チョコレートクリーム・パイが知っている [海外の作家 ジョアン・フルーク]
チョコレートクリーム・パイが知っている (mirabooks)
- 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ジャパン
- 発売日: 2022/01/14
- メディア: 文庫
<カバー裏紹介文>
ハンナは傷つき悲しみに暮れていた。愛するロスの裏切りが発覚したのだ。家族や友人たちに支えられながらなんとか立ち直ろうとしていたその矢先、行方不明だったロスが突然現れ、ハンナを愛している、もう一度やり直すために銀行に預けてあるお金を引き出してきてくれて告げる。彼の身勝手さに怒りを覚えるも、人が変わったようなようすにハンナは戸惑う。そんななか、信じられない事件が起きて・・・・・。
2024年11月に読んだ2冊目の本です。
ジョアン・フルークのお菓子探偵ハンナシリーズ第22弾。「チョコレートクリーム・パイが知っている」 (mirabooks)。
前作「ラズベリー・デニッシュはざわめく」 (mirabooks)(感想ページはこちら)。で明かされた、ロスについての衝撃の事実を受けてのお話です。
ハンナは日曜日の協会で、レイク・エデンのみんなにその事実を話します──なんと小さなコミュニティなのだろうと思いましたが、アメリカの田舎町はこんな感じなのかもしれませんね。
町のみんなはハンナの味方。
グランマ・ニュードースンが
「もしロスが戻ってきて死んだりしたら、町じゅう容疑者だらけということになるわ!」(20ページ)
と早々にいうのですが、果たしてどうなるでしょう?
はたしてロスがレイク・エデンに戻ってくるか、こないか、という話が続いて、なかなか事件は起きません。
ロスはハンナを電話で脅したりして、すっかり変わってしまったところをさらけ出してしまいます。
ハンナと周りの面々が厳戒態勢をとる中、日常が続いていく、という構図です。
事件が起こるのは320ページ。最終ページが410ページなので、終盤も終盤ですね。
殺されたのが誰だったかは、読んで確かめていただくことにしましょう(さて、グランマ・ニュードースンの予言?は当たっていたでしょうか)。
殺人発生が最終盤だったこともあり、慌ただしくエンディングへ向かいます。
ハンナが推理らしいことをしないのはいつものことですが、急転直下の解決には苦笑してしまいます。
注目は、久しぶりに(?)ちょっとひねった動機を提出していることでしょうか。
ただ、この動機については伏線がなく、また背景などもきちんと説明されていないので、読者が推理する余地などかけらもないことに加え、動機そのものについてもわかりにくくなっているのが難点。
ちょっと変わった動機だと思うので(根元はよくある動機なのですが、ひねった部分がわかりにくい)、ここは丁寧に扱ってほしかったです。
本書は、疑問を残したまま終わっているので(最後にハンナが疑問点をまとめて考えています)、次巻以降に展開されていくのだと思います。
<蛇足1>
「きみたちは友人同士だから、ハンナに金をわたせのはわかっていたと。」(300ページ)
誤植があるのは珍しいことではないのでさほど気にしないのですが、ここは正しい文章がなんのか、ちょっと想像がつかないので困ってしまいました。
わたせる? わたせた? いずれにせよ日本語としても変だし、文脈からもあまりそぐわないような気がします。
本当になんだったのでしょうね?
<蛇足2>
「ハーブと何をして時間をつぶしたの?」
返事がなかったので、ハンナは振り向いてリサを見た。そして、彼女の顔が真っ赤になっているのに気づいた。「ごめん、大きなお世話だったわね」(109ページ)
雪に振り込められた時の話です。
こんな会話もするんですね(笑)
原題:Chocolate Cream Pie Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2019年
訳者:上條ひろみ
ラズベリー・デニッシュはざわめく [海外の作家 ジョアン・フルーク]
<カバー裏あらすじ>
ロスが出ていって2週間。ハンナは悲しみをこらえ、いつものようにオーブン仕事に明け暮れていた。
そんなある晩、ロスの車を使っていた彼のアシスタントのPKが、ハンナとのビデオ通話中に意識を失い、事故で帰らぬ人となってしまう。ロス宛てに届いた薬物入りのチョコレートを食べて心臓発作を起こしたのだ。一体誰がこんなことを? ハンナは調査を開始するが、驚愕の事実が次々と明らかになり……。
2024年6月に読んだ5作目(6冊目)の本です。
ジョアン・フルークのお菓子探偵ハンナシリーズ第21弾。「ラズベリー・デニッシュはざわめく」 (mirabooks)。
「今はひとりで眠るベッドルームで、ハンナ・スウェンセン・バートンは時計を見た。」(7ページ)
冒頭の第1文がこうなっていて、バートン!? と思いましたが、そうそう、結婚したからロスの姓バートンをつけているのですね。
といいつつ、ロスは車もお金もハンナに残して失踪してしまっているという状況──お金については想定外の大金で、どんどん不思議なことが(不審なというべき?)わかってきます。
今回の事件は、ロスのアシスタントのPKが、薬物が仕込まれたチョコバーを食べて車の事故を起こし死んだ、というもので、そのチョコバーはロスに届けられたものだったことがわかり......という流れで、ひょっとしてロスは!? とハンナたちがやきもきします。
「姉さんならきっと方法を見つけられるわよ。殺人事件の調査はお手の物なんだから」(79ページ)
とミシェルは言いますが、ハンナについて、捜査は到底お手の物とは言えないでしょう(笑)。
むしろ、後ろの方でマイクがいうように
「幸運をつかむまでがんばるしかないだろう。だれかが自分の不利になるようなことを言うか、だれかほかの人を指し示してくれるまで。遅かれ早かれ、何かがぼくらを犯人に導いてくれるはずだ」(312ページ)
といった感じで、運任せではないかと......
