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詩歌川百景 (1) [コミック 吉田秋生]


詩歌川百景 (1) (フラワーコミックス)

詩歌川百景 (1) (フラワーコミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2020/10/09
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
温泉旅館で働く青年・飯田和樹。
町いちばんの美人といわれる幼なじみの小川妙に日々からかわれながらも和樹は彼女の事情を気にかけていて……?
小さな温泉町を舞台に描かれる瑞々しく精細な人間ドラマ 第1巻!


奥付を見ると2020年10月。もう3年たつのですね。
「海街diary」のあと吉田秋生が描いているのが、この「詩歌川百景」です。
詩歌川は、うたがわ、と読みます。

第1話 町いちばんの美女
第2話 帰らぬ人
第3話 美女は野獣
第4話 冬の花
の4話収録。

「海街diary」の最終巻である「海街diary 9 行ってくる」 (フラワーコミックス)のラストに収録されていた「番外編 通り雨のあとに」に出てきた和樹が主人公をつとめます。
すずが鎌倉に来る前に一緒に暮らしていた弟・和樹は、いまでは山形県北部の河鹿沢温泉の旅館「あづまや」で湯守(の見習い)をして、下の弟守(まもる)と一緒に暮らしている。

和樹と妙の関係性が物語の中心というのは見当がつきますが、ふたりをとりまく登場人物たちも魅力的です。
和樹の弟の守もそうですし、和樹(と妙)の同級生だった森野、林田(二人合わせて森林組合笑)や旅館の大女将や湯守の倉石さん。
妙の母絢子さんなど、曲者役の人たちもなかなかいい感じ。
舞台が小さな田舎なので、狭い人間関係で物語が展開するのが効果的です。
ヨーダみたいな慈仙寺の住職も、三悪と呼ばれるおじさん(じいさん?)連中も、スナック「サンバ」の面々も、どんどんお馴染みなっていくのでしょう。

和樹の二つ下の弟である智樹は、和樹たちと離れて母親についていきその後15のときに厚生施設に入所が決まったという設定です(「番外編 通り雨のあとに」に智樹のエピソードがありましたね)。
和樹だけでなく妙サイドも、家族関係が一筋縄ではいかない設定になっており、物語に陰影を与えます。
和樹にしろ、妙にしろ、周りをとてもよく観ていて(森林組合のうち林田も)、彼らの交わす会話は、若い人にありがちなふざけたやりとりにとどまらず、すっと深いところをつかみとるような鋭さをしばしば発揮し、はっとさせられます。

第1話の林田が妙に投げかけるセリフ「うっかり毒リンゴ喰らうなよ 白雪姫」なんて、いつか意味が分かるときが来るのだろうな、と思って読みました(うっすら見当がついてはいるのですが)。

いまのところ3巻まで出ています。
追いつこう。



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海街diary 9 行ってくる [コミック 吉田秋生]

海街diary 9 行ってくる (フラワーコミックス)

海街diary 9 行ってくる (フラワーコミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/12/10
  • メディア: コミック

<裏表紙あらすじ>
浜田は千佳と入籍し、エベレスト登山のために旅立った。幸と佳乃もそれぞれの恋が進展。すずは中学生最後の夏が終わろうとしていることを実感する…。すずが中学1年の夏、蝉時雨のやむ頃から始まった家族の物語、ついに完結!


このシリーズ第9巻「海街diary 9 行ってくる」 (フラワーコミックス)は、シリーズ完結編です。

第8巻感想で、
「幸ねえも、佳乃も、いろんな側面で一気に話が進んだ感がありますね。満月のおかげ??」
なんて書きましたが、満月もなにも、次が最終巻だったんだから、そりゃあ物語にも巻きが入りますよね。

この巻には、
「女子の言い分 男子の事情」
「幸福」
「夜半の梅」
「行ってくる」
の4話に
「番外編 通り雨のあとに」
が収録されています。

「女子の言い分 男子の事情」は、第8巻まででそれぞれ進展した四姉妹の恋が、ちょっとずつさらに進展する様子が描かれます。
最終巻と意識して読むからか、過去を振り返る、あるいは思い出させる部分が多くなってきているような気がしました。

「幸福」には第6巻(感想ページへのリンクはこちら)に出てきたいとこの直ちゃん再登場。糸さんもね(笑)。
それぞれが幸せの意味を考えたところに、エベレストに行っている浜田店長について、よくない知らせが...

