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怪盗紳士(ポプラ社) [海外の作家 ら行]



<カバー裏あらすじ>
フランスの豪華客船に、怪盗ルパンが紛れこんでいるという知らせをうけ、乗客たちは騒然となる。金髪で、右腕に傷あとがあり、変名の頭文字はR──高慢な大金持ちから金品を盗み、貧しい人には力をかす、英雄的大泥棒・怪盗紳士アルセーヌ・ルパンが初めて登場した作品! 解説/貫井徳郎


2024年2月に読んだ4冊目の本です。
モーリス・ルブランの「怪盗紳士 怪盗ルパン全集シリーズ(2) 」(ポプラ文庫クラシック 怪盗ルパン全集(2))

2023年10月に「奇巌城 怪盗ルパン全集シリーズ(1) 」(ポプラ文庫クラシック)(感想ページはこちら)を読んで、懐かしく、面白く感じたので、このシリーズを一気に大人買いしました。
ポプラ社からはこのあと版を改めたバージョンも出ていまして、この文庫本在庫が少なくなっているものもあるようですね。結構探して買いました。

タイトルからもわかりますように、「怪盗紳士ルパン」 (ハヤカワ文庫 HM)(感想ページはこちら)と同じ作品ですね。
子供向けの翻案なので、ページ数の関係でしょう、全9話中6話が収録されています。
題して
大ニュース=ルパンとらわる
悪魔(サタン)男爵の盗難事件
ルパンの脱走
奇怪な乗客
ハートの7
大探偵ホームズとルパン

オリジナルの方のタイトルは、 ハヤカワ文庫版ではそれぞれ
アルセーヌ・ルパンの逮捕
獄中のアルセーヌ・ルパン
アルセーヌ・ルパンの脱獄
謎の旅行者
ハートの7
遅かりしシャーロック・ホームズ
ですね。なかなか趣深い(笑)。

これらのタイトルもそうですが、非常にのびのびと、というか、好き勝手に翻案している感じがとても心地よい──といっても、でたらめというわけではなく、原作に対するリスペクトはちゃんとあるんですよね。
「あんがい、かれは日本にのがれて、講道館あたりですきな柔道のしあげをしえているのではないだろうか。」(184ページ)
なんて、南洋一郎ならでは、という脱線ではないでしょうか。
子どもの頃はそのまま素直に読んでいたと思うので、こういう風に読むのは大人になったからこその愉しみのような気がします。
解説でも貫井徳郎が
「ぼくがわくわくしたルパンは、モーリス・ルブランが創造したルパンではなく、南氏のルパンだったのだな、と今になって思ったりもします。」(323ページ)
と書いているように、南洋一郎の自由奔放に見えるところが大きな魅力になっているのでしょう。

それと、ハヤカワミステリ文庫版の感想にも書いたことですが、この短篇集はもともとかなりトリッキーでして、子供向けで原稿枚数が絞られる関係でしょう、そのあっと驚く部分が集中して強調して取り上げられているので、シンプルに驚きを大きくさせる効果が出ているようにも思えました。

大人買いした残りを楽しみに読んでいきます。



<蛇足1>
「ぼくは、船長やロゼーヌがのみとりまなこで、船のすみずみまで探しても、時間をむだにするだけだと思いますね。」(31ページ)
「のみとりまなこ」ですか。もう死語ですね。
子どもはわからないのではないでしょうか?

<蛇足2>
「あいつは頭のするどい、神経が金線のようにこまかい男だ。」(106ページ)
金線というのが、細やかなもののたとえに使われるのですね。




原題:L'aiguille Creuse
作者:Maurice Leblanc
刊行:1909年(Wikipediaによる)
訳者:南洋一郎








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ラリーレースの惨劇 [海外の作家 ら行]


ラリーレースの惨劇 (論創海外ミステリ 157)

ラリーレースの惨劇 (論創海外ミステリ 157)

  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2015/10/01
  • メディア: 単行本




2024年1月に読んだ9冊目の本です。
ジョン・ロードの「ラリーレースの惨劇」 (論創海外ミステリ)
単行本で、論創海外ミステリ157です。

自動車ラリーでの殺人事件というと、どうしてもスピードを競うレースを想像してしまうのですが、ここで描かれているレースはスピードを競うものではないのがポイントですね。
王立自動車クラブが主宰するこのレース、コースは緩やかに決められていて、決められたポイントを一定の時間内に通過していくことで、最終目的地まで走り抜けるというもののようです。出発地点もバラバラ。
「平均時速を保つのが大事なんですよ。スピードを出しすぎても意味はありません。予定時刻よりも五分以上前にゴールしたら、ペナルティを課せられます」(32ページ)
という説明もあります。
これ、どうやって勝敗を決めるのでしょうね?
廣澤吉泰の解説に「公道上を走行して区間タイムの正確さや運転の技術を競う者である」とされていますが、それでもよくわかりませんね。