この謎解き、おそろしく行き当たりばったりで、全然目星がつきません。
ラストで急転直下と言いたくなるくらい、突然容疑者が出てきて決着するといった体たらく。ミステリとしてはちょっと困りもの。
なんですが、シリーズ読者としては、ハンナの煩悶でいっしょに一喜一憂するのがいいんですよね。
それにしても、ラストで明かされるロスの衝撃の真実がすごい。
まさかね。
続きがとても気になります。
<蛇足1>
「”死ぬほど” なんて言わないで」ハンナは言った。「レイク・エデンでは死はもう充分間に合ってるんだから」(80ページ)
確かに。
小さな町のわりにレイク・エデンは殺人事件が多いですね(笑)。名探偵コナンの米花のよう?
<蛇足2>
「葬儀にはわたしもいきますからね、姉さん。刑事ドラマがまちがっているはずはないし、だれかがわたしたちと話しているうちに、知りたいことを話してくれるかもしれないもの」(191ページ)
アンドリアのセリフです。
アメリカの刑事ドラマは、そんなに示唆に富むものなのでしょうか? まちがっているはずない、と言われるほど?
<蛇足3>
「よくは知らないけど、きっと鉛中毒のせいじゃないかしら。ああるいは、戦争中に金属くずを供出しなければならなかったからかも」(382ページ)
「バンパーや、場合によってはフェンダーも。みんな寄付するために金属でできているものはないか家じゅう探したそうよ。」(384ページ)
アメリカは日本と違い、第二次世界大戦中も物資が豊富なイメージでしたが、ここに書いてあるような供出はあったのですね......
原題:Raspberry Danish Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2018年
訳者:上條ひろみ
バナナクリーム・パイが覚えていた [海外の作家 ジョアン・フルーク]
<カバー裏あらすじ>
ゴージャスなハネムーンクルーズ中のハンナのもとに、末妹からのメッセージが届いた。母が下の階に住む元女優トリーの死体を発見したという。しかも、現場にはハンナの店〈クッキー・ジャー〉特製のバナナクリーム・パイが! 大急ぎでレイク・エデンに戻ったハンナは独自に事件の調査を開始するが……。ビターな殺人事件とスイートな新婚生活のゆくえはいかに!? お菓子探偵シリーズ再始動!
2023年7月に読んだ6冊目の本です。
ジョアン・フルークのお菓子探偵ハンナシリーズ第20弾。「バナナクリーム・パイが覚えていた」 (mirabooks)。
シリーズ新刊が出た、という情報を入手して本屋さんに言ったのですが見つからず。大きな本屋さんを何軒も探したのに見つからず。
それもそのはず、出版社がこの「バナナクリーム・パイが覚えていた」から、ヴィレッジブックスからmirabooksへ変更になったのですね。
探す棚が違うのですから、見つかるはずもない......
冒頭ドロレスがいきなり倒れるシーンで、続いて死体を発見するという展開で驚きます。
ついにハンナだけでは飽き足らず、ドロレスまで死体を発見するようになったか(笑)。
なにしろ、ハンナたちの住むレイク・エデンは、のどかな田舎町のようでいて、
「もっと大きな街や都会ではそうだと思うけど、レイク・エデンではそんなに犯罪は起こらないわよ……」ハンナはそこで小さなため息をついた。「もちろん、殺人は別にしてね。」(53ページ)
と言われるくらいの殺人の宝庫ですから。
ミステリとしては正直ぐだぐだです。
探偵役のハンナが行き当たりばったりなのはいつものことですが、今回はバスコム町長が容疑者であっただけで真犯人だと決め打ちしようとするくらいですから。
「だれがシロなの?」
「バスコム町長よ。絶対クロだと思ったのに、トリーの殺害時刻にアリバイがあったの」(209ページ)
いくら町長が
「彼のトラブルのほとんどが……」「結婚していることを忘れるというトラブルだから」(201ページ)
というように(女性関係に)だらしないとはいえ、今回の被害者は実の姉でもありますし、少々かわいそうです。
真犯人の隠し方も、突然引っ張り出してきてこいつが犯人です、と言ったのに近い乱暴ぶり。
まあ、でも、いつもの面々と出会えたからそれでよし。
シリーズとして、エンディングが気になります。
どうした、ロス???
<蛇足1>
「今度はギャーギャーですか。ギャーギャー鳴くのはオウムです。」(70ページ)
オウムって、ギャーギャー鳴きましたっけ?
