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ミステリと言う勿れ (1) [コミック 田村由美]


ミステリと言う勿れ (1) (フラワーコミックスアルファ)

ミステリと言う勿れ (1) (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館サービス
  • 発売日: 2018/01/10
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
冬のあるカレー日和。
大学生・整(ととのう)がタマネギをザク切りしていると警察官が「近隣で殺人があった」と訪ねてきた。
そのまま警察署に連れていかれた整にアパートの部屋で
突然任意同行された整に、次々に容疑を裏付ける証拠が突きつけられていくが・・・?
解読解決青年・久能整登場編の episode1 と episode2 [前編] を収録


菅田将暉主演でテレビドラマ化されて話題のコミックです。ドラマがスタートするより前に読んだのですが、今頃感想を。ドラマは観ていません。

冒頭、カレー日和、というところに惹かれてしまいました。雪の朝。
しかも、カレーに、コロッケかメンチを乗せて食べるという、かなり贅沢仕様のカレー。いいではないですか。
あ、いや、これは本筋と関係ないですね。
カレーを作っているところへ大家さんが来る。刑事を連れて。
この大家さん、匂いからチキンカレーってわかるんですよね。ビーフカレーやポークカレー、あるいはシーフードカレーと匂いで違いがわかるものでしょうか?
あ、だから、カレーは本筋ではありません。
刑事さんが殺人事件を告げ、整は容疑者となり、濡れ衣を晴らす、というストーリーです。

ポイントは、整の長話。
この episode1「容疑者は一人だけ」の場合は、刑事さんたちの事情を見抜いて語りだすところ、ですね。
おじさん刑事の娘との関係、若手女性刑事のペットの話、若手男性刑事の出産間近の妻との関係などなどなどなど
説教といえば説教なのでしょうが、この数々の大部分が、正直つまらない。
なにがつまらないかというと、ありふれているから。いずれもどこかで聞いたことのあるような話ばかりなのです。
大学生がこうやって垂れ流す、どこにでもあるようなきわめてありふれた説教じみた話に、周りの大人が(この作品の場合刑事たちが)やすやすと感銘を受けてしまう。

この作品を面白いと思ったのは、整の長広舌の先に犯人が無造作に(この種の作品の場合、無造作であるはずはないのですが、そう思えるような形で、そう見えるように)置いてあること。
犯人のエピソードが、数多のありきたりの説教の中に埋もれてしまっている(ように見える)。
物語の展開としてミスディレクションとまではいかないのですが、不思議な読後感になりました。
ただ、この手は一回限りのもののように思えます。
今後の展開が気になります。

印象に残った整のセリフ。
「真実は一つじゃない
 2つや3つでもない
 真実は人の数だけあるんですよ」
これもまあよく見受けられる意見ですが、こういう感じのストーリー展開になったらもっとおもしろかったですね。

この第1巻には episode 2 も収録されていますが、話が第2巻に続いていくので、感想は次の機会に。
(episode 1 はコミックの半分くらいの長さです)

ところで、気になるのがタイトル。
通常使われる「ミステリー」ではなくて、「ミステリ」。
この表記、早川書房や東京創元社など、海外ミステリの老舗が使う表現ですよね。
ひょっとして作者の田村由美さん、海外ミステリファン?


タグ:田村由美
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