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ミステリと言う勿れ (4) [コミック 田村由美]


ミステリと言う勿れ (4) (フラワーコミックスアルファ)

ミステリと言う勿れ (4) (フラワーコミックスアルファ)

  • 作者: 田村 由美
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売: 2019/02/08
  • メディア: コミック

<カバー裏あらすじ>
広島での狩集家の代々の相続争いで、過去をさかのぼるうちに、明らかになった仕掛け人の存在。
さらに、汐路の父母たちの意外な意思が明らかとなり…
追加ページ有りで広島編、ついに決着!
そして、新章スタートの必見の第4巻!


シリーズ第4巻となりました。
田村由美の「ミステリと言う勿れ」 (4) (フラワーコミックスアルファ)

「ミステリと言う勿れ」 (2) (フラワーコミックスアルファ)(感想ページはこちら)に収録の
episode4 思惑通りの予定外
から、
「ミステリと言う勿れ」 (3) (フラワーコミックスアルファ)
を経て、
この「ミステリと言う勿れ」 (4) (フラワーコミックスアルファ)の冒頭の
episode4-5 殺すのが早すぎた
で、ようやく広島編が完結します。

「episode4-5 殺すのが早すぎた」って、第3巻第4巻にまたがって収録されているのですね。
かわった編集の仕方だと思います。
とはいえ、第3巻に入れきってしまうには長すぎる気もしますね。

いや、そもそも広島編が長い!
もともとこのシリーズ作品は、整のセリフが異常に長いので、小さい話でも長くなってしまう特徴を持っているのですが、広島編はとりわけ長いですね。
もちろん、それだけ物語の幅も広がってはいるのですが、ちょっと長すぎるように思います。
用いられているプロットは、横溝正史? と軽く思うほどの、因習に満ちた広島の旧家(1軒ではなく3軒というのがすごいですが)を舞台にした事件です。
ミステリ読者としてはこういうの支持したいのですが(ミステリとしては大事にしたい伝統芸のようなものですよね)、現代においてもこのようなプロットは説得力を持つでしょうか?
ただ、真相解明シーンの犯人のセリフに、業(と呼んでおきます)の深さが伺われましたし、連綿と続いていく(あるいは続いていってしまう)”呪い” の強さを垣間見た気がしましたので、印象には強く残っております。

続くepisode5 雨は俎上に降る は、道端で整が出会うおじさんとの会話が中心です。
冒頭、整が「雨は蕭々と降っている」と三好達治の「大阿蘇」を引用します。
この詩、個人的には学校では習わなかったのですが、教科書に広く採用されている詩のようですね。
対するおじさんが口ずさむのが、みんなの歌「山賊の歌」。こちらも知りませんでした......
でも、これだけのきっかけで長話をするようになるのは、さすが整というところでしょうか。
だいぶ話が盛り上がった(わけではない気もしますが)頃、記憶喪失かと思われるおじさんが「どこかに爆弾を仕掛けたような……」と言いだして、話は急展開。
さて、どこに? という話。
やや強引な推理(というか実態はあてずっぽうに近い)により首尾よくつきとめます。

episode6 ばちあたり夜話 は、整が入院した(させられた?)病院で、病室で隣り合わせた元刑事の老人から聞かされる話が中心です。
まるでクイズのように、事件の真相を解いてみよ、と言われる整という構図がおかしい。
途中で整のほうから「ぼくもう寝てもいいですか」と音を上げるような発言がでるので、なおさら(笑)。
最後に怪談テイストを盛ったのがよかったのか、悪かったのか。中途半端になってしまった印象ですが......

episode7 暖かいのか温かいのか は、病院の誤字だらけの掲示から温室に導かれた整が、温室に秘められた謎(というのとは少々違うのですが)を解くという話です。
ちょっと仕組み過ぎではないかと思われるのですが、シリーズを通しての重要人物と思われる翔くんとの連関が示唆されているので、これでよいのでしょう。
ラストで謎めいた少女(に見えないんですが)が登場して、続きが気になります。


<蛇足>
episode5に「カルテットの話でしたけど」と整が会話を転換するシーンがあるのですが、それまでにカルテットの話なんかしてないんですよね.......なんだろ? と思って調べたら、直前にテレビドラマの話を整がしていて、そのドラマのタイトルが「カルテット」なんですね。




タグ:田村由美
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