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ミステリと言う勿れ (8) [コミック 田村由美]


ミステリと言う勿れ (8) (フラワーコミックスアルファ)

ミステリと言う勿れ (8) (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2021/03/10
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
大学教官の天達にバイトにと誘われて山荘に行った久能整。そこで謎解き会をするはずが、思わぬ事件に巻き込まれていく…… ”解読解決青年” 整が今度は山荘ミステリ 注目展開の第7巻。


シリーズ8冊目です。
「ミステリと言う勿れ (8)」 (フラワーコミックスアルファ)

episode11 星降る舌八丁
episode12 耳寄りな話
episode13 ネガティブなポジティブ
を収録しています。

episode11は、舞台となる大鬼蓮美術館で怪しげな集団に襲われます。
襲われる整たち客も、襲う側の怪しげな集団も、みんな訳が分かっていない、というのがおもしろい。
近くの大隣美術館はルーブル展をするほどなのに対し、こちらは人が少ないのがポイントですね──おそらく、大鬼蓮美術館という名前はエンディングで整が指摘するところから作者によって名づけられたのでしょうね。
「ドラマとかでよくあるんですよこういうの
 家族やパートナーを人質に取って殺されたくなかったら何かを吐けとか 何かをしろとか
 僕それとても不思議に思うんです
 犯人たちは家族愛とか ”絆” とかそういうの ものすごく信じてるんだな…て」
という整のセリフには虚を突かれましたが、確かに!
このセリフだけではありませんが、次第次第に整の言葉にペースを乱され、整に巻き込まれていくところが見事。
事件の構図は、作中でも言われていますが実際の世に前例のあるものを踏襲しているのですが、微妙なラインをついていて面白かったですし、襲撃犯たちの身の上とマッチしているのもよかったです。

episode12 はライカさんの正体(?) を知り整がいろいろ考えるのが背景にあります。
千両屋フルーツパーラー(笑)で並んでまでしてフルーツサンドを食べる整が、周りの席の人の話をいろいろ聞く(そして口をはさむ)という流れです。
中で、わざと痴漢冤罪を起こした女が突き落とされる事件というのが語られます。
そこで整は
「冤罪事件が起きたとき最も迷惑を被って最も傷つけられるのは
 日常で痴漢にあってる女性たちだと思うからです」
というのですが、これには到底賛成できません。
「最近”痴漢”というと”冤罪”という声がまず出るようになりました
 男性の方が声が大きいてこともありますけど 冤罪の可能性ばかりが論じられてる
 まるで痴漢事件の一番の問題は 冤罪が起きることかのようです
 でもそうじゃない 一番の問題は 痴漢の被害者がいるってことです」
と続けられているのですが、これでも納得はできないですね。
痴漢の問題は日本の恥ですし、決して軽んじてはいけない問題ですが、こと冤罪であれば冤罪を負わされた人こそが最大の被害者であることは論を俟たないし、ひどい論点のすり替えのように思います。
まあ、この物語の場合は整のセリフが周りの人物たちの行動に影響をあたえるという枠組みですし、この整の人物設定からして、こういう議論を呼ぶ意見を述べることは想定内なので、だから駄目だということにはならないのですが、自分にすっと入ってくるような意見であっても、この作品は気をつけて読まなければならないなと思いました。

episode13では、狩集汐路が再登場し、整にお仕事を持ち込みます。
しょっちゅう入れ替わっている双子を見分けてほしい、と。周りも見分けがつかない、と。
このお話、「ミステリと言う勿れ (10)」 (フラワーコミックスアルファ)に続くので感想は持ち越します。