「夜半の梅」は、悪天候で連絡が取れなくなった浜田店長の安全を気遣うみんなの様子が描かれます。
福田のおやじが「ええとこさらっていきよる」という感じの配役になっていますが、最後千佳が締めのあいさつをするのがステキです。
そしてまた、その福田のおやじの心持ちを深く理解している幸ねえがいいですねぇ。

そして最後の「行ってくる」。
すずの高校進学が決まったときから、終わりはすずが四姉妹の家から離れるときだ、というのは分かっていたのですが、本当にその時が来たんですねぇ。
すずだけではなく、それぞれの「行ってくる」が描かれているように思います。
それにしても風太、いい顔するようになったじゃん。


番外編の「通り雨のあとに」は、すずが鎌倉に来る前に一緒に暮らしていた弟・和樹が主役?です。
すずも登場します。でも、顔はおおきな帽子が邪魔してちゃんと描かれない。
すずは、もうすぐ結婚する、という設定になっていますが、結婚相手は出てきません。ちゃんと風太だよね!?
和樹、いい奴になっている。君も幸せになるんだよ。


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海街diary 8 恋と巡礼 [コミック 吉田秋生]

海街diary 8 恋と巡礼 (フラワーコミックス)

海街diary 8 恋と巡礼 (フラワーコミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/04/10
  • メディア: コミック

<裏表紙あらすじ>
家のゴミ箱で見つけてしまった妊娠検査薬のことを誰にも相談できず、気持ちが落ち着かないすず。そんな時、地蔵堂の軒下で眠っている千佳を見つけて!? 夏の日差しが降り注ぐ鎌倉を舞台に、家族の「絆」を丁寧に描く、シリーズ第8巻。


このシリーズ第8巻「海街diary 8 恋と巡礼」 (フラワーコミックス)には、
「乙女の祈り」
「恋と巡礼」
「姉との旅」
「満月と言霊」
の4話 収録。

「乙女の祈り」は、すずのサッカーチーム湘南オクトパスの初戦勝利で幕開けです。
続けて、オードリー・ヘップバーンを意識してショートにした千佳ちゃん登場...オードリーですか...
裕也の
「命かけてやってたものをやめるって決める時には やっぱいろいろあんだよ おれもそうだったからわかる でも だからこそ決めた後はもう迷わない」
という言葉重いですよねぇ。それに浜田店長がエベレストに戻る理由は何か、という問いがダブっていく。
ようやくすずは、千佳ちゃんと妊娠のことを話すことができます。

「恋と巡礼」では千佳ちゃんの妊娠の話が急展開。
四姉妹と浜田店長、考えがすれ違ったり、一致したり。でも、みんなお互いのことを大切に思っているところがいいんですよね。
浜田店長の口から、エベレストに戻る理由が語られます。

「姉との旅」では、ついに湘南オクトパスが負けちゃいます。将志、お前はやっぱり将志だな。
千佳ちゃん一気に入籍ですか...ドラマだねぇ。
しかし、幸ねえ、駅で迷子になるのが得意って、かまぼこ板の使い方といい、そういうキャラ設定でしたか...

「満月と言霊」は、母親から千佳ちゃんに届いたお祝いの品=トウモロコシとシャケで、大船のおばさん激怒り、というのが受けました。これは確かにインパクトありますもんね。
「とまとちゃんつぶし」って、なんかおいしそうですね。トマトをすり鉢でざっとすりつぶしたものにリンゴのすりおろし(+レモン汁)を加えただけのもの、らしいんですが。
幸ねえも、佳乃も、いろんな側面で一気に話が進んだ感がありますね。満月のおかげ??


