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少年少女飛行倶楽部 [日本の作家 か行]


少年少女飛行倶楽部 (文春文庫)

少年少女飛行倶楽部 (文春文庫)

  • 作者: 加納 朋子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/10/07
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
中学一年生の海月は幼なじみの樹絵里に誘われて、「飛行クラブ」に入部する。メンバーは二年生の変人部長・神(じん)ことカミサマ、野球部兼部の海星、不登校で高所平気症のるなるな、運動神経はないけど気は優しい球児。果たして彼らは空に舞い上がれるか!? 友情、家族愛、恋、冒険――全てがつまった傑作青春小説。

加納朋子の青春小説です。ミステリでは、ないですね。
ちょっと長いですが、冒頭の飛行クラブの活動内容というのを引用します。


「1 あくまでも「自分自身が」飛行することを旨とする。たとえばペットボトルロケットなどは、非常に魅力的であることは否定しないものの、、本クラブの活動内容としてはふさわしくないと考える。紙飛行機、模型飛行機、ラジコンの類も全て同様である。

2 当然ながら、「落下」は「飛行」ではない。従って、パラシュートで飛び降りる、バンジージャンプなどは除外される。

3 航空機やヘリコプターなどでの飛行は除外される。なぜなら、これらの乗り物では風を感じることが出来ないからである。といって、遊園地の遊具の類は論外。遠心力でぶんぶん回っているような代物では「飛行」は出来ないと考える。
 念のために付記しておくが、たとえばディズニーシーの「ストームライダー」のような劇場型体験飛行の類も、当然除外される。

4 究極的には、理想を言えばピーター・パンの飛行がベストである。「自分自身の力で」、「なんの助けも借りず」、「自由自在に空間を移動する」。また、道具を用いた例としては『ハリー・ポッター』シリーズや『魔女の宅急便』などが想起されるが、我々が魔法使いでない以上、また、魔法のほうきが現実には存在しない以上、あまり参考にはならないだろう。

5 現段階に於いて、諸処の条件を満たした「商業的飛行」はいくつか存在している。だが、利用料金はどれも非常に高額であり、また実施場所も遠方であり、中学生の部活動という意味ではあまり現実的とは言えない。また、人力飛行機の制作についても同様である。

以上を踏まえ、当飛行クラブでは、当クラブが規定する飛行を目指し、実現するべく鋭意模索中である」


いかがでしょう。なかなか魅力的ながら、非現実的に思われる内容と思われませんか?
さて、どうやって飛ぶのでしょうか? あるいは、やはり飛べないのでしょうか?
結果はともかく、最後にクラブの面々が目指す「飛行」の方法は、上記の活動内容を読んで考えるものとは違うと思います。
肩すかしというか、ミステリ風にいうと、アンフェア(笑)?
ちゃんと読めばアンフェアというのではなく、非常に気を配って書かれているのがわかるのですが、印象的にはアンフェア(笑)。
作者あとがきを先に読んではいけません。「飛行」の方法が明かされてしまっています。


いや、そんなことはどうでもよくて...
変人揃いというか、なんだかんだいって結局一所懸命がんばってしまう主人公海月(みずき)がポイントですね。
こういう性格の子って、一生こうやって生きていくんでしょうねぇ。肩凝りそうですが、がんばってほしい。


本筋とは違うのですが、印象に残ったシーンは、274ページ。
子供の頃の道徳だか総合だかの時間で、クラス全員の良いところを書き出させられときのエピソード。
「なし」と書いた子が多かった、というの衝撃的ですねぇ。
みんな、乗り越えていくんだよ~、と応援したくなりました。
タグ:加納朋子
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