ガス灯野良犬探偵団 2 [コミック]
<カバー裏紹介文>
突如現れた武闘派の少年・ジエン。彼の目的は、仲間の殺害現場を目撃した少女を捕獲して連れ帰ることだった。少女を救うべく真相を追い始めるリューイと、依頼を受け事件に参入するホームズ。だが、そんな彼らの前に中国マフィア “磁刀会” が立ちはだかる──。
原作が青崎有吾の注目コミック、「ガス灯野良犬探偵団 2」 (ヤングジャンプコミックス)。
原作:青崎有吾、漫画:松原利光、というタッグの作品です。
act. 7 クソガキ
act. 8 ジエン
act. 9 クエスチョン
act.10 アンサー
act.11 GIVING BACK
act.12 プラン修正
act.13 考える前に走りだす
act.14 血まみれ壁広告事件
act.15 スポンサーの意向
act.16 猿とサーカス
act.17 動物世界
を収録しています。
act. 7から11まで、前巻「ガス灯野良犬探偵団 1 」(ヤングジャンプコミックス)(感想ページはこちら)のラストで登場した中国マフィア〈磁刀会〉のメンバージエンに絡むエピソード。
冒頭依頼人に対して推理を披露するホームズにニヤリ。
靴から推理を導き出すリューイの手腕は抑え目ですが、キーとなるところで使われているのが効果的。その推理にホームズが乗っかるという構図もいい。
いやあ、この話、桃太郎形式で進んでいくのでしょうか?
ちょっと先の話になりますが、act.16に出てくる少女もひょっとして......?
act.12と13は間奏曲でしょうか。
act.12では第1巻で出てきた議員殺しの犯人ボルドー医師が牢獄で殺されるところが描かれます。バクスターという人物が登場し、”学長” という謎めいた語をつぶやきます。
act.13は、リューイとジエンが、引っ越し手伝いに見せかけ盗みを働く少年を、ハドソン夫人にいわれて捕まえる話。リューイの靴に関する知識をちょっと面白い形で使っているのがポイントですね。楽しい。
act.14~15は、エンディングでレストレード警部(とさらっと書いてしまいましたが、このシリーズにおいてレストレードは警部でしょうか? 時期的にまだ昇進前のような)が登場し、リージェント街の壁広告に、存在しない床屋の広告が掲げられ、その広告に誰かが(動物の)血をぶちまけた事件を持ち込みます。
ラストでご褒美に(?) レストレードからビスケットをもらってリューイとジエンが食べるシーンがあるのですが、
「シケてないビスケットなんて初めて食うな」
「…なんか喉かわく」
「シケてるほうが美味い」
と言っていて笑ってしまいました。
この頃はすでに紅茶文化が根付いていたとは思いますが(とはいえ上流階級かせいぜい中流階級まででしょうけれど)、だいたいイギリスのお菓子類は紅茶と共に食べることが前提となっているものが多く、喉がかわく、あるいは飲み物を欲したくなるようなものが多い点を象徴していますね。
ケーキ類も極端に甘かったり、しっとりしておらずぼそぼそしていたりしますしね。
act.16~17は、一転、 サーカス入りを目指す少女の物語。
少女がサーカスに乗り込んで、おそろしい場面となるところで終わり。次巻へ続きます。
ガス灯野良犬探偵団 1 [コミック]
<カバー裏あらすじ>
19世紀末ロンドン。路地裏で浮浪児として暮らす少年・リューイは、とある殺人事件をきっかけにひとりの探偵と出会う。探偵の名は、シャーロック・ホームズ。リューイは下層階級を顧みないホームズを憎みながらも、犯罪と陰謀が渦巻く魔都ロンドンの浮浪児たちを救うため、彼のもとで“猟犬”として働くことを決意する。少年たちの地下街(アンダーグラウンド)ミステリー叙事詩、開幕!
積読が積もり積もっている状況で新しいコミックなどに手を出している余裕はないことは重々、重々、承知しているのですが、原作が青崎有吾とあっては、ねぇ?