このレースに、ロバート・ウェルドン、リチャード・ゲイツマンがハロルド・メリフィールドとともに参加。霧のせいでビリになりよたよた(失礼)走っていたところで、レースに参加している車が事故を起こし炎上しているのを見つけて......という展開。
(ちなみに幹線道路を外れ集落からも離れると本当に真っ暗です。街灯などはありませんし、路肩も日本とは比べ物にならないくらい貧弱です。車はヘッドライトを搭載しているとはいえ、運転には注意が必要ですね)
ハロルドがプリーストリー博士の秘書だったことから事件をプリーストリー博士に相談。

今回(今回も?)プリーストリー博士は、安楽椅子探偵とまではいきませんが、現地にはなかなか行かず、あれこれ指示するだけという時間が長く、そのせいかかなり嫌味な人物のように思えました──というか、もともと嫌味な人物なのですよね、きっと。
一方で、このようなスタイルで謎解きが進んでいくので、議論を通じ段階的に真相に迫っていく手つきを楽しむことができました。
プリーストリー博士に操られるかのように、右往左往するハロルドたち(と警察)が楽しい。

背景となるレースシーンがあっさりしているのも、時代を感じさせて逆にいい感じという気がしました。
現代のミステリであれば、謎解きに直接的な関係が薄くても、登場する事物や人物を細かに書き込んでいく、というスタイルが取られることが多く、この作品も今書かれるとしたら相当みっちりレースシーンが描かれるように思います。その点昔のミステリは謎解きと関係が薄ければさっと飛ばされることが多い印象で、この点で時代を感じさせるように思いました──そしてそれがとても好ましい。

ジュリアン・シモンズのせいで ”退屈派” などと呼ばれるジョン・ロードですが、ぜんぜん退屈などしませんでした。むしろ面白かったですよ。


<蛇足1>
「遺体は安置所に運んで、車は詳しく調べるためにガレージへ牽引しました。」(41ページ)
このブログでなんども言っていることですが、「ガレージ」だと日本では一般的には駐車場の意味だと思うので、修理場とか整備場とかいう風に訳すべきではないかと思います。

<蛇足2>
「そうそう、死因審問は一一時からの予定です。」(54ページ)
日本では一般的に検死審問と訳されていますね。
パーシヴァル・ワイルドに「検死審問―インクエスト」 (創元推理文庫)という傑作ミステリもあります。
なにか訳者にこだわりがあったのでしょう。

<蛇足3>
「田舎の人間というのは鈍感で、足元に雷が落ちても気づきませんからね」(160ページ)
「ニワトリが嫌いなんですよ──平均的な役人程度の頭脳しかないくせに、口数だけは多い。」(161ページ)
どちらもえらい言われようですね。

<蛇足4>
「博士は一種の美食家であり、ウエストボーン・テラスで供する料理は常に素晴らしかった。」(169ページ)
「一種の美食家」というのは日本語として意味がわかりません。
ここの「一種の」の原語はおそらく「a kind of」だと思います。であれば意味合いとしては「美食家のようなもの」あるは「いわば美食家」になるのではないかと思います。

<蛇足5>
「アール・コートの近くにある安宿ですから。」(203ページ)
これはアールズ・コート (Earls Court) でしょうね。
いまでもB&Bが数多く存在する地域です。




原題:The Motor Rally Mystery
著者:John Rhode
刊行:1933年
訳者:熊木信太郎







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奇巌城(ポプラ社) [海外の作家 ら行]


([る]1-1)奇巌城 怪盗ルパン全集シリーズ(1) (ポプラ文庫クラシック)

奇巌城 怪盗ルパン全集シリーズ(1) (ポプラ文庫クラシック)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2009/12/24
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
深夜の伯爵邸を襲った怪事件。秘書が刺殺され、ルーベンスの傑作絵画が盗まれた。事件の裏で暗躍するルパンを追って、奔走する高校生探偵イジドール。大怪盗VS名探偵の推理合戦は、海に浮かぶ古城でついに対決を迎える。莫大な秘宝とともに待ち受ける悲しい結末とは! ?  解説/モンキー・パンチ


2013年2023年10月に読んだ8冊目の本です。
モーリス・ルブランの「奇巌城 怪盗ルパン全集シリーズ(1) 」(ポプラ文庫クラシック)
モーリス・ルブランのルパンものといえば、「怪盗紳士ルパン」 (ハヤカワ文庫 HM)感想で森田崇のコミック『アバンチュリエ(1)』 (イブニングKC)(感想ページはこちら)に触れながら、
「原作の翻訳も改めて読んでみようかな、という気になりました。」
と書いているように読んだものの、1冊で止まっている状態でした(何冊かハヤカワミステリ文庫は買ってあるのですが)。

