。

したがってこの映画は、本当は何が起こったのか、というお話ではなく、不幸にもレイプされた妻が厳しい時代の中でも声をあげ、夫の軽はずみな意気込みの結果とはいえ、決闘により決着をつけなければならなかった悲劇、を描いたものと捉えなければならないと思います。
もしも映画製作サイドが「藪の中」を意識していたのだとしたら、視点を3人に分散したのは間違いでしょうし、レイプシーンも映像化してはいけなかったでしょう。
観終わると、ずっしりした重い気分になります。

この裁判の後、史実として、決闘裁判は行われていないということですが、この裁判がきっかけとなって行われなくなったわけではなさそうです。
「最後の決闘裁判」と謳われていますが、単にたまたま最後になっただけのようです。
原作を読んでいないので原作の狙いがわからないのですが、この映画の狙いは何なのでしょうか?
わかりませんでした。
非情な当時の裁判事情ということであれば「最後」でなくてよさそうです。(もっとも詳細に調べられているのはこの事件だけなのかもしれません)
中途半端な印象に終わってしまいました。

この映画で印象に残っているのは、アレックス・ロウザーという役者さんが演じている、フランス王(シャルル6世のようです)。見るからに頼りなく、判断力も統率力もなさそうな感じです。
この王が決闘裁判で見せる表情に、ぜひご注目を。
このような非情な、残酷残虐な裁判(ではなく、決闘ですね)を楽しんでしまう群衆の邪気が込められているように感じました。


製作年:2021年
製作国:アメリカ
原 題:The Last Duel
監 督:リドリー・スコット
時 間:153分





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ビブリア古書堂の事件手帖7 栞子さんと果てない舞台 [日本の作家 三上延]


ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/02/25
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
ビブリア古書堂に迫る影。太宰治自家用の『晩年』をめぐり、取り引きに訪れた老獪な道具商の男。彼はある一冊の古書を残していく――。
奇妙な縁に導かれ、対峙することになった劇作家ウィリアム・シェイクスピアの古書と謎多き仕掛け。青年店員と美しき女店主は、彼女の祖父によって張り巡らされていた巧妙な罠へと嵌っていくのだった……。
人から人へと受け継がれる古書と、脈々と続く家族の縁。その物語に幕引きのときがおとずれる。


読了本落穂拾いで、2017年8月に読了していた本です。
シリーズ第7作にして最終巻。
(このあと、第2シリーズというか、シーズン2 というか、が始まっていますね)

「シリーズ完結まであと少しみたい」と前作「ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ 」(メディアワークス文庫)感想で書きましたが、シリーズ完結まであと少しどころか、まさしく完結編です。

話題になっているのは、シェイクスピアのファースト・フォリオ。
「シェイクスピアの戯曲を集めた最初の作品集です。フォリオというのは二つ折り本という意味で、一枚の紙を二つ折りにした判型の本ということです。」(107ページ)
と説明されています。
そしてファクシミリ。ここでいうファクシミリは複製本。

第一章は、今どきこれをネタにするか......と思えるような話でしたが、シェイクスピアを持ち出すことでなんとか支えているというところでしょうか。
(もっとも、大輔がわからなかったから謎めいているだけで、そもそも謎でもなんでもなかったのかもしれませんが)
と各エピソードをうんぬんしても、もはや仕方ないですね。
シリーズ総集編としてどこに着地させるか、ということですから。

その意味では、大方の読者の予想通り、栞子と大輔の仲は決着しますし、栞子と母親との関係もまあまあのところに落ち着きます(ですよね)。
それでよし、ということなのでしょう。
シリーズ完結をお祝いしたいです。


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映画:クーリエ 最高機密の運び屋 [映画]

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映画「クーリエ 最高機密の運び屋」の感想です。
シネマトゥデイから引用します。

---- 見どころ ----
『エジソンズ・ゲーム』などのベネディクト・カンバーバッチ主演によるサスペンス。セールスマンだった男が諜報(ちょうほう)活動に携わることになり、アメリカとソ連が全面衝突寸前に陥った「キューバ危機」を回避しようとする。メガホンを取るのは『追想』などのドミニク・クック。『ジュピターズ・ムーン』などのメラーブ・ニニッゼ、『アイム・ユア・ウーマン』などのレイチェル・ブロズナハン、『もう終わりにしよう。』などのジェシー・バックリーらが出演する。