この「ガス灯野良犬探偵団 1 」(ヤングジャンプコミックス)は、原作:青崎有吾、漫画:松原利光、というタッグの作品です。
act.1 下を向いて歩こう
act.2 水曜、無給労働
act.3 動かぬ証拠
act.4 アルミニウムの松葉杖
act.5 Whatever Remains
act.6 猟犬と狂犬
を収録しています。
主人公は、靴磨きの浮浪児・リューイ。
冒頭靴磨きをしているリューイが、「野良犬はペラペラ喋るべきじゃないな」といって青年紳士に顔を蹴りつけられるシーンで幕開き。
友人であり守護者でもあったニーナを殺した犯人をつきとめようとしたリューイは、「靴を見ればなんでもわかる」といい、その観察眼が鋭いことに驚かされます。
そのリューイに一歩(半歩?)先んじたのが、例の青年紳士。ニーナは、彼の ”猟犬” だったと言います。
野良犬の暮らしには興味がない、と言い放つ青年紳士に、
「おれを雇え
あんたからやり方 全部盗んでやる
喰らいつくしたら…その時は殺す」
とリューイはいい、交渉成立。
となるわけで、この青年紳士の正体こそがact.1 のクライマックス、なのですが、あちこちにネタばらしがされてしますし、シリーズとして謳われているので、やむなし、ですね。
これが、かなり若かりし頃のシャーロック・ホームズ、です。
いやあ、実に嫌な奴。斬新な設定です。
act.2 は老人の転落死事件で、冤罪になりそうな家政婦を救う。ここでも(ちょっと弱いですが)、リューイは観察眼を発揮します。
act.3~5 は、看護婦殺しの現場にいた財閥の次男坊。彼が犯人に間違いないだろうに、凶器(act.4のタイトルになっている、アルミの松葉杖)が見つからない、という話。
いやあ、なんでもお見通しのホームズは、本当に嫌な奴ですね(笑)。
「不可能を消去していって
最後に残るものがどんなに奇妙でも…
真実だ」
という有名なセリフが登場してニヤリとするのですが、あとでホームズは「あれは適当に言っただけだ」と茶化しています。
この話に、レストレード登場。こちらも想定しているのと全然違う姿かたちでの登場でした。
act.6 は、中国マフィア〈磁刀会〉のメンバーにリューイが遭遇します。
遭遇したというよりは、暴漢たちに襲われようとしていた少女を助けようとしたリューイが返り討ちにかっているところを、そのメンバーが助けて......という状況ですね。
次巻へ続くようです。
ホームズなどの設定がやややり過ぎ感はありますが(根っからのホームズファンの方々から物言いがつきそうです)、推理という点ではさすが青崎有吾ということでしょう、切れ味が鋭く感じました。
愉しみなシリーズです。
金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(1) [コミック]
金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(1) (講談社コミックス)
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/11/17
- メディア: コミック
ちょっと古い本なのですが、「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」 (1) (少年サンデーコミックス)(感想ページはこちら)と同時に読んでいまして、続けて感想を書こうと思っていたんですよね、もともと。
でも、いつもの癖で先延ばしにしてしまい、英国赴任とかでうやむやに。
帰国後感想を書こうと思って探したのですが、コミック本が見つからず断念しかけていたところ、先日ようやく発見しましたので、コミックも読了本落穂拾いということで。
「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」もこの「金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」も、オリジナルの漫画があって、それに対するパロディというかオマージュというか、そういう位置づけの作品です。
「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」は感想をご覧いただくとわかるとおり、失望の一語だったのですが(とはいえ、世間的には人気を博しているようですね。順調に巻を重ねているようです)、こちらの「犯人たちの事件簿」は、いたく気に入りました。
これ、いい。すごく、いい。
大好きです。
第1巻は
「オペラ座館殺人事件」
「学園七不思議殺人事件」
「蝋人形城殺人事件」
「秘宝島殺人事件」
の犯人たちの物語です。
オリジナルをすっかり忘れているので、見比べることはできないのですが、せっかく苦労してトリックを弄して殺人を犯したというのに、金田一少年に見抜かれてしまった犯人たちの苦労話です。
まず注目なのは犯人の動機には触れていないこと、です。
オリジナルの「金田一少年の事件簿」は、いずれも怨念というか恨みつらみにあふれて殺人を起こすというストーリーが多く、復讐が主たる動機というイメージがありますが、この「犯人たちの事件簿」はその部分はあっさり捨象してしまって、犯行シーンに特化しています。
これ、大成功。
怨念だ、復讐だとなると、どうしても湿っぽくなってしまいますが、この部分を捨て去ることで、ドライに楽しめます。カラッと笑える。
オリジナルで繰り広げられる数々のトリックを、さて犯人の立場になって実際にやろうとするとどうなるのか。
平静を装う演技力、準備に必要なお金、力業(体力)、全力疾走、長時間にわたる待機や息を潜める苦労......