そんなとき本屋さんでポプラ文庫から、昔懐かしい南洋一郎訳のシリーズが出ていることを発見。
このポプラ文庫版は、カバーの絵が昔図書館で借りて読んだものと同じなのがいかしています。
たしか瀬戸川猛資だったか、ルパンものは大人向けの翻訳で読むとつまらないけれど、南洋一郎訳だとおもしろい、といったようなことを書いていたような記憶があり、懐かしさも相まって買ってみました──といいつつ早川文庫版の大人向けの翻訳も個人的には楽しく読みました。念のため。

巻末に
「この作品は、昭和三十三年にポプラ社より刊行されました」
とあります。昭和三十三年!
この本、古い翻訳ということで、なかなか最近ではお目にかかれない表現が頻出で、そこも楽しめます。
たとえば「泉水池(せんすいいけ)」(17ページ)とか「半長靴」(33ページ)など最近では目にしない表現のように思えます。
「けれどそれまでが不安心だ」(264ページ)
の「不安心」もいまでは「不安」としか言わない気がしますね。
でも、こういうのを読むのはとても楽しい。

ミステリとしてみた場合、書かれた年代を考慮に入れたとしてもあまりにも雑(失礼)で甘々なので評価しづらいのですが、でもこの作品は、すこぶる面白い。
わくわくできますし、本当に面白いんですよね。

高校生探偵イジドールが大活躍、というか、持ち上げすぎ。
ガニマール刑事をはじめ大人たち、果てはアルセーヌ・ルパンに至るまで、
「じつのところ、おれはきみがおそろしいのだ。過去十年間、おれは、きみみたいな相手にぶつかったことがない。きみはおそろしいやつだ。
 ガニマールもホームズも、おれから見たら子供の手をねじるみたいあった。ところが、きみはおれをどたんばまで追いつめ、おれをあぶなくやっつけるところだった。おれは、もうすこしで、しっぽをまいて逃げるところだった。」(130ページ)
なんてイジドールのことを褒めちぎりますが、彼の推理の内容などをみてもとてもとてもそこまでのレベルとは思えない(笑)。物語の牽引役として立派に務めを果たしてはいますけれど......

伯爵家の強盗から、殺人事件、ルパンの消失、医者の誘拐騒ぎに暗号解読、フランス王家の秘密、隠された財宝まで、まさに波瀾万丈のスピード感あふれる物語展開はおもしろい。
子どもの頃にこんな面白い話を読むことができてよかったです。

ルパンものの再読、南洋一郎版で進めるか、大人向けの翻訳で進めるか......悩みますね。


<蛇足>
「きみ、すばらしいことをやっつけたね。大成功だ。われわれ商売人もすっかり鼻をあかされた形だ」(267ページ)
これはガニマール刑事がイジドールを褒めるセリフです。
警察官が商売人というのはちょっと変ですね(笑)。
フランス語の商売人という語には、プロフェッショナルに近い意味があるのでしょうか?


原題:L'aiguille Creuse
作者:Maurice Leblanc
刊行:1909年(Wikipediaによる)
訳者:南洋一郎






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精神病院の殺人 [海外の作家 ら行]


精神病院の殺人 (論創海外ミステリ)

精神病院の殺人 (論創海外ミステリ)

  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2018/12/05
  • メディア: 単行本



2023年8月に読んだ3冊目の本。
ジョナサン・ラティマーの「精神病院の殺人」 (論創海外ミステリ)
単行本です。論創海外ミステリ221

作者、ジョナサン・ラティマーの作品を読むのは
「赤き死の香り」 (論創海外ミステリ)(感想ページはこちら)、
「サンダルウッドは死の香り」 (論創海外ミステリ217)(感想ページはこちら
についで3冊目ですが、この「精神病院の殺人」がデビュー作だったようです。

探偵役は私立探偵ビル・クレインで、酔いどれでそれなりに腕っぷしも強い(はず)なので、いかにもハードボイルドに出てきそうな探偵役なのですが、内容は本格ミステリだと思いました。

酔いどれ探偵ビル・クレインが、精神病院に潜入捜査する、というのが入り口で、そこで連続殺人の幕が開きます。
入院の手続きのときに医者に職業を聞かれて、
「実は、おれは名探偵なんだ」(34ページ)
と答えるのが笑えますし、拘禁棟に連れられようとするときには
「『おれを閉じ込めるなんて、大きなまちがいだ』彼は真剣に訴えた。『おれはC・オーギュスト・デュパンなんだぞ』」(38ページ)
と言ったりもします。デュパンですよ、デュパン。
ハードボイルドを目指しているなら、ここはもっと違う名前になりそうです。