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海街diary 7 あの日の青空 [コミック 吉田秋生]


海街diary 7 あの日の青空 (フラワーコミックス)

海街diary 7 あの日の青空 (フラワーコミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/01/08
  • メディア: コミック


<裏表紙あらすじ>
中学最後の年を迎えたすずに、静岡の高校からサッカー特待生の話が舞い込む。なかなか決められず、悩む彼女に寄り添う風太だが……。一方、すずの姉たち3人もそれぞれ恋の悩みを抱え!?
鎌倉の街に初夏の風が吹く、シリーズ第7巻。


このシリーズ第7巻「海街diary 7 あの日の青空」 (フラワーコミックス)には、
「同じ月を見ている」
「パンと女子と海日和」
「あの日の青空」
「遠い雷鳴」
の4話 収録。

「同じ月を見ている」では、いよいよすずが進学についての決断をします。
「同じ月を見ている」というのは「いろんな人がいろんな気持ちでおんなじ月を見てるんだろうね」という意味であるわけですが、「月はずっと同じように闇を照らしてくれていた」という含みも月はもっているわけですね。
紹介されている、満月の夜月が海に映って道みたいに見える「月の道」、観てみたいです。
久しぶりに藤井朋章の消息が触れられているのがGOODですね。

「パンと女子と海日和」では、幸ねえとヤスがついに恋人宣言。
一方で、浜田店長は千佳を置いてネパールに(2週間だけど)行ってしまうし、佳乃は坂下課長との間の壁にいらいらしています。

「あの日の青空」は、これまで何度も出てきたネパールの青空のことですが、なかなか意味深ですね。
すずは奈良・京都へ修学旅行。こちらはお笑いパートですね(笑)。
一方で、ついについに、佳乃と坂下課長の仲が大きく進展します。山猫亭の福田のおやじが大きな役割を果たします。福田のおやじのする話も、坂下課長のする話も、重い内容ですが、重要ですね。
「話聞いてくれるいう相手がいつまでもおる思とんのか!? そんな相手が明日もまたおんなしように笑てくれるいう保証がどこにあんねん!」

「遠い雷鳴」は、うまくいきはじめた幸ねえと佳乃、そして決断を仕切ったすずの後日談的な雰囲気を漂わせながら、残ったチカの試練(?)が出てきます。
「あの日の青空はね たぶん あの場所に行かないと見えないんだよ」というチカのセリフが象徴的ですよね。
浜田店長がネパールに行ってしまったというだけではなくて、妊娠検査薬ですか...続きが気になりますね。吉田さん、あんまり厳しい運命をチカにつきつけないでくださいね。





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海街diary 6 四月になれば彼女は [コミック 吉田秋生]


海街diary(うみまちダイアリー)6 四月になれば彼女は (フラワーコミックス)

海街diary 6 四月になれば彼女は (フラワーコミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/07/10
  • メディア: コミック


<裏表紙あらすじ>
すずの母が生まれ育った街、金沢。会ったことのない祖母の月命日、遺産相続の手続きのため母の生家を初めて訪れたすず。そこで四姉妹を待っていた ”いちがいもん” とは! 鎌倉を舞台に描かれる家族の「絆」の物語。シリーズ第6巻!!


このシリーズ第6弾「海街diary 6 四月になれば彼女は」(フラワーコミックス)には、
「いちがいもんの花」
「逃げ水」
「地図にない場所」
「肩越しの雨音」
「四月になれば彼女は」
の5話 収録。
登場人物たちに、転機、区切りの訪れる巻です。

「いちがいもんの花」では、すずの母方の実家を訪れます。そして祖母の遺産問題 (?) に決着を(アレ? これ、決着ついていないかも、ですね)。
タイトルのいちがいもん、というのは金沢のことばなんでしょうね、頑固者、という意味だそうです。

「逃げ水」では、前巻「海街diary5 群青」 (flowers コミックス)で亡くなった海猫食堂のおばさんの遺産問題に決着がつきます。
坂下課長、やっぱかっこいいですねぇ。
佳乃がきっぱり自らに恋を宣言するシーン登場。