いやあ、殺人なんてするもんじゃないですね。
せっかく苦労してトリックを駆使して作り上げた目くらましも、金田一少年にはあっさり見破られ、
そりゃあ帯にもあるように
「やめろ金田一! みんなの前で俺のトリックを暴かないでくれ…!!」と言いたくなりますよねえ。
思わず犯人に同情してしまいます。
このあたりの加減がうまく笑いに結びついています。
本人(この場合犯人)が真面目にやればやるほど、傍から見ているとおかしいという王道をいっているのもいいですよね。
わりとミステリに対しては、探偵の推理が間違っている、とか、ロジックに穴があるとか、あるいはトリックが実行不可能だとか、いう指摘がされることがあるのですが(そういうのを集めた本まで昔ありましたねぇ)、この作品はあくまでもオリジナルに忠実に、その犯行を再現してみせるところがいい。
この次の2巻も読んでいるので、そのうち感想を書きます。
3巻以降も買おうと思ったのですが、紙のコミック版はもう品切れ状態のようで、新刊書店では手に入らないのですね。
重版というか復刊というか、してもらえないものでしょうか?--もう電子の時代なんでしょうね。
タグ:船津紳平
名探偵コナン 犯人の犯沢さん 1 [コミック]
名探偵コナン 犯人の犯沢さん 1 (少年サンデーコミックス)
- 作者: かんば まゆこ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/12/18
- メディア: コミック
出版元である小学館のHPから引用します。
〈 書籍の内容 〉
あの"犯人"が主役のクリミナル・ギャグ!
犯罪都市、米花町―――世界トップレベルの事件数が 発生するこの町に降り立った、漆黒の人影…
標的に近づくべく上京してきたようだが、全てが謎に 包まれている。その人物の名は…犯人の犯沢さん(仮名)!
『名探偵コナン』でおなじみ、 全身黒タイツのようなビジュアルの"犯人"…
誰もが知ってるアイツが主役の漫画がスタートして以来、 ネット上で話題沸騰!
人気アンケート1位を独走し、さらには単行本発売前に日清とコラボし、朝のニュース番組で取り上げられるなど、 異例のスピードで認知度を上げている、唯一にして正統なる(?)コナンスピンオフ漫画、ついに待望の第1巻発売です!
〈 編集者からのおすすめ情報 〉
『名探偵コナン』を全巻読んでいる人も、 そうでない人も楽しめる、ギャグ漫画です!