<蛇足1>
episode12 で、ドイツでは皿を洗う時に洗った後水で流さずにそのまま泡ついたまま拭く、という話が出てきます。もっぱら節水の視点で語られているのですが、これはドイツに限らずフランスもそうですね。
ただ節水のため、というよりはむしろ水の性質によるものだと聞いたことがあります。
あちらは硬水で、洗剤の成分によりそれを中和させている、と。だからせっかく中和したあと硬水で流してしまうとまた硬水の成分が付着してしまい、ある意味かえって汚れるので、あえてそのまま拭いているのだ、と。
軟水の日本とはいろいろと違うのですね。
滞在したことのあるイギリスも水は硬水で、食洗機(ディッシュウォッシャー)には水を中和するために ”塩” を入れるようになっています。塩を入れておかないと、乾燥したときにお皿に白い固形分がついてしまいます。水に石灰成分が含まれるからです。湯沸かしポットなども中の金属に白い石灰がどうしても付着していってしまうので、定期的に Scale Away といった専用の粉をつかって石灰除去をします──これがウォシュレットがイギリスで普及しない一因でもあります。

<蛇足2>
episode13で、しりとりのシーンがあり、ライオンと言ってしまったあとに、整が「ンジンガ女王」(ポルトガルと戦ったアンゴラの女王)とか「ンゴロンゴロ自然保護区」(@タンザニア)と答えるところがあるのですが、しりとりで固有名詞はいんちきではないでしょうか?


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ミステリと言う勿れ (7) [コミック 田村由美]


ミステリと言う勿れ (7) (フラワーコミックスアルファ)

ミステリと言う勿れ (7) (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
大学教官の天達にバイトにと誘われて山荘に行った久能整。そこで謎解き会をするはずが、思わぬ事件に巻き込まれていく…… ”解読解決青年” 整が今度は山荘ミステリ 注目展開の第7巻。


シリーズ7冊目です。
「ミステリと言う勿れ (7)」 (フラワーコミックスアルファ)

episode10 嵐のアイビーハウス
episode10-2 嘘をできるだけ
episode10-3 嘘をひとつだけ
を収録しています。

今回整は、大学の教官の差し金(?) で巻き込まれるのですが、同様にその先生のゼミで同じだった相良レンという人物も登場し、整と対照的な性格付けがなされていて楽しい。
──ただ、明るく開放的で能天気っぽく見えますが、整ほどではないにせよ、きちんと物事を見ている設定でなかなかですね。おそらくは教官が心理学の先生ということで、その先生に選ばれし生徒というくくりでそれなりの観察眼の持ち主という設定なのでしょう。そうでないと整とセットにはできませんよね。

整の過去がすこしうかがわれるところがあって、ちょっと息苦しくもなりますが、一方でお茶目なシーンも用意されているので安心です。
48ページで透明人間になったら何がしたいかに対してどう答えたかをみんなにばらされそうになったときの慌てぶりとか(整も慌てるんですね)、あるいは招かれた別荘でカレーを作る117ページのシーンで「豆乳を ちょびっと 投入──」なんて一人でくだらない駄洒落を言ってみたりとか。

冒頭、整の噂話をいつもの刑事さんたちがするシーン(「ミステリと言う勿れ (6)」 (フラワーコミックスアルファ)のお正月のエピソードに触れられています)があるのですが、そこで青砥刑事が
「あいつは何か? オレたちが知らないだけで実は警視庁の学生刑事なのか?」
というところで笑ってしまいました。
青砥刑事ってメンバーの中では整のことを冷めた目で見ているイメージですが、意外と気にかけてくれていますよね。

事件の方は
今度は山荘ミステリ
と引用したあらすじにありますが、山荘ミステリで連想するのとはちょっと違いますね。
アシモフの「黒後家蜘蛛の会」にあこがれてする謎解きの会、といいつつ、裏がありそうで......
物語が重層構造になっているのがポイント高い。
今回の話はどことなく石持浅海の碓井優佳シリーズを思い起こさせてくれまして、大満足。
いままでで一番面白かったかもしれません。お気に入りです。


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ミステリと言う勿れ (6) [コミック 田村由美]


ミステリと言う勿れ (6) (フラワーコミックスアルファ)