「地図にない場所」では、「いちがいもんの花」で登場したすずの従兄がメインの人物。
いい味だしていますよ。
しかしなぁ、「ものすごーく状態のいいチカちゃんをものすごーく上品にしたカンジ」って、すずよ、姉に対して失礼だぞ。
シリーズ的には、裕也と風太がボーイズトークを繰り広げるところが意外とポイントなんでしょうねぇ。

「肩越しの雨音」は短い作品ですが、すずに重要な事態が発生。
推薦の話がやってきます。
すず本人の視点もありますが、それを周りが慮る視点で描いているところがミソでしょう。

「四月になれば彼女は」も引続いてすずの推薦の話が中心ですが、将志によってオープンにされてしまうのがポイント。
いやあ、だめなんだけど、将志、ストーリー展開的にはいい動き(笑)。
仲間たちのもめごと(?) はひとまず片付いて、すずが決断をしないままの状態でこの巻終り...

ああ、次が気になります!
でも、流れ的には、きっと推薦、受けますね、すずは。



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海街diary 5 群青 [コミック 吉田秋生]


海街diary(うみまちダイアリー)5 群青 (flowers コミックス)

海街diary(うみまちダイアリー)5 群青 (flowers コミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/12/10
  • メディア: コミック


<裏表紙あらすじ>
お彼岸の頃、香田家に響いた一本の電話。すずの叔母と名乗る女性は彼女を捜していたという。会ったこともない親類の出現で、戸惑うすずに三姉妹は…。家族の「絆」と美しい鎌倉の景観を情緒豊かに描いた、大人気シリーズ第5巻!


このシリーズ第5弾「海街diary5 群青」 (flowers コミックス)には、
「彼岸会の客」
「秘密」
「群青」
「好きだから」
の4話 収録。

「彼岸会の客」では、すずの叔母さん登場。すずの母、そして祖母の思いをすずに伝える役目となります。

「秘密」では、すず、と風太がそれぞれ秘密を抱えます。それぞれ誰にも言うな、と言われて。
風太の抱える秘密は、裕也の考え。
すずの抱える秘密は、すずの三姉妹のうち、幸ねえ、佳乃とも関係します。
「いろいろとめんどくさいことをするのが私たちの仕事ですから」って、佳乃の上司(坂下課長)はさらっと言いますが、信金ってこんなに面倒見いいんですか。すごいですね。

「群青」は、「秘密」で抱えた秘密がそれぞれ決着を見せます。
「山猫亭」のオヤジ・福田さんがいい味全開。この人、すごい。
タイトルは、スポーツ用品店スポーツ・マックスの店長が撮ったヒマラヤの写真(「海街diary 4 帰れない ふたり」(flowers コミックス)収録の「ヒマラヤの鶴」に出てきた写真です)の空の青、がベースですね。
「あそこはエラい空気が薄い
 だから よけい青が鮮やかになる
 まさに群青や」
と説明されます。
福田オヤジは
「どんなサイアクな気分の時でも
 晴れれば世界で一番蒼い空やし
 その下には神様の住んどる世界で一番高い山や」
とも言っています。テーマに関連するセリフですね。
この「群青」と次の「好きだから」は、印象に残るというか、ぐっとくる言葉がいっぱい出てきます。
「でも神様は人の事情をいちいち考えてはくれない
 だから神様はありがたくて…恐ろしいんでしょうね」
(続けて「神様が考えてくれないならこちらが考えるしかないでしょう」って、課長、かっこいい...)
「神様は気まぐれで時々ひどい意地悪をするので振り回されてエラい目に遭うこともあります
でも晴れた日は空が青い
どんな気持ちのときもそれはかわらない
それだけは神様に感謝したいと思います」
あと、裕也と風太のやりとりもなかなかいいですよ。悩める若者よ、どんどん悩めっ、て感じ。悩んだ末にすっきり解決しています(周りが見たらそうなだけで本人はそれでも悩み続けるんでしょうが)。
風太の観察眼とそれをきちんと評価できる裕也。こういう友だちっていいですねぇ。