事件も、鎖されたような精神病院を舞台に、限られた登場人物内で起こる連続殺人、ですから、いかにも本格ミステリ。
金庫の盗難騒ぎ(?) から始まって、精神病院ならではの騒ぎを繰り返しながら(という表現は、コンプライアンス的にアウトな気がしますが)酔いどれ探偵が真相を突き止めていく。
騒がしいやりとりや出来事にくらまされるところは多々ありながら、しっかり手がかりは撒かれていますし、ビル・クレインも酔っ払っていてもしっかりその手がかりを回収していきます。
密室状況的な謎も、きわめて常識的な解決を提示してみせるなど、なかなか小技が効いています。
それに勘ぐりすぎかもしれませんが、ハードボイルド調の要素すら一種のミスディレクションとして機能しているように思いました。


ジョナサン・ラティマーの旧訳作品たちを復刊あるいは改訳してくれないでしょうか?


<蛇足1>
「テニスコートと、クロケットのフィールドと、ゴルフのパッティング用のグリーンがあって」(18ページ)
クロケットとあるのは、croquet のことだと思われます(クリケットのタイポではないでしょう)。
日本語では普通クロッケー(あるいはクロケー)と呼ばれているものでしょうね。

<蛇足2>
「八十万ドルの債権入り貸金庫の鍵と四十万ドルの債権が入った手提げ金庫の行方」(325ページ)
笹川吉晴による解説ですが、ここは債権ではなく債券ですね。
本文ではちゃんと債券になっているんですけどね。




原題:Murder in the Madhouse
作者:Jonathan Latimer
刊行:1935年
翻訳:福森典子









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さよなら、シリアルキラー [海外の作家 ら行]


さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)

さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2015/05/10
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
ジャズは高校三年生。町ではちょっとした有名人だ。ある日、指を切りとられた女性の死体が発見され、ジャズは連続殺人だと保安官に訴える。なぜジャズには確信があったのか──彼が連続殺人犯の息子で、父から殺人鬼としての英才教育を受けてきたからだ。親友を大切にし恋人を愛するジャズは、内なる怪物に苦悩しつつも、自ら犯人を捕えようとする。全米で評判の青春ミステリ。


読了本落穂ひろい。
バリー・ライガの「さよなら、シリアルキラー」 (創元推理文庫)
2017年10月に読んだようです。

冒頭のシーンは、警察が現場検証を行っているのを背の高い草に隠れて伺っている主人公ジャズ。
非常に怪しい幕開けで、これだけではジャズがいわゆる正義サイドなのか悪サイドなのかわからない。
次第に、ジャズは正義サイドで、あらすじにもあるように不幸なことに父親ビリーがシリアル・キラーで、連続殺人鬼としての英才教育(!) を受けてきた17歳の青年、ということがわかります。
連増殺人鬼のことがわかるから、捜査を手伝わせてくれ、というジャズ。

もうこれだけで面白そうではないですか!
当然のことながら、ジャズを取り巻く環境は容易ではありません。
シリアル・キラーが父親。その手にかかった被害者の家族がやってきたりする日常も、事件の捜査とならんで、しっかり描かれていきます。
祖母と暮らす毎日もジャズにとっては厳しい。今はいない母親に関するあやふやな記憶も悩み。
ジャズを支えるのは、ジャズにとってかけがえのない友人、ビリーの側に堕ちてしまいそうになるのをつなぎとめ、正気でいさせてくれるハウイーと、彼女であるコニー。

70ページになると、ジャズが伺っていた事件の犯人である”ものまね師”が登場。逆にジャズを伺っていることがわかります。
このあたりはシリアル・キラーものサスペンスの王道のパターンではありますが、主たる視点が連続殺人鬼の息子ということで自らに対する疑問を抱える青年の思春期の苦悩と照射しあってとても新鮮です。
「おまえは人殺しだ。まだ誰も殺していないだけで」(351ページ)
というセリフ、強烈でしょう?