<蛇足2>
「しかも、現場保存用のテープを元に戻しておくほど頭の切れるやつだ」(310ページ)
警察がはったテープを元に戻したくらいでは「頭の切れるやつ」とは到底いえないでしょう.......
だいじょうぶか、マイク。ぼんくらばかり相手にしていたら駄目だよ。
<蛇足3>
「ほんとうよ、ディア」
「でも……よく聞いて、ディア」
「あなたを愛しているわ、ディア。」
「何もないわ、ディア」(325~326ページ)
シリーズの読者であれば、ドロレスのセリフだと思われるかもしれませんが、これお芝居の中の母親役のセリフです。
<蛇足4>
「根管治療が二件に、歯冠の破損が一件、埋伏知歯一件のおかげで長い午後になったよ」(350ページ)
埋伏知歯ですか......調べたら一般的には埋伏智歯と書くようですね。要するに親知らずのことらしいです。
原題:Banana Cream Pie Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2017年
訳者:上條ひろみ
ウェディングケーキは待っている [海外の作家 ジョアン・フルーク]
<カバー裏あらすじ>
ニューヨークで開催されるデザートシェフ・コンテストに出場することになったハンナ。ロスとの結婚式をレイク・エデンでささやかに挙げ、ハネムーンをかねてニューヨークに向かう予定だったが、急遽コンテストの日程が早まり、式は後回しになってしまう。あわただしいままコンテストが始まり、実力派揃いのなか好調な滑り出しを見せていたハンナだったが、またまた彼女の死体レーダーが発動して……。
2022年12月に読んだ4冊目の本です。
ジョアン・フルークのお菓子探偵ハンナシリーズ第19弾。
いよいよハンナも結婚するんですねぇ......
結婚相手が、マイクでもノーマンでもないというのが、なかなか。
二人にどう告げるべきかというのが通常ですと難問で、ハンナも悩んだりするのですが、このシリーズのこと、あっさり。
デザートシェフ・コンテストというのももう一つのトピックスですが、これがまた素晴らしくご都合主義な展開で笑ってしまいました。
ネタバレだろうと気にしませんよ~。ハンナが優勝しますよ~(笑)。
ミステリ的な出来映えは、まったくよくないですね(笑)。
今回はなかなか犯人の見当がつけづらいな、と思っていたら、最後になって隠されていた事実を明かすという次第でした。
まあ、結婚式のぎりぎりまでドタバタする、ということで楽しめましたし、ハンナが幸せならそれでよし、ということにしましょう。
しかし、なんか不穏な感じがするんですよね、ロス。
<蛇足1>
「放送していたのはハンナが見たことのないシェフの番組で、彼はエビの炒め物(シュリンプ・スキャンピ)を作っていた。」(107ページ)
シュリンプもスキャンピもエビです。
シュリンプ・スキャンピは、数種類のエビを使った料理ですね、きっと。「エビの炒め物」とするしかなかったのでしょうね。訳者の苦労がしのばれます。
<蛇足2>
「ハンナは胃のなかで蝶が飛び立つのを感じた。」(143ページ)
「胃のなかで蝶が暴れまわり、末端神経はそのあおりをくらって、ハンナは険しい峡谷の淵を歩きながら、今にも谷底に落ちてしまいそうな気分だった。」(179ページ)
コンテストで緊張してナーバスになっている様子です。
胃のなかに蝶がいるという表現がおもしろいです。
<蛇足3>
「やるって何を?」ミシェルがサリーにきいた。
「調査よ」ハンナが妹に答えた。「身内が巻きこまれたらわたしが手を出さずにいられないのを、サリーは知ってるの。」
「身内がっていうのは余計でしょ」サリーはハンナに言った。「手を出さずにはいられないってだけで充分よ。」(262ページ)
サリー、さすがです。よくご存知で(笑)。
<蛇足4>
「うちの給仕助手(バスボーイ)全員が冷蔵にはいるのを嫌がってるの。」(262ページ)
バスボーイ、知りませんでした。レストランだとウェイターの格下の役どころということですね。
<蛇足5>
「ちょっと待って。どうしてそんなにすぐに気が変わったの? 一、二秒まえは関節痛のカタツムリ並みのスピードでクレアの店に向かってたのに、今は早くなかにはいりたくてしかたないみたい」(292ページ)
ミシェルがハンナにいうセリフですが、カタツムリに関節があったのか...(笑)
原題:Wedding Cake Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2016年
訳者:上條ひろみ
ダブルファッジ・ブラウニーが震えている [海外の作家 ジョアン・フルーク]
ダブルファッジ・ブラウニーが震えている (ヴィレッジブックス)
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2017/11/30
- メディア: 文庫
<カバー裏あらすじ>
母ドロレスとドクの結婚式をサプライズで計画したハンナたち。式を挙げる予定のラスベガスに向かっている幸せいっぱいの母とドクを見ていたハンナは、自分自身も一生に一度の大恋愛をしてみたいと思うようになっていた。ハンナにとって大切な二人の男性はプロポーズしてくれたし、彼らのことは愛しているけれど……。そんなとき、ラスベガスで思いもよらない出来事が! ハンナの恋、ついに決着!?