ラストの「好きだから」は、一つの山場が過ぎた後の話。
登場人物それぞれに、「好きだから」という言葉をキーに気持ちを眺めていく。
幸ねぇにちょっとした(と言っては失礼ですが)事件が起きますが、無事解決します。
ここでもまた福田オヤジのセリフがいいんですよねぇ。
「病気は治らんでもアメちゃんでもなめとこかなー思うこともあるよってな」
って、よりによってこのセリフを抜き出すのかいって言われそうですが、これ象徴的なセリフだと思います。

ということで、このシリーズ大満足。



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海街diary 4 帰れない ふたり [コミック 吉田秋生]


海街diary 4 帰れない ふたり(flowers コミックス)

海街diary 4 帰れない ふたり(flowers コミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/08/10
  • メディア: コミック


<裏表紙あらすじ>
三姉妹が四姉妹となって二度目の秋-。最近は同じチームの風太が気になるすず。そんな中、仲間と出かけたお十夜(じゅうや)で意外な人たちを見つけて…!? 古都・鎌倉を舞台に家族の「絆」と情緒ある景観を描いた、大好評シリーズ第4巻!

このシリーズ第4弾「海街diary 4 帰れない ふたり」には、
「帰れない ふたり」
「ヒマラヤの鶴」
「聖夜に星降る」
「おいしい ごはん」
の4話 収録。

「帰れない ふたり」は、面掛行列の日からスタートし、すっとお十夜に移行してしまうところに感心しました。こういう場面の切り替え、ステキだなぁ。
そのお十夜で、すずは幸ねえの最後のデート現場を目撃してしまいます。シリーズ的には、ここですずと風太の仲が深まっていくのがポイントでしょうか?
このタイトル、「帰れないふたり」ではなくて「帰れない ふたり」なんですね。間が空いている。いろいろな意味が込められているんでしょうねぇ。
いま読み返して気づいたんですが、泰の表情、ちゃーんと伏線になってるんですねぇ。
しかし、苺を食らわば皿までとか、海苔かかった鮒とか、風太の間違い、ちょっと変!!

「ヒマラヤの鶴」は、三女・千佳の恋人である、スポーツ用品店スポーツ・マックスの店長のエピソードから。
煮つまった裕也ととりまく人間模様、というところでしょうか。
「自分たちがどうすることもできないことはわかってるんだ
 それでもじっとしていられない
 …それで十分なんじゃないの?」
こういう大人が周りにいて、すずたちは幸せですねぇ。

「聖夜に星降る」は、すずへのクリスマスプレゼントに風太が悩むのがスタート。
将志に相談しちゃぁ、いかんだろう、風太。111ページの将志の顔、できすぎ。将志の篤兄もいいキャラ。
まず裕也に相談しなかったことを後悔する風太、気づくの遅すぎ。後の祭りです。
ま、ちゃんといいプレゼント買えたみたいだし、よかったね。
で、じゃーん、クリスマスイブに、尾崎商店(風太の兄がやっている酒屋)で大集合(笑)。

「おいしい ごはん」では、前話「聖夜に星降る」での遭遇を佳乃と幸ねえが振り返ったりしてますねぇ。
シリーズ的には、海猫食堂の近くの喫茶店「山猫亭」をやっているオヤジ・福田仙一登場。
「山猫亭」に出てくる、しらすトーストって、おいしいんですかね? ジンジャーミルクティはおいしそうな気がするんですけど。
この食べ物で、すずが両親のことを思いだす仕掛けになっています。
タイトルにもなっているだけあって、「おいしい ごはん」には、アジフライに始まって、しらすトーストやジンジャーミルクティ含め、いろいろな食べ物が出てくるんですが、幸ねえたちの祖母が作っていた、ちくわカレーというのも、あんまりおいしそうじゃない... ヤスが回想する屋台での焼きそばも、きっとまずいんだろなぁ(笑)。
このタイトルも、おいしい、と、ごはん、の間に空白が。なんだろ?