"コナンワールド"と"かんばワールド"のコラボレーション、 是非ご一読くださいませ。
「名探偵コナン」 (少年サンデーコミックス)のスピンオフと呼んでよいのでしょうか。
「名探偵コナン」 には誰だかわからないように犯人が真っ黒に描かれて登場するシーンがよくありますが、その犯人を主人公に据えてマンガに仕立ててあります。
実は「名探偵コナン」を読んだことがなく、TVアニメも観たことがなく、唯一劇場版をいくつか飛行機の中で観たことがある程度ではあったのですが、90巻を超えるミステリマンガの金字塔ともいえる作品なので気になってはいたのです。
で、この「名探偵コナン 犯人の犯沢さん 1」 (少年サンデーコミックス)が話題になっているというので、気になって買ったと同時に、「名探偵コナン」の第1巻も今更ながら買ってみました。
でも、これ、(「犯人の犯沢さん 1」)、読んでみたら「名探偵コナン」ほとんど関係ないじゃん...あれっ!?
舞台こそ米花町で、そこは犯罪都市として高名とされていますし、「名探偵コナン」の登場人物もちらっと友情出演(?)しますが、内容は関係ありませんね。
なんだか何を目指そうとしているのかわからないけど、犯人になろうとして上京してきた田舎者がおろおろする、という話です。
第1話の冒頭いきなり、SUICAの使い方がわからない、というネタですからねぇ。第1話だけで、正直もういいかな、という印象。
「名探偵コナン」のパロディにもなっておらず、ミステリの要素もない。
ギャグがオリジナリティあっておもしろければ、それでもいいかなと思いますが、どこかで観たり聞いたりしたことのあるネタがほとんどとあっては困りものかと思います。
ちょっとガッカリしました。
タグ:かんばまゆこ
服を着るならこんなふうに (2) [コミック]
このコミック好評みたいですね。
先月、第6巻が出ていました。
「服を着るならこんなふうに (3)」 (単行本コミックス)
「服を着るならこんなふうに (4)」 (単行本コミックス)
「服を着るならこんなふうに (5)」 (単行本コミックス)
「服を着るならこんなふうに (6)」 (単行本コミックス)
今のところ、ここまで。
第2巻では、冒頭、まだ同窓会は続いていまして、第1巻(第1巻の感想ページへのリンクはこちら)のラストで出てきた、なんだか波乱含みの登場人物樋口のカットからスタートします。
その樋口からほめられます。「すごくオシャレになっててびっくりしたよ」と。
祐介改造計画(?) オシャレ化計画、ひとまず成功というところでしょうか。
この樋口、祐介に「自分はオシャレじゃない」というトラウマ(?) を植え付けた張本人であることがわかります(笑)。
当時の樋口の発言曰く「その服装良いと思ってしてるの?」
でも、このセリフ、本当に服装に無頓着な人なら聞き流すと思うんですよね。当時から祐介はオシャレになりたい気はあったということでしょうか...
祐介のアドバイザー(?) は妹環でしたが、このあと樋口も加わることとなります。
第2巻でも、祐介は買い物を続けます。
MA-1ジャケットをまず買って、
「胴長短足の日本人にとってタイトな服は頭の大きさを強調することになる」(46ページ)
これにどう対応するか、ということで全身のバランスをとるアイテムとしてストールを買います。
「顔の近くに何かがあると顔が小さく見える」(50ページ)
という点も触れられています。
「女の子が写真でとるポーズ、あれもその効果なんだよ」と環が解説しますが、祐介の感想が「歯が痛いポーズ!!!」(笑)
そのあとコート。
新しい発見というのはありませんでしたが、いつもぼーっと見て、選んでるだけのコートも、すっきり説明されていて勉強になりました。
服を買うことの快感に目覚めた祐介が、樋口のアドバイスを受けながら買いまくって、環と樋口が対決する、なんてはたから見たら笑えるシーンもコミックだけに用意されています。
最後には樋口と環もすっかり仲良くなって、次巻以降に続きます。
タグ:縞野やえ
小山荘のきらわれ者 リターンズ 2 [コミック]
小山荘のきらわれ者~リターンズ~ 2 (花とゆめCOMICS)
- 作者: なかじ有紀
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2016/03/04
- メディア: コミック
<裏表紙あらすじ>
下宿館・小山荘は相変わらず毎日が賑やか!
成介&麻里カップルと彰吾&安古カップルはそれぞれの将来に向けて奮闘中。
一方、家主の娘・千夏の恋に新展開!