2021年11月に読んだ9冊目の本です。
お菓子探偵ハンナ・シリーズ第18弾。
引用したあらすじは、どうみてもミステリではないですね。
ちゃんと(!)殺人事件も起こるというのに。
母ドロレスとドクの結婚式の計画という、ドキドキするオープニングとなっているのですが、ハンナがさらっとは読み飛ばせない述懐をしていて注目です。
「ふたりがいっしょにいるのを見ていると、ハンナは自分もこんな身を焦がすような恋愛がしたくなった。思えば、ノーマンのプロポーズもマイクのプロポーズも受け入れなかったのは、それが理由だった。ふたりとも愛してはいたが、それは彼女が強く望んでいる、胸が高鳴り、その人がいなければ生きていけないというタイプの愛ではなかった。一生に一度でいいから、完璧な夜に完璧な男性から完璧な愛で心を奪われたかった。」(11ページ)
な、なんと!
そうこうするうちに、シリーズ的にはネタバレになってしまうのですが、懐かしのロスが登場し、ハンナの心を奪います。
「マイクと一週間会えないと思うと悲しい?」
「いいえ、そうでもない。マイクのことを考えたのは、だれかが彼の名前を出したときだけだし」
「ノーマンはどう? 彼のことは考えた?」
「彼のことを考える機会はマイクよりは少し多かったけど、たぶんモシェを預けているからだと思う」(125ページ)
とはかなり衝撃の発言です。
シリーズで気になると言えば、ハンナが起こした交通事故があります。
いよいよ危険運転致死罪を問われる裁判が開かれる運びに。
なんですが、裁判所で担当判事が殺されるという事件発生!
恋に目がくらんでしまったのか、ハンナの迷探偵ぶりは絶好調で、十分な推理もできないうちに真犯人にぶつかるというありさまで、このシリーズらしいと言えばらしいのですが、ミステリとしてはもっとしっかりしてほしいところ。
とはいえ、今回は事件なんか大した興味を惹くものでなく(失礼)、ハンナの恋模様ですよね。
ラストで一大決心をして、さぁ、「ウェディングケーキは待っている」 (ヴィレッジブックス)ですね!
<蛇足1>
「ドクと三人の娘たちがこの計画の共謀者だと母が知って、起こることはふたつにひとつだ。~略~
ハンナならいくつかの理由から後者に賭けるだろう。」(11ページ)
ここの「ハンナなら」の文章、変ではないでしょうか?
そもそもこの物語自体がハンナ視点で語られるものなので「〇〇なら~~だろう」という構文を使う必要がわかりませんし、ハンナの意見として「だろう」と推量を入れる必要もありません。
原文はどうなっているのかな?
<蛇足2>
アンドレアが使わない貰い物のバント型(カップケーキ型)をハンナにあげるというシーンがあるのですが、その型についてアンドレアが
「娘たちが砂場で遊ぶときに使わせていたの」(74ページ)
と言います。
まあ、洗えば済む話ではありますが、なんとなく気持ちよくないなぁ、と思ってしまいました。
<蛇足3>
「リビングルームでコーヒーを飲みながら、ピーナッツバターとバナナのサンドイッチを食べていました」(209ページ)
なかなか強烈な取り合わせのサンドイッチですね......
<蛇足4>
「休みにしていいと言いながらその時間ぶんを給料から引くのは、殺人の動機になるだろうか?」(209ぺージ)
なりません!(笑)
<蛇足5>
「ハンナはモシェにえさをやってから、ベッドルームに行って、アンドリアが“部屋着セット”と呼んでいるものに着替えた。グレーのスウェットパンツと大学の古いスウェットシャツだ。」(295ページ)
大学のスウェットを今でも着ているとは、ハンナも物持ちが非常にいいですね。
<蛇足6>
料理をしながら、ハンナとミシェルがカラーピーマン(パプリカという言い方の方が一般的になってきていますね)の話をするシーンがあるのですが(333ページ~)、そこで
「ピーマンはすべて同じ種からできるのよ」
「大事なのは、ピーマンの色が成熟具合によって異なるってことと、赤いピーマンがいちばん甘くていちばん熟しているってこと」
といっていてびっくりしました。
そうなんですか!? 知りませんでした。緑のピーマンもそのまま育てると黄色、オレンジ、赤と変色していくのですか......
