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怪盗紳士(ポプラ社) [海外の作家 ら行]



<カバー裏あらすじ>
フランスの豪華客船に、怪盗ルパンが紛れこんでいるという知らせをうけ、乗客たちは騒然となる。金髪で、右腕に傷あとがあり、変名の頭文字はR──高慢な大金持ちから金品を盗み、貧しい人には力をかす、英雄的大泥棒・怪盗紳士アルセーヌ・ルパンが初めて登場した作品! 解説/貫井徳郎


2024年2月に読んだ4冊目の本です。
モーリス・ルブランの「怪盗紳士 怪盗ルパン全集シリーズ(2) 」(ポプラ文庫クラシック 怪盗ルパン全集(2))

2023年10月に「奇巌城 怪盗ルパン全集シリーズ(1) 」(ポプラ文庫クラシック)(感想ページはこちら)を読んで、懐かしく、面白く感じたので、このシリーズを一気に大人買いしました。
ポプラ社からはこのあと版を改めたバージョンも出ていまして、この文庫本在庫が少なくなっているものもあるようですね。結構探して買いました。

タイトルからもわかりますように、「怪盗紳士ルパン」 (ハヤカワ文庫 HM)(感想ページはこちら)と同じ作品ですね。
子供向けの翻案なので、ページ数の関係でしょう、全9話中6話が収録されています。
題して
大ニュース=ルパンとらわる
悪魔(サタン)男爵の盗難事件
ルパンの脱走
奇怪な乗客
ハートの7
大探偵ホームズとルパン

オリジナルの方のタイトルは、 ハヤカワ文庫版ではそれぞれ
アルセーヌ・ルパンの逮捕
獄中のアルセーヌ・ルパン
アルセーヌ・ルパンの脱獄
謎の旅行者
ハートの7
遅かりしシャーロック・ホームズ
ですね。なかなか趣深い(笑)。

これらのタイトルもそうですが、非常にのびのびと、というか、好き勝手に翻案している感じがとても心地よい──といっても、でたらめというわけではなく、原作に対するリスペクトはちゃんとあるんですよね。
「あんがい、かれは日本にのがれて、講道館あたりですきな柔道のしあげをしえているのではないだろうか。」(184ページ)
なんて、南洋一郎ならでは、という脱線ではないでしょうか。
子どもの頃はそのまま素直に読んでいたと思うので、こういう風に読むのは大人になったからこその愉しみのような気がします。
解説でも貫井徳郎が
「ぼくがわくわくしたルパンは、モーリス・ルブランが創造したルパンではなく、南氏のルパンだったのだな、と今になって思ったりもします。」(323ページ)
と書いているように、南洋一郎の自由奔放に見えるところが大きな魅力になっているのでしょう。

それと、ハヤカワミステリ文庫版の感想にも書いたことですが、この短篇集はもともとかなりトリッキーでして、子供向けで原稿枚数が絞られる関係でしょう、そのあっと驚く部分が集中して強調して取り上げられているので、シンプルに驚きを大きくさせる効果が出ているようにも思えました。

大人買いした残りを楽しみに読んでいきます。



<蛇足1>
「ぼくは、船長やロゼーヌがのみとりまなこで、船のすみずみまで探しても、時間をむだにするだけだと思いますね。」(31ページ)
「のみとりまなこ」ですか。もう死語ですね。
子どもはわからないのではないでしょうか?

<蛇足2>
「あいつは頭のするどい、神経が金線のようにこまかい男だ。」(106ページ)
金線というのが、細やかなもののたとえに使われるのですね。




原題:L'aiguille Creuse
作者:Maurice Leblanc
刊行:1909年(Wikipediaによる)
訳者:南洋一郎








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