さらにパリから懐かしのあの人がやって来ます♪
そんな住人達の未来の形は──!?
幸せいっぱいの恋愛事情、感動の完結です!
「小山荘のきらわれ者~リターンズ~ 1」 (花とゆめCOMICS)が出たのが2015年7月で、この「小山荘のきらわれ者~リターンズ~ 2 」(花とゆめCOMICS)が出たのが2016年3月。割とほどなく出たんですね。
「小山荘のきらわれ者~リターンズ~ 1」 は出ているのに気付くのが遅れたんですが、「小山荘のきらわれ者~リターンズ~ 2 」はすぐに買って読んだんです。ただ、引っ越しでどこにしまい込んだかわからず、感想が書けませんでした。
ようやく見つけたので、感想を。ちなみに、第1巻の感想はこちら。
第2巻にして完結、ということなので、ちょっと嫌な予感はしたんですが、うーん、正直ちょっと期待外れでしたね。
「この1巻は、復活篇の顔見世みたいなノリ」と前作の感想で書きましたが、この第2巻もそのまま。
懐かしい面々の紹介だけで終わってしまって、あんまり新しい展開がなかった...
せっかく復活させたのだから、もう少し相互に絡み合ったストーリー展開を期待したのですが。
だって、成長した面々が繰り広げる新たなドラマ、見てみたいとおもうじゃないですか...
もちろん、オールドファンとしては懐かしい登場人物たちに再び出会えて、そして、それぞれの人物がそれぞれに夢をかなえて力強く人生を歩んでいることがわかって、十分楽しみました。
でもね、それだけだと、新しいファンは生まれてこないように思うんですよね。
だから2巻なんて早々に終わっちゃったんじゃないかなぁ、と若干失礼なことまで考えてしまいました。
それにしても小山荘の面々の健全さはすばらしいですね。
すきだからこそのないものねだりはせず、この素晴らしい面々に再び出会えたことを寿ぐべきなんでしょうね。
タグ:なかじ有紀
服を着るならこんなふうに (1) [コミック]
<帯>
センスも大金も必要なし。おしゃれに大切なのは理論を知ること
ベストセラー「最速でおしゃれに見せる方法」の著者・MB氏によるファッション理論を盛り込んだ史上初のメンズカジュアルファッションコミック!
「服を買いに行く服がない」27歳にも効くロジックが満載
これまたいつもの読書(コミックを読書と呼ぶかどうかは置いておいて)傾向とは大きく外れますが、なんとなく気になって手に取りました。個人的に服を買うのは結構好きなのでこのコミックに興味あった、ということもあります。
ファッション、それも男性向けをテーマにしたコミックって、なかなかないですよね。
好評みたいで、
「服を着るならこんなふうに (2)」 (単行本コミックス)
「服を着るならこんなふうに (3)」 (単行本コミックス)
「服を着るならこんなふうに (4)」 (単行本コミックス)
と順調に続刊が出ているようです。
こういうハウツー本っぽいコミックって、導入部がワンパターンなんですよねぇ。
なにかに興味ない、やっていない、あるいはバカにしている男の子が、そのなにかをやるはめになって、当然うまくいかなくて落ち込んで、一念発起してそのなにかに嵌っていく...