<蛇足7>
「ハンナは冷蔵庫を開けて、少し整理した。すなわち、ひどくしなびてしまったリンゴ一個、寿命を超えてしまった古いジャガイモ三個、食べごろの時期をすぎてしまったニンジンひと袋、ブルーチーズではないのに青くなってしまったチーズ一パックを捨てた。」(336ページ)
えっと、いくらなんでも整理しなさすぎではないでしょうか、ハンナさん。
あと、ジャガイモを冷蔵庫に保存するというのも、ちょっと不思議です。
原題:Double Fudge Brownie Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2015年
訳者:上條ひろみ
デビルズフード・ケーキが真似している [海外の作家 ジョアン・フルーク]
デビルズフード・ケーキが真似している (ヴィレッジブックス)
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2013/10/19
- メディア: 文庫
<カバー裏あらすじ>
2月の〈クッキー・ジャー〉はイベントつづきで大忙し。けれども、目下ハンナを悩ませていること。それはノーマンの共同経営者で元フィアンセのドクター・ベヴの存在。彼女が来てからというもの、ノーマンの態度がなんだかおかしいのだ。朗らかで容姿端麗、町じゅうの人から好かれている彼女と仲良くなれないのは嫉妬のせい? そんなとき、30年ぶりにレイク・エデンにやってきた牧師に思わぬ悲劇が――
読了本落穂拾いです。
お菓子探偵ハンナ・シリーズで感想を書き洩らしていた第14弾。
このあと第17弾まで感想を書いていますね。一覧を作ってみましょう。
1. 「チョコチップ・クッキーは見ていた」 (ヴィレッジブックス)
2. 「ストロベリー・ショートケーキが泣いている」 (ヴィレッジブックス)
3. 「ブルーベリー・マフィンは復讐する」 (ヴィレッジブックス)
4. 「レモンメレンゲ・パイが隠している」 (ヴィレッジブックス)
5. 「ファッジ・カップケーキは怒っている」 (ヴィレッジブックス)
6. 「シュガークッキーが凍えている」 (ヴィレッジブックス)
7. 「ピーチコブラーは嘘をつく」 (ヴィレッジブックス)
8. 「チェリー・チーズケーキが演じている」 (ヴィレッジブックス)
9. 「キーライム・パイはため息をつく」 (ヴィレッジブックス)
10. 「キャロットケーキがだましている」 (ヴィレッジブックス)(感想ページはこちら)
11. 「シュークリームは覗いている」 (ヴィレッジブックス)(感想ページはこちら)
12. 「プラムプディングが慌てている」(ヴィレッジブックス)(感想ページはこちら)
13. 「アップルターンオーバーは忘れない」 (ヴィレッジブックス)(感想ページはこちら)
14. 「デビルズフード・ケーキが真似している」 (ヴィレッジブックス)
15. 「シナモンロールは追跡する」 (ヴィレッジブックス)(感想ページはこちら)
16. 「レッドベルベット・カップケーキが怯えている」 (ヴィレッジブックス)(感想ページはこちら)
17. 「ブラックベリー・パイは潜んでいる」 (ヴィレッジブックス)(感想ページはこちら)
18. 「ダブルファッジ・ブラウニーが震えている」 (ヴィレッジブックス)
19. 「ウェディングケーキは待っている」 (ヴィレッジブックス)
20. 「バナナクリーム・パイが覚えていた」 (mirabooks)
21. 「ラズベリー・デニッシュはざわめく」 (mirabooks)
22. 「チョコレートクリーム・パイが知っている」 (mirabooks)
いやあ、こうしていると壮観ですね、と自分で悦に入る。
さておき、タイトルのデビルズフード・ケーキですが、訳者あとがきに説明があります。
「ねっとりしたファッジフロスティングでデコレーションされたチョコレートケーキ」で生地が「ほんのうり赤味がかったチョコレート色」とのことです。
正しくは「レッド・デビルズフードケーキ」らしく、悪魔が赤い顔をしているから、赤褐色にしているらしいです。
(ところで、タイトルは、デビルズフード・ケーキ。本文やあとがきは、レッドがつくものの、デビルズフードケーキと「・」がありません。こういうの統一しないんですね)
今回ハンナは、ボブ牧師のハネムーン中の代理牧師を申し出てやってきてくれたマシュー牧師が偽物ではないかという相談をボブ牧師の母から受けます。
これが発端。
この事件では割と最初からちゃんとハンナが推理していまして、行き当たりばったり度は低め、といいたいところですが、やっぱり行き当たりばったりでした(笑)。
毎回犯人を突き止めているのが奇跡のよう。
今回の事件は、違う作家が書くとまったく違う印象を受けるのではないかとも思ったりしたのですが、でもこのトーンこそがお菓子探偵シリーズですよね。
シリーズをさらに読み進んでいる今となっては、ですが、次巻「シナモンロールは追跡する」の感想で書いちゃったように、本書のラストでノーマンについて衝撃の展開となります。
事件の真相よりも、こっちの方がびっくりですよ(笑)、
シリーズ愛読者のかたは、心してお読みください。
原題:Devil's Food Cake Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2011年
訳者:上條ひろみ
ブラックベリー・パイは潜んでいる [海外の作家 ジョアン・フルーク]
<カバー裏あらすじ>
母ドロレスの結婚式の準備で振り回されっぱなしのハンナたち。そんなある日、激しい雷雨のなか車を運転していたハンナが事故を起こしてしまう。そのそばの路上には見知らぬ男性の死体が…。検死の結果、ハンナの車にはねられたことが死因だという衝撃の事実が判明する。身元不明の男性はいったい何の目的でレイク・エデンにやってきたのか―妹の夫に逮捕を突きつけられてしまったハンナ、絶体絶命!?