ミステリと言う勿れ (6) (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館サービス
  • 発売日: 2020/02/10
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
過去の事件に繋がりがある可能性に気づいた整(ととのう)。
彼は、病院で知り合った少女・ライカに相談するが、なぜか彼女と一緒に初詣に出かけることに……
そして、横浜で起きた連続女性殺人事件を追うある人物が…… 新展開の第6巻。


シリーズ6冊目です。
「ミステリと言う勿れ」 (6) (フラワーコミックスアルファ)

episode9 デートならぬ遠出(トーデ)
episode2.5 骨の在処はまだ
episode2.5-2 開かぬ箱
episode2.5-3 帳は幾重にも
を収録しています。

episode9の冒頭、整がサラツヤ髪にあこがれて、通販でストレートアイロンを買うエピソードがあって笑ってしまいました。笑ってごめんね。
以前のエピソードからちらほら出てきている、星座のマークが入ったアクセサリーを整が話題に出しますが、まだまだ後まで続くようで、ここで解釈が示されるわけではありません。

整はライカと初詣に行くことになるのですが、その待ち合わせ時間が、3時!。
初詣の時間設定って、こうですか?
日付(年)が変わる前に待ち合わせて新年を一緒に迎えて初詣、ではないのでしょうか??
あるいは、日もすっかり改まって、1月1日の朝とか昼とかでは??

で、そんな時間の初詣の帰りにふらりと寄った焼肉屋(!)での出来事を描いています。
──ちなみに、この焼肉屋さんメニューに和牛ユッケがあります。ユッケがあるお店、珍しいですよね。
焼肉屋さんで感じる違和感を解いていきます。
整もライカも焼肉屋に行ったことがなかったという設定で、この設定はちょっとズルいかな、と感じましたが、するすると流れるように組み立てられていてよかったです。
このあとも、整とライカはデート(ではない遠出だとしてはいますけど)に行くことになったようですし、ある意味、めでたし、めでたし。

続くのが、episode2.5 と数字が変なのがポイントですね。
「ミステリと言う勿れ」 (1) (2) (フラワーコミックスアルファ)に収録されている episode2 会話する犯人 に続くストーリーとなっていまして、主要人物は我路。
なんと整は出てきません──最後に名前だけちょこっと。我路は整にアクセサリーの謎を解いて欲しいのですね。
事件は、横浜で起きた連続女性通り魔事件。
ミステリでいうところのミッシング・リンクを扱っているのですが、犯人像と合わせてちょっと今一かなと思ってしまうのはミステリファンの悪い癖。
そこよりも ”星座のマークが入ったアクセサリー” の謎を解きほぐす一端が見えだしているのがポイントですよね。

整、我路を含めた大きなストーリーになりそうで、期待します。

作中で、香川県粟島にある「漂流郵便局」が登場します。
受け取る人のいない手紙を出せる場所。
亡くなった人や過去・未来の自分にあてて手紙を出せる。それは誰でも自由に閲覧できる、という。
あとがきのような「たむたむたいむ」でも紹介されているので、実在なのですね。
なんだか不思議な場所のようですね。
行ってみたいような、行ってみたくないような。



<蛇足>
「ライカさんは何座ですか?」
と11ページで整に聞かれた答えが
「座……」
こういう会話になりますか??? 不思議です。相手の言葉を繰り返すにしても、「何座……」あるいは「星座……」となる気がします。座......
しかもそのあとに続く会話が
「それはやはり出てきた日で決まるんだろうな?」
「受精卵になった日とかイヤでしょ」
なんという会話だ!!






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ミステリと言う勿れ (5) [コミック 田村由美]


ミステリと言う勿れ (5) (フラワーコミックスアルファ)

ミステリと言う勿れ (5) (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/09/10
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
坂で転がり落ち、検査入院することになった整。
その病院で出会ったのは、なぜか書籍を介した暗号で、意思を伝えてくる美少女・ライカだった。
彼女の言葉に従って動くうちに、整は不穏な都市伝説に遭遇する。
子どもを救う"炎の天使"とは──!?