この「服を着るならこんなふうに (1)」 (単行本コミックス)も見事にこれを踏襲していまして、「服を買いに行く服がない」27歳の主人公が、地元で開かれた小学校の同窓会の打ち合わせで、まわりがおしゃれになっていることに驚き、自分の姿に落ち込み...という出だし。
ま、オープニングはともかく、大事なのは中身ですよね、話の。
ユニクロの(黒の)スキニー(ジーンズ)を推しすぎな気がしないでもないですが、まあ、一つのセオリーですよね。(余談ですが、帯に、ロジック、とありますが、どちらかというとセオリー、ではなかろうかと思うのです、こういう場合は。)
また、ユニクロというと、安いもの、そして安いからよくないもの、というイメージがつきまといがちなところ、そうではなくていいものもあるし、ちゃんとお洒落になる、ということを突くのも狙いなんでしょう。
本文中にも、主人公がユニクロを着ていることを知って
「マジかよ それはないわ いい歳なんだから もっと良いの買えよ」
という登場人物が出てくること(、そしてそのあと主人公とまわりが反論すること)も、それを表していますよね。
ドレスとカジュアルのバランス、という指摘がなされていますが、うーん、そういう風に考えたことなかったですが、そういわれて考えてみると、確かにそうかもしれませんね。
意識せずに、なーんとなくそういう風に組み合わせてきたように思いますが、かっちりしすぎない、とか、ラフ過ぎないとかは考えますもんね。
鞄選びのところは、自分でも鞄の選び方は下手だと思っているので、正直参考になりました。結論がクラッチバッグというのはちょっと、あれれと思わないでもなかったですが、そこの至る途中経過に結構ヒントがありました。
ラスト、なにやら不穏な雰囲気を漂わせる終わりかたをしていまして、それはそれで楽しみです。
タグ:縞野やえ
小山荘のきらわれ者 リターンズ 1 [コミック]
小山荘のきらわれ者〜リターンズ〜 1 (花とゆめCOMICS)
- 作者: なかじ有紀
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2015/07/03
- メディア: コミック
<裏表紙あらすじ>
下宿館の小山荘は、建築士を目指す成介と美容師の道を歩み始めた麻里のカップルを中心に相も変わらずにぎやかな日々!
彰吾&安古に加えて、おなじみの住人達も登場で、少し大人になった彼らの関係は──!?
帯には
「名作『小山荘のきらわれ者』の彼らにまた会える──!!」
とあります。
すみません、これ、このブログのいつもの傾向とはまーったく違います。
ミステリでも、サスペンスでも、冒険ものでもありません。
全く違うんですが、懐かしくてねー、つい。いやあ、何年振りなんだろ?
amazonによると、「小山荘のきらわれ者 7」 (花とゆめCOMICS)の刊行が1988年の6月みたいなので、なんと27年ぶりですか!?
「Step」 (花とゆめCOMICS)というこのシリーズの番外編もありましたねぇ。こちらは、1991年の2月刊行のようなので、ここから数えても24年ぶり。
友だちに紹介されて読んだマンガでしたね。あのときすでに完結していたはず...
このあと、結構なかじ有紀さんの作品は読んでいます。
ずいぶん、ずいぶん経ちますが、物語の中の設定は、3年後らしい...
絵がかなり変わっているんですね。こんなに時間が経てば、当たり前か...
最初のページに、昔の絵を使って、「~小山荘のこれまで~」という紹介ページが作られているのですが、その左がわの登場人物紹介のキャラクターの絵(現在書かれたもののようです)と全然違う(笑)。
この1巻は、復活篇の顔見世みたいなノリですので、懐かしい登場人物たちが少しずつ紹介されていきます。むしろ彰吾の父親の登場が早すぎる気がするくらい、次々と登場します。
巻末の2巻の予告を見ると、北原が大きく取り上げられるみたいですし、篠崎もフランス帰りとかで戻って来るらしいですし、昔を思い出して、楽しみに待とうと思います。
2016年春頃発売予定とのこと。
タグ:なかじ有紀
決してマネしないでください。(2) [コミック]
<帯惹句>
理系って、ほんとバカ。
(いい意味で)
楽しく知的な、大人の学習マンガ!!
今回の目次は、
Q7. ハードディスクのデータを完全に消去するには?
Q8. シュレディンガーのネコは箱から出られるのか?
Q9. 12月25日はなんの日なのか?
Q10. 迷子を素早く探すには?
Q11. 「1メートルの長さ」はどう決まったのか?
Q12. 相手にちゃんと想いを伝えるには?