今年6月に読んだ3冊目の本です。
「レッドベルベット・カップケーキが怯えている」 (ヴィレッジブックス)(感想ページはこちら)に続く、レイク・エデンでクッキー・ジャーを運営しているハンナが探偵役をつとめるお菓子探偵シリーズ第17弾です。
だいぶぼけていまして(いつものことですが)、第18弾の「ダブルファッジ・ブラウニーが震えている」 (ヴィレッジブックス)を先に読み始めてしまい、途中でおかしいな、と気づいていったんやめて、この「ブラックベリー・パイは潜んでいる」 (ヴィレッジブックス)を手に取りました。
あらすじにも書いてありますし、帯にも
「ハンナに逮捕状!?
これは現実なの?
まさかわたしが人を死なせてしまうなんて……。」
とありまして、ハンナが人殺し? というびっくりの展開です。
自動車事故のようですが、ショッキングです。
この騒動が物語の大半を占めますが、このエピソードは「ブラックベリー・パイは潜んでいる」では完結せず、次の「ダブルファッジ・ブラウニーが震えている」 に続くようです。
もう一つ、ミシェルの友人から持ち込まれた相談事が扱われます。
それは、失踪(家出)から戻ってきた姉が別人だ、というもの。
ミステリ的にどうこういう話ではありませんが、なかなか魅力的な話になっていました。
シリーズ的には、ドロレスの結婚式の準備が大騒動で、にぎやかなうちに次巻に続きます。
シリーズはこのあとも快調に翻訳が進んでいます。
「ダブルファッジ・ブラウニーが震えている」 (ヴィレッジブックス)
「ウェディングケーキは待っている」 (ヴィレッジブックス)
「バナナクリーム・パイが覚えていた」 (mirabooks)
「ラズベリー・デニッシュはざわめく」 (mirabooks)
<蛇足1>
「これまで出会ったなかで最高のひとりに数えられるシェフなのだ」(52ページ)
どうもひっかかる表現ですね。
ひとり、でも、数えられる、というものか?
また「最高のひとり」もよくある表現ですが、最高が複数というのもおかしな話です。
英語の表現に対して使われる「最上級」という語は、かなりミスリーディングなので変えてほしいですね。
<蛇足2>
「ハンナは一瞬、ドットなら個人的な会話をこっそり聞けるだろうから、殺人事件の調査でどんなに役立つことかと思った。ハンナもリサも<クッキー・ジャー>でこのわざを使っていたが、ここでも収穫はありそうだ。つぎに殺人事件を調査するときは、ドットの協力を仰ぐべきかもしれない。」(87ページ)
こらっ、ハンナ!
起こってもいない殺人事件の捜査をたくらむんじゃない
そんなことだから、周りも心配し、注意するんだよ。
度し難い素人探偵です(笑)。
<蛇足3>
「男性の死は従来の殺人によるものではないが、ハンナは過失運転による殺人罪で逮捕されたのだ。」(140ページ)
アメリカの法制度がどうなっているのかわかりませんが、過失運転で”殺人”と称されるのは違和感がぬぐえません。
「従来の」殺人というのも変な表現ですね。
<蛇足4>
「彼に起訴する権利があるのは認めるわ、でも、かんべんしてよ、ハウイー! あれは軽減事由だったわ」(152ページ)
さらっと軽減事由なんて語が飛び出してびっくりしました。
日本の法律用語的には、減軽というようですね。「法に定めてある法定刑よりも軽い刑を適用すること」
アメリカではこういう語が普通の会話に出てくるのでしょうか?
<蛇足5>
「ごみを捨てるために車を路肩に寄せたくないの。ホームレスに出会ったら、あげればいいでしょう。」
「でも……彼らはすでにホームレスなのよ。その上アンドレアのサンドイッチをたべさせるなんて、過酷すぎるわ。」(346~347ページ)
アンドレアが作ったサンドイッチをめぐって、ハンナとドロレスが交わす会話ですが、どれくらいまずいんでしょうね、アンドレアのサンドイッチは??
原題:Blackberry Pie Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2014年
訳者:上條ひろみ
レッドベルベット・カップケーキが怯えている [海外の作家 ジョアン・フルーク]
<カバー裏あらすじ>
むしむしした暑さが続く6月。どこよりも熱いレイク・エデンのゴシップ・ホットラインにも驚きのニュースが飛びこんできた。なんと悪女ベヴが、資産家の婚約者として町に戻ってきたのだ! 美しく変身した彼女はノーマンにまだ未練があるようで、気が気じゃないハンナ。そんな折、ベヴたちの超高級コンドミニアムで謎の落下事件が発生する。さらに、ハンナとお手製カップケーキを巻きこむ第二の事件がーー。
この「レッドベルベット・カップケーキが怯えている」 (ヴィレッジブックス)から7月に読んだ本の感想です。
「シナモンロールは追跡する」 (ヴィレッジブックス)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)に続く、お菓子探偵シリーズ第16弾。
あらすじにもある、べヴがレイク・エデンにやってきて巻き起こす騒動(?) に加えて、前作「シナモンロールは追跡する」で積み残された、運転手が死んだ事件もちゃんと決着します。
なんですが、ちょっと理解が追いついていない部分があります.......