シリーズ第5巻となりました。
田村由美の「ミステリと言う勿れ (5)」 (フラワーコミックスアルファ)

「ミステリと言う勿れ」 (4) (フラワーコミックスアルファ)のラストあたりからちらちらと出てきていた謎の女性に導かれて、次の事件と出会います。

episode8 天使の言い分
episode8-2 遠火と近火
episode8-3 淡雪と消える
episode8-4 カエルの炎描
と全編にわたって一連の事件を扱っています。

ストーリー展開としては単純です。
子供を虐待する親を、子供が頼めば焼き殺してくれる "炎の天使"。
もうこれだけでストーリー展開は想像つきますし、登場人物も限られていることから犯人(?) もすぐにわかります。
途中、おお、となるようなトリックが仕掛けられていますが、アンフェアかフェアかぎりぎりのところで、それぞれのシーンがどの視点人物の観点に立ってのものなのか判然としないのはミステリとしてみたら困りものかとは思います。冒頭のシーンなどはかなり微妙かと思うもののフェアだとする説明はなんとかつけられそうですが、肝心の(?) 整が出てくるシーンは説明できないような......マンガは絵で示されるだけに、視点人物という概念があいまいになりやすいところを逆に突いたもの、と言えるかもしれませんが。

しかしながら、この物語の主眼はそこにはないと思われ(なにしろ「ミステリと言う勿れ」 (2) のあとがき的な ”おまけのたむたむたいむ” で、「ミステリじゃないです」「だからこのタイトル」と書かれておられるくらいですから、ミステリとして読まれるのはご迷惑でしょう)、そのトリックを超えたところで、整と登場人物が繰り広げる会話にこそポイントがあるのだと思います。
児童虐待というのは難しい問題で、整もいつもよりは饒舌さが減っているようにも思いました──その分、ほかの登場人物がよくしゃべります。

整は、小学校の先生になりたいんですね。
「久能さんは確かに悪い人じゃないけど
 気持ち悪い人ですよね」
なんて言われちゃう人物だけど(笑ってはいけないのでしょうが、笑ってしまいました)、大丈夫かな?




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ミステリと言う勿れ (4) [コミック 田村由美]


ミステリと言う勿れ (4) (フラワーコミックスアルファ)

ミステリと言う勿れ (4) (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売: 2019/02/08
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
広島での狩集家の代々の相続争いで、過去をさかのぼるうちに、明らかになった仕掛け人の存在。
さらに、汐路の父母たちの意外な意思が明らかとなり…
追加ページ有りで広島編、ついに決着!
そして、新章スタートの必見の第4巻!


シリーズ第4巻となりました。
田村由美の「ミステリと言う勿れ」 (4) (フラワーコミックスアルファ)

「ミステリと言う勿れ」 (2) (フラワーコミックスアルファ)(感想ページはこちら)に収録の
episode4 思惑通りの予定外
から、
「ミステリと言う勿れ」 (3) (フラワーコミックスアルファ)
を経て、
この「ミステリと言う勿れ」 (4) (フラワーコミックスアルファ)の冒頭の
episode4-5 殺すのが早すぎた
で、ようやく広島編が完結します。

「episode4-5 殺すのが早すぎた」って、第3巻第4巻にまたがって収録されているのですね。
かわった編集の仕方だと思います。
とはいえ、第3巻に入れきってしまうには長すぎる気もしますね。