青春小説のテイストが好きなので、とても楽しく読みました。
このあとのシリーズも購入してあるのですが、未読です。
(超)久しぶりに手に取ってみたいと思います。








原題:I Hunt Killers
作者:Barry Lyga
刊行:2012年
訳者:満園真木






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アレン警部登場 [海外の作家 ら行]


アレン警部登場 (論創海外ミステリ)

アレン警部登場 (論創海外ミステリ)

  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2005/04/01
  • メディア: 単行本


<カバー袖あらすじ>
パーティの余興だったはずの「殺人ゲーム」。
死体役の男は、本当の死体となって一同の前に姿を現わす!
謎を解くのは、一見警察官らしからぬアレン主任警部。
犯人は誰だ!? ── 黄金時代の四大女性作家のひとり、ナイオ・マーシュのデビュー作、遂に邦訳登場。


2022年11月に読んだ2冊目の本です。
単行本で、論争海外ミステリ18。
ナイオ・マーシュのデビュー作。

ナイオ・マーシュの作品はこれまで何作か読んだことがありますが、あまり印象に残っていません。
この「アレン警部登場」 (論創海外ミステリ)を読んでも、その印象は変わらずで、おそらくすぐに忘れてしまうことでしょう。

非常にしっかり作られているなとは思うのですが、いい意味でも悪い意味でも際立ったところがなく、おそらくアレン警部とナイジェル・バスゲイトのキャラクターは作を重ねることで深まっていくのでしょうが、この作品ではまだまだ緒に就いたばかりという印象です。

典型的なお屋敷ものの舞台設定に、ロシア人秘密組織が絡むという異色の展開を見せますが、本格ミステリとしては少々上滑り感があります。

お屋敷で行われる殺人ゲームで実際の殺人が起こる、というストーリーです。
殺人ゲームというのはイギリスの本格ミステリでときどき見かけるゲームですが、おもしろいのでしょうか? 
ゲームのやり方を紹介しているところを読んでも、あまりおもしろそうにはならないように思えるのですが......

個人的には、犯行シーンが分かりにくかったのがちょっと残念でした。

「それに最近の小説にでてくる刑事は、あまりにも庶民的でなんだかウソくさいし。それに比べてあのアレンという警部は、堂々とした風采といい、洗練された話し方といい、エドワード七世時代風だわ。あの貴族的な調子で追及されるのは、むしろ光栄なくらい。」(149ページ)
と評されるアレン警部は、もっとつきあってみたいかもと思わせるものがありますので、ほかの作品も読んでみたいと思います。
(既読分はすっかり忘れちゃっているので、再読してもよいかも、ですが)



原題:A Man Lay Dead
著者:Ngaio Marsh
刊行:1934年
訳者:岩佐薫子





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眠れる森の惨劇 [海外の作家 ら行]


眠れる森の惨劇―ウェクスフォード警部シリーズ (角川文庫)

眠れる森の惨劇―ウェクスフォード警部シリーズ (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2022/11/06
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
五月十三日の月曜日はその年、もっとも不吉な日だった。ウェクスフォード警部の部下マーティンが、銀行強盗に殺されたのだ。そして同じ日の夜、高名な社会学者が住む森の奥の豪奢な館から緊急通報が入った。「助けて、早く来て、早くしないとみんな殺されてしまう」
強盗殺人と森の奥での一家惨殺。二つの事件に何らかのつながりがあることを確信したウェクスフォードは鬱蒼たる森に潜む狂気に近づいていく。が、不可解な出来事の連続で、謎はどんどん深まりゆくばかりだった……。待望のウェクスフォード警部シリーズ。本格サスペンス。


2022年5月に読んだ6冊目の本です。
「ジェノサイド」(上) (下) (角川文庫)(感想ページはこちら)と
「空白の叫び」(上)(中)(下) (文春文庫)(感想ページはこちら
の間に読んでいたのですが、感想を飛ばしていました。

ルース・レンデルの作品を読むのはすごく久しぶりです。
手元の記録によると2009年にバーバラ・ヴァイン名義の「哀しきギャロウグラス」 (角川文庫)を読んで以来で、12年ぶりですか。
ルース・レンデルは、一時期恐ろしい勢いで翻訳が進みましたが、ばったり訳されなくなりましたね。
訳されなくなったどころか、訳書のほとんどが今や入手困難ですから、時代の移り変わりを感じます。

さて、この「眠れる森の惨劇」 (角川文庫)はウェクスフォード警部シリーズの一作です。
じっくり楽しめましたね。
ウェクスフォードの私生活に筆が費やされ、特に娘であるシーラが変な男にひっかかってしまって、ウェクスフォードが振り回される状況が可笑しかったです。
そのせいか? ウェクスフォードは一家惨殺事件の生き残りである娘デイジーに親身な姿勢。


