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晴れた日は図書館へいこう [日本の作家 ま行]


(P[み]4-1)晴れた日は図書館へいこう (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[み]4-1)晴れた日は図書館へいこう (ポプラ文庫ピュアフル)

  • 作者: 緑川 聖司
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2013/07/05
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
茅野しおりの日課は、憧れのいとこ、美弥子さんが司書をしている雲峰市立図書館へ通うこと。そこでは、日々、本にまつわるちょっと変わった事件が起きている。六十年前に貸し出された本を返しにきた少年、次々と行方不明になる本に隠された秘密……本と図書館を愛するすべての人に贈る、とっておきの“日常の謎”。
知る人ぞ知るミステリーの名作が、書き下ろし短編を加えて待望の文庫化。


読了本落穂ひろいです。
2017年11月に読んだ、緑川聖司「晴れた日は図書館へいこう」 (ポプラ文庫ピュアフル)
第一回日本児童文学者協会長編児童文学新人賞佳作受賞作。

第一話 わたしの本
第二話 長い旅
第三話 ぬれた本の謎
第四話 消えた本の謎
第五話 エピローグはプロローグ

番外編 雨の日も図書館へいこう
を収録した連作短編集です。

The 日常の謎、とでも言いたくなるような謎を扱っています。
第一話 図書館で見かけた三歳くらいの迷子が年齢不相応な本を「わたしの本」というのは?
第二話 少年が返却に来た本は、六十年前に少年の祖父が借りていたものだった。どうして?
第三話 図書返却用のブックポストにどうして水が投げ込まれたのか?
第四話 急に児童書が盗まれるようになった。盗まれた本の共通点から浮かび上がる犯人は?
第五話はこれまでの集大成的な顔見世が行われると同時に、主人公茅野しおりにちょっとしたサプライズ。
文庫化の際に追加された番外編は、雨の中で本を読む女性の謎を扱っていますが、シリーズ読者にちょっとうれしいプレゼント的な色彩も添えられています。

プロローグで、わたしが「晴れた日は、図書館へいこう!」と心の叫びをあげますが、その中で
「読みたい本は、たくさんある。その上、わたしが一冊の本を読んでいる間にも、世界中でたくさんの人が、わたしたちのために新しい本を書いてくれているのだ。」(7ページ)
と書いているのに注目しました。
ミステリーを読み始めた子供の頃、愚かにも、世の中のミステリーを全部読む!、と考えていたからです。
主人公の茅野しおりは小学五年生という設定ですが、当時のぼくよりもはるかに賢い(笑)。

謎を解くのはしおりではなく周りの人物たちで、謎もさほど大きなものがないので、解いたというよりも解けた、という風情を漂わせていますが、この種の謎に図書館はふさわしいのかも、と思えました。
あとがきで作者も
「図書館を舞台にした作品を書こうと思ったのは、頻繁に通っていてよく知った場所だったということと、いわゆる『日常の謎』ものの舞台になりそうだな、と思ったからでした。」
と書いています。

集中のお気に入りは「第二話 長い旅」。
繰り返し出てくる「そういう時代」という語を味わってしまいました。
こういう作品が気に入るようになったのは、こちらが歳を取ったということなのでしょうか?

シリーズも好調なようで、
「晴れた日は図書館へいこう ここから始まる物語」 (ポプラ文庫ピュアフル)
「晴れた日は図書館へいこう 夢のかたち」 (ポプラ文庫ピュアフル)
と第3作まで出版されています。



<蛇足>
「去年のテーマは『光害(ひかりがい)について』(『公害』と区別するために、『ひかりがい』と読むのだそうだ)。」(127ページ)
光害は「ひかりがい」と読むのですね。知りませんでした。



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