いや、そもそも広島編が長い!
もともとこのシリーズ作品は、整のセリフが異常に長いので、小さい話でも長くなってしまう特徴を持っているのですが、広島編はとりわけ長いですね。
もちろん、それだけ物語の幅も広がってはいるのですが、ちょっと長すぎるように思います。
用いられているプロットは、横溝正史? と軽く思うほどの、因習に満ちた広島の旧家(1軒ではなく3軒というのがすごいですが)を舞台にした事件です。
ミステリ読者としてはこういうの支持したいのですが(ミステリとしては大事にしたい伝統芸のようなものですよね)、現代においてもこのようなプロットは説得力を持つでしょうか?
ただ、真相解明シーンの犯人のセリフに、業(と呼んでおきます)の深さが伺われましたし、連綿と続いていく(あるいは続いていってしまう)”呪い” の強さを垣間見た気がしましたので、印象には強く残っております。

続くepisode5 雨は俎上に降る は、道端で整が出会うおじさんとの会話が中心です。
冒頭、整が「雨は蕭々と降っている」と三好達治の「大阿蘇」を引用します。
この詩、個人的には学校では習わなかったのですが、教科書に広く採用されている詩のようですね。
対するおじさんが口ずさむのが、みんなの歌「山賊の歌」。こちらも知りませんでした......
でも、これだけのきっかけで長話をするようになるのは、さすが整というところでしょうか。
だいぶ話が盛り上がった(わけではない気もしますが)頃、記憶喪失かと思われるおじさんが「どこかに爆弾を仕掛けたような……」と言いだして、話は急展開。
さて、どこに? という話。
やや強引な推理(というか実態はあてずっぽうに近い)により首尾よくつきとめます。

episode6 ばちあたり夜話 は、整が入院した(させられた?)病院で、病室で隣り合わせた元刑事の老人から聞かされる話が中心です。
まるでクイズのように、事件の真相を解いてみよ、と言われる整という構図がおかしい。
途中で整のほうから「ぼくもう寝てもいいですか」と音を上げるような発言がでるので、なおさら(笑)。
最後に怪談テイストを盛ったのがよかったのか、悪かったのか。中途半端になってしまった印象ですが......

episode7 暖かいのか温かいのか は、病院の誤字だらけの掲示から温室に導かれた整が、温室に秘められた謎(というのとは少々違うのですが)を解くという話です。
ちょっと仕組み過ぎではないかと思われるのですが、シリーズを通しての重要人物と思われる翔くんとの連関が示唆されているので、これでよいのでしょう。
ラストで謎めいた少女(に見えないんですが)が登場して、続きが気になります。


<蛇足>
episode5に「カルテットの話でしたけど」と整が会話を転換するシーンがあるのですが、それまでにカルテットの話なんかしてないんですよね.......なんだろ? と思って調べたら、直前にテレビドラマの話を整がしていて、そのドラマのタイトルが「カルテット」なんですね。




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ミステリと言う勿れ (3) [コミック 田村由美]

ミステリと言う勿れ (3) (フラワーコミックスアルファ)

ミステリと言う勿れ (3) (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/10/10
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
代々、遺産を巡る争いで死者さえ出るという、狩集(かりあつまり)家の相続人のひとりである、汐路(しおじ)に頼まれ、訪れた先の広島で、遺言書の開示に立ち会うことになった久能 整(くのう ととのう)。
そこには、失跡した犬童我路(ガロ)の思惑が働いていた。
相続人候補は汐路と、いとこたち4人。
整は次第に身に危険も及ぶ骨肉の争いに巻き込まれて…!?


「ミステリと言う勿れ」 (2) (フラワーコミックスアルファ)(感想ページはこちら)に収録の
episode4 思惑通りの予定外
の続きがこの「ミステリと言う勿れ」 (3) (フラワーコミックスアルファ)には収録されていて
episode4-2 相続人の事情
episode4-3 落とされたものは
episode4-4 鬼の集(つどい)
episode4-5 殺すのが早すぎた
という形になっているのですが、最初に一言
このエピソード、第3巻で完結していない!!!
なので感想を「ミステリと言う勿れ」 (4) (フラワーコミックスアルファ)まで持ち越そうかとも思ったのですが、謎の太宗は解かれるので一旦ここまでの感想を書いておきたいと思います。