事件の方は銀行強盗と一家惨殺事件という、豪華二本立て?で、派手なところはないものの、レンデルには珍しく意外性も狙った作品のように感じられました。


原題は、”Kissing The Gunner’s Daughter”。
直訳すると、砲手(ガンナー)の娘にキスをする。
このままの表現が二度ほど出てきます。
「ガンナーの娘にキスをするというあの言い回しをご存じですか、警部?」
「なにかが全然ちがうという意味のフレーズなんですが、ただ、それがなんだったのか思い出せなくて」(345ページ)
バーデンが部下?同僚?のバリー・ヴァイン部長刑事に言われるセリフですが、このバリーの説明は間違っていますね。
後にウェクスフォードが
「どういう意味かって? 鞭でうたれるって意味だ。英国海軍では水兵を鞭うつとき、まず甲板の大砲にそいつをしばりつけてからやる。だから ”ガンナーの娘にキスをする” のは危険なくわだてだったわけだ。」(514ページ)
と解説します。

プレミアリーグのアーセナルの別名がガンナーであることも出てきますし、主要登場人物の一人であるデイジーの実の父親がアーセナルでプレイしていたこともあってガンナーと呼ばれているということも関係していますね。
ひょっとしてレンデル、語呂合わせでこのストーリーを思いついて作品に仕立て上げた?

久しぶりのレンデル、おもしろかったですね。
積読本がまだまだあるので、ゆっくりではありますが、読んでいこうかと思います。


<蛇足1>
「どこかに暗証番号を書き留めたのは確かだ。彼は記憶の糸をたぐった──50503? 50305?」
キャッシュカードの暗証番号が5桁ということはないと思うのですが(イギリスも同様です)。

<蛇足2>
「小切手の確認のためにクレジットカードの提示を求められることはなかった。」(8ページ)
小切手の確認のために提示を求められることがあるのは、クレジットカードではなくキャッシュカードかと思います。

<蛇足3>
「ドアマットの上の郵便受けに、シーラからの絵はがきがはいっていた。四日前にヴェニスで投函されたもので、彼女はあの男とそこへ行っていたのだ。」(66ページ)
ヴェニスからイギリスまで5日で到着するとは、イタリアとイギリスの郵便事情はよいのですね。
今や日本では到底望めない迅速な配達ぶりです。
(考えてみれば、何もかもスローなイギリスでも郵便だけは──だけと言っては失礼ですが──しっかりしていたなと思えます)

<蛇足4>
「ダヴィナはそこのメンバーだか友達だかなんだかで、年に三回はでかけているの──いたの」(132ページ)
ここの友達は「friend」の訳だと思いますが、ここは友達ではなく、会員のことを指すのだと思われます。メンバーと同じ意味ですね。

<蛇足5>
「したがって、<ナメクジとレタス>というミリンガムのパブにはいり」(214ページ)
<ナメクジとレタス>で思い出しましたが、”Slug and Lettuce” というバーのチェーンがロンドンにありました。
一般的なパブのイメージよりは明るい内装でした。
ここに出てくる<ナメクジとレタス>は、チェーンの ”Slug and Lettuce” ではなさそうですが。

<蛇足6>
「ウェクスフォードはイギリス中のすべての銀行のすべての支店で現金が引き出せるトランセンド・カードをもっていた。」(418ページ)
イギリスでは、自行他行関わらず、どこのATMでも銀行のキャッシュカードで現金が引き出せ、かつ手数料も無料ですが、ここを読むと以前はそうではなかったようですね......
トランセンド・カードというものを見たこと、聞いたことはありません。



原題:Kissing The Gunner’s Daughter
著者:Ruth Rendell
刊行:1992年
訳者:宇佐川晶子




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アイス・ステーション [海外の作家 ら行]


アイス・ステーション 上 (ランダムハウス講談社文庫)アイス・ステーション 下 (ランダムハウス講談社文庫)

アイス・ステーション 上 (ランダムハウス講談社文庫)
アイス・ステーション 下 (ランダムハウス講談社文庫)

  • 作者: マシュー・ライリー
  • 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
  • 発売日: 2006/08/02
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
アメリカが南極に持つウィルクス・アイス・ステーション(氷雪観測基地)からSOSが発信された。海中洞窟でダイバーたちが氷に埋もれた “宇宙船” を発見、何かに襲撃され、大量の死者が出たという。米国海兵隊偵察部隊は急遽、救援に向かったが、基地に到着するやいなや、フランス軍最強の戦闘部隊から奇襲を受ける。海中深く眠る謎の黒い物体を巡る国際争奪戦の幕が開く。SF軍事サスペンス大作。『スケアクロウvol.1‐3』を改題、文庫化。<上巻>
海中深くに沈む “宇宙船” を手に入れようと、米国海兵隊に次々と襲いかかる強敵——フランス軍、イギリス陸軍特殊空挺部隊(SAS)……。気象条件の悪化により、外部との交信を完全に遮断された南極基地で、激しい戦闘が繰り広げられる。その渦中、謎の解明のため、深海へのダイビングを決行した海兵隊員と古生物学者は黒い金属製の “宇宙船” の正体を突きとめる。氷に閉ざされた大陸に隠されてきた秘密がやがて明らかになる……。<下巻>