Q7
『「発明」というと突然起こるようなイメージかも知れませんが
実際は水を入れたコップに
石をだんだん加えていく
こぼれたところが「発明」
というイメージの方が近い』
という説明がしっくりきました。
また、出てくるアラン・チューリングは、ベネディクト・カンバーバッチ主演で映画化されたので一躍日本でも有名になりましたね。映画のタイトルは、「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」。
Q9
ニュートンが嫌なやつだった、というのは何かで読んで知っていました。
ニュートンの誕生日12月25日だったんですね。
「生涯彼女がいなかったニュートンを讃え女性と過ごすの禁止!!!」とか
「心が狭かったニュートンを讃え人の幸せ認めるの禁止!!!」とか、理系男子激しすぎです。
Q13
きのこの山をたけのこにするマシーン、実物みてみたいです。
掛田くん、あんまり成長してなさそうなのに、ラストで急にいいことあって、よかったね。
でも、これ、急展開、ってわけではなさそうだけど。
ちなみに、今回出てくる偉人、科学者は、ざっと順に。
ジョン・フォン・ノイマン
アラン・チューリング
エルヴィン・シュレディンガー
アイザック・ニュートン
ゴットフリート・ライプニッツ
ロバート・フック
ガルバーニ
ボルタ
ガスナー
屋井先蔵
ダニエル・ベルヌーイ(ベルヌーイの定理)
ヤコブ・ベルヌーイ
メシェンとドゥランブル
ティコ・ブラーエ
ヨハネス・ケプラー
ベンジャミン・フランクリン
<蛇足>
ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」をみたセリフが、「外反母趾だ」ってのは...ひとりで爆笑しました。周りに人がいなくてよかった...
タグ:決してマネしないでください 蛇蔵
決してマネしないでください。(1) [コミック]
<帯惹句>
理系は難解?
いいえ、今も昔も偉人で奇人ばっか。
なんか笑っちゃう、大人の学習マンガ!!
理系ブームらしいですが、ぴったりのマンガです??
目次は、
Q1. スタントマンはなぜ炎にまかれて平気なのか?
Q2. 人類はなぜご飯を食べる前に手を洗うのか?
Q3. 字も書けない青年はどうやって名医になったのか?
Q4. 切れた蛍光灯を灯すにはどうすればいいのか?
Q5. 科学者にとって最もホラーな出来事とは?
Q6. なぜ2月は28日しかないのか?
Q6は、知ってましたねぇ。たしか英語の教科書で昔読んだような気がします。
さておき、設定は、食堂のおばさん(といっても、十分若いですよ)に恋をした工科医大の掛田くんを、みんなで励まし、応援するというものです。
しかし、掛田くんの愛の告白が、
「僕と貴女の収束性と総和可能性を i で解析しませんか?」
って、いくらなんでも言いませんよねぇ、どんなに世間知らずの理系でも....マンガだからいいですけどね。
さらに
「先に示された意思疎通の可能性を追求するために共同研究という体験の共有を提案します。この実験に寄り期待されるものは警戒心の低下と好感度の上昇です」
って!!
結構いろんな偉人、科学者が取り上げられていまして、ざっと順に。
アリストテレス
ヤン・ファン・ヘルモント
ジョゼフ・ブラック
ヘンリー・キャベンディッシュ
アントワーヌ・ラボアジエ
ゼンメルヴァイス
ウィリアム・ハルステッド
ジョン・ハンター
ジェンナー
ニコラ・テスラ
ヘンドリック・シェーン
ユリウス・カエサル
アウグストゥス
グレゴリウス13世
知らない人もいっぱいいました。
馬鹿馬鹿しくて、でもちょっとためになって(生活の役には立ちそうもないですが...)、大人の学習マンガ、なるほどね。
シリーズになっているみたいで、掛田くんの恋の行くえともども楽しみです。
<蛇足>
ところで『「化合物」は「くっついてデキた」から転じてカップルのことを指す化学隠語』って、本当ですか!?
タグ:蛇蔵 決してマネしないでください