この4巻は、ふんわりと終わりました。

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海街diary 3 陽のあたる坂道 [コミック 吉田秋生]


海街diary 3 陽のあたる坂道 (フラワーコミックス)

海街diary 3 陽のあたる坂道 (フラワーコミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/02/10
  • メディア: コミック


<裏表紙あらすじ>
最初の出会いから季節がひとめぐりした夏――。すずと3人の姉たちは、父の一周忌で再び河鹿沢温泉を訪れた。複雑な思いを胸に抱くすずだが…?  家族の「絆」を鎌倉の美しい風景とともに情緒的に描く、大注目のシリーズ第3巻!

このシリーズ第3弾「海街diary 3 陽のあたる坂道」 には、
「思い出蛍」
「誰かと見上げる花火」
「陽のあたる坂道」
「止まった時計」
の4話 収録。

「思い出蛍」は、父の一周忌ということで、すずの住んでいた街(街というより、町という感じかも)をみんなで一年ぶりに訪問します。
義母(だった陽子)が再婚を前提に付き合いをしている、という事実に感情を爆発させるすずと、それに対峙する幸。
「初めてじゃない? すずがお姉ちゃんに口答えしたの」という佳乃のセリフが光りますね。こういうのをきちんと掬い取ってくるところがこのシリーズの長所ですね。
そして、そんなすずも、義弟の和樹と再会し、いろいろと考えを深めていく。

「誰かと見上げる花火」では、幸ねえに職場替え(転職ではありません。配置換えというのでしょうか?)の話が。また幸ねえの不倫が姉妹に知られます。
それぞれが、それぞれに観る花火大会。(アレ? でも今回千佳のエピソードはなかったような...)
幸ねえ、佳乃、すず、誰もが、思い通りでない花火大会ってところがミソなんでしょうねぇ。

「陽のあたる坂道」」で、裕也のオクトパスでのプレーが話題になります。
「たった15分でみんな悟ってしまった。
 裕也はやっぱり以前の裕也じゃないんだ と」(112ページ)
という部分が象徴するように、やはりそこは義足ですから、難しい。
でも、風太は違います。
後段ですずが
「いくら努力してもどうにもならないことってやっぱあるけど
 だからって別に終わりじゃないんだなって」(140ページ)
と感想を述べていますが、この風太の視線、これこそがこのマンガを読む醍醐味のような気がしました。
あと、カーテンをめぐるすずのエピソード。重病患者を看病することの重みが、思いがけないエピソードで提示されています。

「止まった時計」で、幸ねえの不倫に一大転機が。
しかし、このシリーズの登場人物はみんな、周りのことをよく見て、よく考えていますね。
幸ねえが、ダメナースの後輩アライさんを見る(分析する!?)くだりなんか、印象的です。
「『とても大切なこと』とそれ以外のオン・オフがあまりに激しくて不器用なだけ」(170ページ)って、意外とそういうことあるのかもしれませんね。


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海街diary 2 真昼の月 [コミック 吉田秋生]


海街diary(うみまちダイアリー)2 真昼の月(フラワーコミックス)

海街diary(うみまちダイアリー)2 真昼の月(フラワーコミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/10/10
  • メディア: コミック


<裏表紙あらすじ>
姉たちとのあたらしい生活にも慣れてきたすず。そんな彼女が登校途中に見かけた男は、姉の佳乃の元彼・朋章だった。彼に興味を持ったすずは…!? 鎌倉を舞台に家族の「絆」を描いた限りなく切なく、限りなく優しいシリーズ第2巻。


「海街diary 1 蝉時雨のやむ頃」(フラワーコミックス)に続くシリーズ第2弾。
この第2巻には、
「花底蛇(かていのじゃ)」
「二人静」
「桜の花の満開の下」
「真昼の月」
の4話 収録。

「花底蛇」のタイトルですが、「美しいものの下には恐ろしいものが潜んでいるって中国の故事」(9ページ)だそうです。
花と蛇の対比が興味深いですね。
で、扱われている中身は、次女佳乃の彼氏、朋章。
朋章は、「ルックスがよすぎるのがタマに傷だけど金持ちのぼんぼんにしとくのは惜しいほどマトモなやつだ」(23ページ)と紹介されたりもします。
朋章が見てしまった蛇が語られるわけですが、佳乃とのひとときが、朋章にとって安らぎであればよかったなぁ、と思いました。