この作品から2022年3月に読んだ本です。
これぞザ・ローラーコースター・ノベル。
帯では福井晴敏が絶賛していると書いてありまして、
アクション、謀略、サスペンス、SF……豪州からやって来た究極の大皿料理!
もうお腹いっぱいです!!
とのこと。でも、まさにその通りで、次から次へと主人公に難題が襲いかかる。たっぷり。
上に引用したあらすじを事前に読まずに読んでいったのですが、今あらすじを見てみると、結構いろいろと書いてありますね(笑)。まあ、謎解きものではないので、ネタバレだと怒ることもないですが。

味わいとか深みなどというものはかけらもありませんが、こういう作品は割り切って楽しむものかと。
シリーズ3作目まで翻訳されていたようなのですが、なにしろ版元が消滅してしまっているので手に入りませんね。肩の力を抜きまくって読む息抜きに良さそうなのですが、残念です。

ところで、海豹の子ども・ウェンディがいい活躍をします。お気に入り。
この ”海豹” 、本文では ”海豹” つまりあざらしと書いてあるのですが、巻頭の登場人物表では(そうなんです。人間ではないのですが、ウェンディは登場人物表に載っているのです!)、メスのオットセイ、と違う種類の生き物にされちゃっています。英語だとどちらが正しいのでしょうね?


<蛇足>
「わたしたち人類という生物が地球上に生まれてから、まだ百万年にもならない。」(上巻291ページ)
あれ? そうだっけ? と思ってしまいました。
その後
「地球の歴史を一日二十四時間の枠に収めたとすると、現在の人類が生まれたのはわずか三秒前。いわゆる文明化された人間生活が――ホモサピエンスとしての暮らしが――この地上に存在した時間はさらに短く、ほんの二千年弱、地球の時計では一秒にも満たない期間なの」
と敷衍されます。
ホモサピエンスからを人類と区切っているのですね。



原題:Ice Station
著者:Matthew Reilly
刊行:1998年
訳者:泊山梁



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サンダルウッドは死の香り [海外の作家 ら行]


サンダルウッドは死の香り (論創海外ミステリ217)

サンダルウッドは死の香り (論創海外ミステリ217)

  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2018/10/05
  • メディア: 単行本




単行本です。
作者、ジョナサン・ラティマーの作品を読むのは「赤き死の香り」 (論創海外ミステリ)(感想ページはこちら)についで2冊目です。
「赤き死の香り」は「ハードボイルド+本格ミステリ」とあって、読んでみたら「軽ハードボイルド」だと思ったのですが、「サンダルウッドは死の香り」 (論創海外ミステリ217)を読んで「軽ハードボイルド」というよりは呑ん兵衛が探偵役の本格ミステリなんじゃないかと思えました。
探偵の設定や巻き込まれる事件や騒動がハードボイルドタイプなのは確かですが、作家の指向性として本格ミステリが底流にあるような気がします。
脅迫状の取り扱いとか、密室殺人とかでそのことは顕著ですよね。
それと女性の扱い方をみてもそうではないかと感じます。

と思っていたら、このあたりのことは「論理酔いの探偵たち」と題した解説で笹川吉晴が詳しく書いていました。
そうですよね、そうですよね。それくらいのこと、みなさんとっくに気づいていますよね。
でも、我が意を得たりでうれしくなりました。

本格ミステリ好きのかたにも満足いただける作品だと思います。


<蛇足1>
脅迫状の署名が「ザ・アイ」。(最初に出てくるのは14ページ)
The Eye でしょうか? とすると、ザではなくジと読むはずですが、日本語にするとわからなくなるのであえてザとしたのかもしれませんね。

<蛇足2>
「彼女の足が地面につくまでのわずかな間、彼女はクレインの胸に体をもたせかけた。ほんの一瞬、サンダルウッドのような濃厚な香水の匂いがした。」(68ページ)
邦題にもなっているサンダルウッド。ここでは香水ですね。
サンダルウッドといえば、日本語で白檀。


<蛇足3>
「アスキボー(アイルランドの香料入りのアルコール飲料)って吞んだことあるか?」
「いや。何で?」
「ただ、どういう味なんだろと思ってな」(154ページ)
ウイスキーの語源がゲール語で「生命の水」でウスケボーといったと記憶しています。ウスケボーという名前のお店が日比谷にあって、そこで知りました。
こちらのページによると
「ゲール族の言葉で「生命の水」=ウシュクベーハーという言葉から、時代の経過と共に「ウスケボー(アスキボー)(Usquebaugh)」→ウショク(Uisge)→ウスキー(Usky)→「ウイスキー(Whisky・Whiskey)」になったといわれています。」
ということらしいです。