「クレイトンは薬のボトルを持ち歩かずに、ピルケースに薬を入れていた。ミネアポリス市警は、彼が出かけるまえに仕切りに薬を詰めたと結論づけ、バスルームの薬棚でボトルを見つけた。三十日ぶんの薬がはいるボトルが三本だ」
「あててみましょうか」ハンナはため息をついて言った。「心臓の薬のボトルの中身が二錠足りなかった。あとの二本のボトルはそれぞれ一錠ずつ多かった。それでミネアポリス市警はクレイトンの死を自殺だと断定したのね」
「そのとおり」(53ページ)
ここがわかりません。
三種類の薬はそれぞれ形も色もちがったので、間違うはずがないから、本人がわざと間違えた(故意に違う薬を飲んだ、ほかの薬を故意に飲まなかった)と判断した、ということでしょうか?
この自殺という判断のために保険金が下りず、遺された息子のためにこの判断をひっくり返そう、とするわけですが、290ページからの、この事件の謎解き、これでいいんでしょうか?
今一つ、すっきりしない決着なんですよね。
さておき、この「レッドベルベット・カップケーキが怯えている」では、あらすじにある落下事件に加えて(落下事件では被害者は入院するものの、死にません。)、殺人事件も発生します。
その被害者が、なんとベヴ!
やりましたね、ジョアン・フルーク。こんなかたちで、ハンナ、ノーマンの邪魔者を始末するとは!
ハンナが第一発見者で、容疑者になって取り調べを受ける、という流れは、王道中の王道ですが、わりとあっさり容疑は晴れますし(当たり前!)、今回はいつもよりも、ハンナが推理を働かせているように思いましたが、いつもどおり、するすると謎が解けてしまう段取りは、うまくいっているように思いました。
シリーズ的には、中盤で1つ、ラストで1つ、人間関係に転機が訪れるシーンがあって、次はいよいよハンナの番か!? と期待も膨らむところですが、さて、どうでしょうね?
シリーズはこのあとも快調に翻訳が進んでいます。
「ブラックベリー・パイは潜んでいる」 (ヴィレッジブックス)
「ダブルファッジ・ブラウニーが震えている」 (ヴィレッジブックス)
「ウェディングケーキは待っている」 (ヴィレッジブックス)
「バナナクリーム・パイが覚えていた」 (mirabooks)
<蛇足1>
ハンナが、携帯の新しい充電器を買ってしばらくはちゃんと充電するのに、すぐに充電し忘れるようになってしまうことに対して、マイクがアドバイスします。
「慣れのせいだよ。新しい場所に移動させてごらん。すると気づくようになる。そこでも効果がなくななったら、また移動させるんだ。何かを見るのに慣れると、もうそこになくなるまで、あるのが当然だと思うからね」(333ページ)
これ、どうでしょうかね? むしろ、どこに充電器を置いたのか忘れてしまうんじゃないでしょうか??
<蛇足2>
「わたしといっしょにシャンパンを飲んでくれないってこと?」ハンナの声には明らかに驚きがあった。(115ページ)
これ、視点人物はハンナなのに、ハンナの発言に対して「明らかに驚きがあった」と視点がぶれていますね。
<蛇足3>
「イタチです。オコジョと呼ぶ人もいますね。」(403ページ)
イタチとオコジョ、同じなんでしょうか? あれ??
「イタチですって!」ミシェルが叫んだ。「バーバラが怖がったのも無理はないわ。イタチって醜いもの」
「それにあの巨大な影。あれを見たときはわたしも怖かったわ。」(404ページ)
イタチのイメージが全然違う.....そんなに巨大で、醜い生き物でしたっけ?
原題:Red Velvet Cupcake Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2013年
訳者:上條ひろみ
シナモンロールは追跡する [海外の作家 ジョアン・フルーク]
<裏表紙あらすじ>
4月、〈レイク・エデン・イン〉のジャズフェスティバル前日、ハンナと末妹ミシェルはお菓子を届ける途中で玉突き事故に遭遇。 人気バンドのツアーバスも巻きこまれ、運転手が死亡、メンバーの一人は搬送先の病院で何者かに殺害されてしまう。 姉妹は犯人探しを開始するが、ハンナにはもう一つ、結婚式間近のノーマンの婚約者ベヴについてどうにも気になることが。 こちらもこっそり調べはじめるが……。
先日の「新聞王がボストンにやってきた」 (創元推理文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)があまりに心地よかったので、続けてコージー・ミステリが読みたくなって、この「シナモンロールは追跡する」 (ヴィレッジブックス)を手に取りました。
レイク・エデンでクッキー・ジャーを運営しているハンナが探偵役をつとめるお菓子探偵シリーズ第15弾です。
前回感想を書いた「アップルターンオーバーは忘れない」 (ヴィレッジブックス)(感想ページへのリンクはこちら)のあと「デビルズフード・ケーキが真似している」 (ヴィレッジブックス)を読んでいるのですが、感想を書けずじまいとなっています。
「デビルズフード・ケーキが真似している」のラストで、なんとノーマンが婚約するという衝撃の展開になっているのですが...