「二人静」では、今度はすずは長女・幸ねえのデートを目撃します。いろいろ大変だねぇ。
また、オクトパスの中の裕也をめぐる恋心(?)が描かれます。
しかしねー、「カッコよかったんだよねー。ほんっと牛若丸みたいだったんだもん」(88ページ)って、なんか不思議です。牛若丸って、すっと女子中学生の会話に出てきますか!? 鎌倉って、そうなの??
一方で、すずと風太の関係が微妙で、いや、微妙じゃないですね、完全にすれ違っていておもしろい。

「桜の花の満開の下」では、裕也がオクトパスでの練習に復帰します。すごい!
でもそこには、どんなに努力しても元通りにはなれないという壁があって。それを本人も周りも強く感じざるを得なくって...
「他人にいわれてはじめて あたしってかわいそうなんだって
 そう思われてるんだって知ったの」
「かんたんに人のことかわいそうっていう人すっごムカつく!」(124ページ)
いやしかし、オクトパスのみんな、いいやつですよ。

「真昼の月」は、おばあさんの7回忌に、どういう風の吹き回しか母親が参加する、というのがお話。
「あたし昼間の月ってけっこう好き 
 夜だけじゃなく見えるなんてなんか得した気分」(136ページ)
というすずのせりふが印象的ですね。こういうところ、すずっていい子なんですよね。
一方で、それを受けて幸ねえがかんがえます。
「思いもよらないことがある日ふいに姿を現す
 昼間 偶然見つけた月のように
 でもそれはずっとそこにあったのだ
 ただ気づかなかっただけで」(157ページ)
これ以外にも、さりげないせりふやモノローグが、細やかに気分を掬い取っていきます。

あまり読まないタイプの作品ですが、ずいぶん馴染んできました。




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海街diary 1 蝉時雨のやむ頃 [コミック 吉田秋生]


海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/04/26
  • メディア: コミック


<裏表紙あらすじ>
男の部屋で朝を迎えた三姉妹の次女・佳乃(よしの)に父の訃報が届いた。母との離婚で長い間会っていない父の死に、なんの感慨もわかない佳乃は…。鎌倉を舞台に家族の「絆(きずな)」を描いた限りなく切なく、限りなく優しい吉田秋生の新シリーズ!!


吉田秋生といったら、やはり「BANANA FISH」 (小学館文庫)(リンクは全巻セットに貼りました)。あの大傑作を書いた漫画家なので、その後もずっとフォローしていました。
「YASHA」 (小学館文庫)「イヴの眠り」 (小学館文庫)も読んでいます。
この海街diaryシリーズも当然すぐに買ったのですが、サスペンス路線ではなさそうだったので、きちんとフォローしていなかったところ、映画化されるということで、また読んでみるか、と思って手に取りました。

この第1巻には、
「蝉時雨のやむ頃」
「佐助の狐」
「二階堂の鬼」
の3話(?) 収録。

非常に複雑な設定を持つ物語なのですが、マンガであること、視覚的であることを最大限に活かし、かつ、効果的に長短のセリフをちりばめることで、無理なく読者に伝わってきます。
いやあ、やはり吉田秋生は優れた漫画家だったのだ、とあらためて感じました。
死んだ父親をめぐる3人姉妹の複雑な胸のうちから、4人目の妹すずが見せる感情の大爆発まで。素晴らしい。
そして4人姉妹として一緒に暮らすことになるところまでが、「蝉時雨のやむ頃」。
佳乃が彼氏とわかれるエピソードを描く「佐助の狐」 (いや、いくらなんでも、メガネかけたくらいで、まったく気づかなくなるなんてことはないと思いますよ...)
そして、地元のサッカーチーム「オクトパス」に、すずが加入。そのオクトパスの主将・多田裕也を襲う苛烈な運命「二階堂の鬼」。(吉田さん、厳しすぎますよ、あまりにも。幻肢痛とか、さらっと中学生に言わせちゃ、駄目です...)

巻末に、見開きの海街diary周辺MAPがついていますが、ちょっと鎌倉に行ってみたくなります。








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