<蛇足4>
「彼は椅子のところまで行くと、シルクのパンツと靴下を身に着け、エナメル革の礼装用の靴を履き、ワイシャツを着た……ところがで一体ズボンはどこにあるのか?」(207ページ)
ズボンより先にパンツを履くのですね......
(このシーンではズボンが見つからないので履けないのですが)

<蛇足5>
『彼はクレインの腹をひどく蹴りつけてから、船室のもっと奥のほうに押しやった。「道は空けとけ」と彼はいがんだ。』(308ページ)
いがんだ? この語がわかりませんでした。まさか「歪む」が訛っているわけではないだろうし。
ネットで検索してみると、啀むというのがあり、
1 動物が牙をむいてかみつこうとする。
2 激しい口調で立ち向かう。くってかかる。
という意味らしいです。知らなかった。


原題:The Dead Don’t Care
作者:Jonathan Latimer
刊行:1938年
翻訳:稲見佳代子







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苦い祝宴 [海外の作家 ら行]

苦い祝宴 (創元推理文庫)

苦い祝宴 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2022/06/02
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
中華料理店で働く青年四人が、ある日突然揃って姿を消した。彼らが勤めていたのは、チャイナタウンの大物が経営する有名店。最近始められた組合活動に関して、店と対立があったらしいが、その程度のことで拉致されたり消されたりするはずもない。半ば強引に捜索の仕事を引き受けたリディアは、相次ぐ予想外の展開に翻弄される。〈リディア・チン&ビル・スミス〉シリーズ第五弾。


2021年10月に読んだ10冊目の本で、リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ第5弾です。
中国系の若い女性リディアと中年白人男性ビルのコンビで、交代に語り手をつとめてきましたが、この「苦い祝宴」 (創元推理文庫)はリディアの番です。

中華街のレストランに端を発する騒動ですが、この手の物語の定番展開ながら、リディアは手を引けと脅されます。
関係者を心配しつつ捜査を続けるのですが、その先で
「誰か変な人は訪ねてきた?」
ピーターは鉛筆立てから箸を抜いて渡した。
「きみのほかに?」(95ページ)
なんてからかわれたりもします。
脅迫されても捜査を続ける言い訳としてリディアが言うのが
「責任を負ったのよ。縁ができてしまったのだから」(101ページ)
というセリフ。これはなかなか理解しにくい概念ですよね。
でも中国人には筋が通ったものと理解されてます。このあたり面白いですよね。

このリディアの不屈の精神というか、まあ、悪く言ってしまえば「わたしが、わたしが」精神こそが物語の駆動力ですよね。
かなり危なっかしいのですが、ちゃんと周りにサポートする人たちがいますしね。
探偵は卑しい街を行く、と言えども、一人で行くわけではないよ、というところでしょうか。

レストランの労使対立(?) のような出だしから、事件の様相が変化・展開していくという定石的な展開を見せますので物足りないといえば物足りないし、手堅いといえば手堅い。


このシリーズ、
「シャンハイ・ムーン」 (創元推理文庫)
のあと翻訳が途絶えていて心配していたのですが、先月(2022年5月)に待望の新刊「南の子供たち」 (創元推理文庫)が訳されましたね!
よかったよかった。
「苦い祝宴」のあとの作品群
「春を待つ谷間で」 (創元推理文庫)
「天を映す早瀬」 (創元推理文庫)
「冬そして夜」 (創元推理文庫)
「夜の試写会」 (創元推理文庫)
「シャンハイ・ムーン」 (創元推理文庫)
はすべて買ってあります!


<蛇足1>
『「イングリッシュブレックファストをポットでお願いできる?」わたしたち中国人がオレンジペコーと呼ぶこの紅茶は繊細さはないものの、色も味も濃く、気分がしゃきっとする。』(79ページ)
恥ずかしながら、紅茶の銘柄としてイングリッシュブレックファストとオレンジペコーはまったく別物だと思っていました。
調べると、オレンジペコーというのは銘柄ではなく、茶葉の等級を指すのですね。
イングリッシュブレックファストはブレンドティーで、結構好きです。
日本ではアールグレイが人気のようですが、ベルガモットの香りが強いフレーバーティーなので、紅茶らしい味わいという意味ではイングリッシュブレックファストの方が断然好みです。

<蛇足2>
「調理人への誉め言葉は暗に料理を批判していることになるというしきたりに従い、誰もシェフを誉めたりはしないが明らかに満足し、例外なくお代わりをして黙々と腹に詰め込み……」(197ページ)
こんなしきたりがあるのですね!


原題:A Bitter Feast
著者:S. J. Rozan
刊行:1998年
訳者:相良和美


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