この「シナモンロールは追跡する」は、レイク・エデンにジャズ・バンドがやってきて、殺人事件が起こります。
登場人物が多岐にわたり、作者はうまく犯人を紛れ込ませたつもりなんだと思いますが、逆に真犯人の見当がつきやすくなってしまっているように思います。いわゆる”浮いた”エピソードが目立ってしまうからです。
一方で、多数の登場人物たちをいろいろと交錯させているプロットはよくできているかな、と思えました。
しかしねぇ、ノーマン問題の方は、すっきりしたといえばすっきりしたんだけど、どうなんでしょうか? あまりにも都合よく展開しすぎではありませんか!?
いよいよノーマンの結婚式の日取りが決まって、206ページから、ドロレスとアンドリアとミシェルの3人がハンナにつめより、「どうするつもりだ」とたきつけ、「みんなでやるのよ」「ノーマンのために闘うか、何もせずにあきらめるか」と煽って、「ドクター・ベヴをやっつけるためにわたしたちの作戦について話すわ」と流れていくのは、シリーズ読者にとって楽しい展開だし、ハンナの変装とか見どころ満載なんですが、あまりにもうまく行き過ぎて、ちょっとねぇ...
いや、そのままノーマンが結婚しちゃってもよかった、というわけではないですが。複雑な気分ですね。
その動きにマイクまで賛成するという成り行き...3人は、Ménage à trois ということなんでしょうか!?
ミステリ的なことを付け加えておくと、ぺヴに伏線となるような行動をもっととらせていれば、こういう感想も薄まったと思うんですが。
ところで、ノーマンの話とバンドマン殺しですっかり置き去りにされていましたが、運転手が死んだのはなんだったんでしょうか?
訳者あとがきによると次作「レッドベルベット・カップケーキが怯えている」 (ヴィレッジブックス)で、「シナモンロールは追跡する」で未解決だった事件の真相が明らかになるそうなので、これがそれだと信じて次に期待します!
「新聞王がボストンにやってきた」のルーシー・ストーンシリーズと違い、こちらは順調に邦訳が積み重なっています。
「レッドベルベット・カップケーキが怯えている」 (ヴィレッジブックス)
「ブラックベリー・パイは潜んでいる」 (ヴィレッジブックス)
<蛇足1>
「彼女はその……」「グルーピーってやつだと思う」(96ページ)
グルーピーって、すごい久しぶりに目にした表現な気がします。
<蛇足2>
「わたしが殺人事件の話をすると、いつも大勢お客さんが来るから」(127ページ)
とリサが言うシーンがあり、確かにその通りなのですが、この分だといずれ、客を増やすために、ハンナかリサが殺人事件を自作自演する、なんてシリーズ作品ができたりして...
原題:Cinnamon Roll Murder
著者:Joanne Fluke
刊行:2012年
訳者:上條ひろみ
アップルターンオーバーは忘れない [海外の作家 ジョアン・フルーク]
<裏表紙あらすじ>
〈クッキー・ジャー〉の6月はとにもかくにも忙しい。それでも頼まれるとイヤとはいえないのがハンナ。町長夫人主催のチャリティーパーティ用に大量のお菓子を焼いて、出張中のノーマンの愛猫を預かり、隠し芸大会に出るハーブのマジックショーの助手も引き受けて、さすがにへとへと。でもハンナには他にも気になることが。あの女たらし、レイク・エデンの客員教授になった元恋人ラムジーが末妹ミシェルと関係を深めているようなのだ。 昔のことを妹に話すか悩んでいた矢先、死体となったラムジーを発見し……。
犯人探しも私にまかせて! 意外な展開が次々と、大好評お菓子探偵シリーズ第13弾!
ハンナの昔の恋人というか付き合っていた相手というか、騙された相手と言うべきですね! が殺されます。
しかしハンナ、こんなやつに騙されていたんですねぇ。若かったんだねぇ。こういう殺されても読者が残念に思わないやつを被害者に選ぶというのも、コージー・ミステリでは大事なポイントですよね。
ハンナは今回も超いきあたりばったりの捜査(?) で犯人にたどり着きますが、この犯人像だと、ちゃんと推理でつきとめるのは難しかったでしょうねぇ。その意味では、ハンナの捜査方法にぴったりの犯人!?
このシリーズには珍しく(?) 動機がきわめて普通なのは、被害者の設定が設定だからでしょうか?
シリーズ的には、あのノーマンが怪しい動きを見せます。
一方で、マイクが妙にやさしかったりして...
さぁ、このあとどうなるんでしょうか?
こちらがぼやぼやしているうちに、
「デビルズフード・ケーキが真似している」 (ヴィレッジブックス)
「シナモンロールは追跡する」 (ヴィレッジブックス)
「レッドベルベット・カップケーキが怯えている」 (ヴィレッジブックス)
と3冊も続刊が翻訳されています。
頑張って読むぞー。いずれ...