第2巻 の「episode4 思惑通りの予定外」は、整が巻き込まれるようになった次第を描いています。
その前の「episode3 つかの間のトレイン」の画面でもちゃんと伏線をはっておいてほしかったなぁ、とは思いましたが、この部分、テンポがよくて面白い。
怪しげな遺言っていうのもいいですよね。
「すべきことはひとつ
 それぞれの蔵においてあるべきものをあるべき所へ
 過不足なくせよ」

こういう設定は少々時代遅れな感じがしないでもないですが、狩集家と弁護士の車坂家と税理士の真壁家が団結しているところとか、四つの蔵が明聡、忠敬、温恭、問難と名付けられていかにも何かありそうなところとか、おもしろいですよね。

第3巻に移るわけですが、今回、いつもより整のおしゃべりは控えめです。
過去の出来事まで絡んで事件の構図が込み入っているから(その説明が必要で整のおしゃべりにあまりページを割けない)ということもありますが、周りの人物もいろいろと話すから、という感じがします。
整がしゃべろうとして聞いてもらえず
「もうしゃべるもんか」
と整がいうシーンが「episode4-3 落とされたものは」にあったりします。しゃべらないなんて、なにより整自身がもたないと思うんですけどね(笑)。
「episode4-4 鬼の集」には
「整くんはおじさんがキライなんだね」
「まあ」
「おじさんくさいのにね」
なんて会話まで(笑)。

「episode4-5 殺すのが早すぎた」では整が罠をしかけて下手人を捕まえます。
実際の謎解きは次巻に持ち越しですね。
ミステリとしての感想はその時に。



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ミステリと言う勿れ (2) [コミック 田村由美]


ミステリと言う勿れ (2) (フラワーコミックスアルファ)

ミステリと言う勿れ (2) (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/05/10
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
美術展に行こうと乗ったバスでハイジャックにあった、久能整(ととのう)。
犯人、運転手を含む一行10人はバスで犯人の「我が家」という豪邸・犬堂家に運ばれた。
一室に閉じ込められた彼ら・彼女らに突き付けられるのは…?
episode2「後編」と、整が広島に向かうことから始まるepisode3・4を収録!!


「ミステリと言う勿れ」 (1) (フラワーコミックスアルファ)感想で、ポイントとなる整の長話をくさしておきながら、続きを読むのかと言われそうですが、第1巻の半分ほどを占めている episode 2 の続きが気になったので。

この第2巻
には
episode2 犯人が多すぎる
episode3 つかの間のトレイン
episode4 思惑通りの予定外

幕の内 episode2 と episode3 の
が収録されています。

episode2 犯人が多すぎるは、バスジャック。第1巻の続きです。
バスジャックされている状況というのに、まあ整のしゃべることしゃべること(笑)。
そんな整の話をちゃんと拾ってくれる稀有な翔くんという人物が登場します。よかったね、整。
後の方になりますが、
整「僕 まだ何か言っていいですか」
バスジャック犯「言わないつもりか?」
整「そろそろうざいって言われそうで」
バスジャック犯「もうとっくにうざいから気にするな」気にしてたのかよ!
というシーンがあって笑ってしまいましたが、そんなときも
翔「オレはいいと思うよ」
と言ってくれるんですよね。