映画のHPからあらすじを引用します。
表向きは平凡なセールスマン
その裏の顔は、密命を帯びた【スパイ】――

東西冷戦下、米ソ間の核武装競争が激化。世界中の人々は核戦争の脅威におびえていた。そんな時、CIAとMI6のエージェントが一人の英国人に目を付けた。その男、グレヴィル・ウィンは東欧諸国に工業製品を卸すセールスマンだったが、彼が依頼された任務とは、販路拡大と称してモスクワに趣、GRUのペンコフスキー大佐から受け取ったソ連の機密情報を西側に持ち帰ることだった。あまりに危険なミッションに恐れをなし、ウィンは協力を拒否するが、世界平和のために祖国を裏切ったペンコフスキーに説得され、やむなくモスクワ往復を引き受ける。だが、政治体制を超えた友情tと信頼で結ばれた男たちは、非情な国家の論理に引き裂かれ、過酷な運命をたどることに――

またもや(!)と個人的に思ってしまいますが、実話ベースの物語です。
観終わってからしばらく経ちますね。
2021年10月に観たのですが、結構忘れてきています。
それでも主人公を襲う緊迫感は印象に残っています。

核戦争の危機だ、と騒がれたキューバ危機をめぐっていつの間にか重要なポジションに座らされてしまった一民間人、というのが見応えの源泉のように思います。
「非情な国家の論理」と引用したあらすじにありますが、ソ連が非情なだけではなく、CIAとMI6も組織としてはあっさりと非情な決断を下すところが妙にリアルに感じられます。
国家の、あるいは世界の一大事の前に、個人の存在など薄いということですね。

一方で、エージェント個人はその立場を離れて、というのがなかなか映画的というか、物語として訴えてくるものがあり、これが実話というのが胸に迫ってきます。
このあたり、もっと掘り下げて描いて欲しかった気がするのですが、これは素人考えというもので、そこに焦点を当ててばかりいると物語の輪郭がぼやけてしまったのかもしれません。

クーリエ(運び屋)役であるセールスマンと、ソ連側の情報提供者である大佐それぞれの家庭や、個人としての二人の交流が、終盤の過酷さを一層際立たせます。
前半、割合おっとりと進む物語が、世界情勢につれて緊迫し、物語後半の圧力、サスペンスが強烈です。

しかし、あのキューバ危機の裏でこのような一般人の犠牲が強いられていたとは、すごいな。
とても面白い映画でした。


製作年:2021年
製作国:イギリス/アメリカ
原題:THE COURIER
監督:ドミニク・クック
時間:112分




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HIStory:離れて、離さないで [台湾ドラマ]

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台湾ドラマ「HIStory」の続き(?)です。
第1弾 HIStory :My Hero の感想ページはこちら
第2弾 HIStory :Obsessed の感想ページはこちら です。

第3弾である今回、ポスターでは堂々の真ん中です。
英題は HIStory :Stay Away From Me
「離れて」ですが、日本語タイトルは「離れないで」がくっついています。日本語タイトルの方が中身をよく反映しているかもしれません。

あらすじを日本で発売されている DVD-BOX amazon の紹介欄から。
~人気アイドルの義弟×真面目でシャイな義兄~
ある日、大勢のファンに追いかけられるアイドルのチェン・チンに偶然出くわした大学生のフォンホー。
チェン・チンは自分の服をフォンホーに着せ、自分だけ逃げおおせてしまう。
チェン・チンと間違われファンにもみくちゃにされたフォンホーが自宅に帰ると、母の再婚相手の息子のたくさんの荷物が。
続いて現れた“息子"は、なんとチェン・チンだった。親同士の再婚で兄弟として一緒に住むことになった二人。
根が優しいフォンホーはチェン・チンに勉強を教えたり何かと世話を焼く。
奔放だが魅力的なチェン・チンと縮まるように見えた二人の距離だが……。

出演:デューク・ウー(吳承璟)「イタズラなKiss~Miss In Kiss」/ エディソン・ソン(宋柏緯) / チャオ・マンティン(焦曼婷)
監督:ツァイ・ミージエ / 脚本:ヤン・イーホア
原題:離我遠一點/Stay Away From Me

"兄弟"もの、です。
義兄弟っていうやつ、BLでは人気のテーマらしいですね。
いけ好かない奴と思っていたが、一緒に住んでみたらいい奴で、でも兄弟だからとブレーキをかける方とそんなこと気にしない方と。
いかにも定番っぽいストーリーを定番通りに展開してみせます。

いやあ、やっぱり、どうしてこの関係が恋愛に発展するのかわかりませんでした......
もうそういうものなんだと思って観るようにはなりましたが。
通常の好意ではなく恋愛だ、ということを前提に、堂々とした王道展開で、安心できますね。
あと、いわゆる ”肌色” 少ないのも安心できました。片方がアイドルという設定だからでしょうか。

タイだけでなく、各国のものも人気があるのだなぁ、と思いました。

ここにも前の作品であげたものと同じですが、予告編を。




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