さてミステリでこういう一定の人数の監禁というと、あるパターンがあります。
この話も「どうして人を殺してはいけないのか?」とバスジャック犯が問うあたりで、そのパターンに沿った物語なのだな、とわかります。
第2巻に移って後半に入るとそのことがはっきりします。
そして定石通りの展開へ。
マンガならではと言いたくなるような真相をつきとめます。
その後整をめぐるちょっとした、でも、シリーズにとっては大きそうなエピソードが添えられます。ちょっと怖い。

episode3 つかの間のトレイン は、広島へ向かう新幹線の中での会話です。
見えちゃったものはしょうがないのかも、ですが、隣の人の手紙を見ちゃうって、整ならではですよね......
深読みする整に対して、ここでは整以上に含蓄深いセリフを漏らす人物が出てくることが印象的でした。

episode4 思惑通りの予定外 は第3巻に続くのですね......なので次回の感想で。


<蛇足>
「そういえば名前の最後の音が一緒なんですよ
 『しょう』と『ととのう』
 最後の音が『U(ユー)』」
というのが第1巻の終盤にあるのですが、翔という名前は「しょう」というよりはむしろ「しょー」と発音するのではないかと思います。


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ミステリと言う勿れ (1) [コミック 田村由美]


ミステリと言う勿れ (1) (フラワーコミックスアルファ)

ミステリと言う勿れ (1) (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館サービス
  • 発売日: 2018/01/10
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
冬のあるカレー日和。
大学生・整(ととのう)がタマネギをザク切りしていると警察官が「近隣で殺人があった」と訪ねてきた。
そのまま警察署に連れていかれた整にアパートの部屋で
突然任意同行された整に、次々に容疑を裏付ける証拠が突きつけられていくが・・・?
解読解決青年・久能整登場編の episode1 と episode2 [前編] を収録


菅田将暉主演でテレビドラマ化されて話題のコミックです。ドラマがスタートするより前に読んだのですが、今頃感想を。ドラマは観ていません。

冒頭、カレー日和、というところに惹かれてしまいました。雪の朝。
しかも、カレーに、コロッケかメンチを乗せて食べるという、かなり贅沢仕様のカレー。いいではないですか。
あ、いや、これは本筋と関係ないですね。
カレーを作っているところへ大家さんが来る。刑事を連れて。
この大家さん、匂いからチキンカレーってわかるんですよね。ビーフカレーやポークカレー、あるいはシーフードカレーと匂いで違いがわかるものでしょうか?
あ、だから、カレーは本筋ではありません。
刑事さんが殺人事件を告げ、整は容疑者となり、濡れ衣を晴らす、というストーリーです。

ポイントは、整の長話。
この episode1「容疑者は一人だけ」の場合は、刑事さんたちの事情を見抜いて語りだすところ、ですね。
おじさん刑事の娘との関係、若手女性刑事のペットの話、若手男性刑事の出産間近の妻との関係などなどなどなど
説教といえば説教なのでしょうが、この数々の大部分が、正直つまらない。
なにがつまらないかというと、ありふれているから。いずれもどこかで聞いたことのあるような話ばかりなのです。
大学生がこうやって垂れ流す、どこにでもあるようなきわめてありふれた説教じみた話に、周りの大人が(この作品の場合刑事たちが)やすやすと感銘を受けてしまう。

この作品を面白いと思ったのは、整の長広舌の先に犯人が無造作に(この種の作品の場合、無造作であるはずはないのですが、そう思えるような形で、そう見えるように)置いてあること。
犯人のエピソードが、数多のありきたりの説教の中に埋もれてしまっている(ように見える)。
物語の展開としてミスディレクションとまではいかないのですが、不思議な読後感になりました。
ただ、この手は一回限りのもののように思えます。
今後の展開が気になります。

印象に残った整のセリフ。
「真実は一つじゃない
 2つや3つでもない
 真実は人の数だけあるんですよ」
これもまあよく見受けられる意見ですが、こういう感じのストーリー展開になったらもっとおもしろかったですね。

この第1巻には episode 2 も収録されていますが、話が第2巻に続いていくので、感想は次の機会に。
(episode 1 はコミックの半分くらいの長さです)

ところで、気になるのがタイトル。
通常使われる「ミステリー」ではなくて、「ミステリ」。
この表記、早川書房や東京創元社など、海外ミステリの老舗が使う表現ですよね。
ひょっとして作者の田村由美さん、海外ミステリファン?


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