SSブログ

セカンド・ラブ [日本の作家 乾くるみ]

セカンド・ラブ
乾くるみ
文藝春秋



セカンド・ラブ

セカンド・ラブ

  • 作者: 乾 くるみ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/09
  • メディア: 単行本


<帯あらすじ>
『イニシエーション・ラブ』の衝撃、ふたたび。1983年元旦、僕は春香と出会う。僕たちは幸せだった。春香とそっくりな女・美奈子が現れるまでは。良家の令嬢・春香と、パブで働く経験豊富な美奈子。うりふたつだが性格や生い立ちが違う二人。美奈子の正体は春香じゃないのか?そして、ほんとに僕が好きなのはどっちなんだろう。

単行本です。文庫を待たずに買ってしまいました。
もう文庫にもなっている「イニシエーション・ラブ」は、恋愛小説の衣装をまとって、叙述トリックを駆使、ミステリマインドに強く訴えかけて、事件どころか日常の謎すらないのに、ミステリとして評価されるという離れ業でしたが、その「衝撃、ふたたび」という煽り文句で、期待が盛り上がります。
その期待通り? オープニングの序章は結婚式シーンなのですが、怪しさ十分。なんとなく何が仕掛けられているのか想像がつくのですが、その想像では矛盾が生じるというか、説明がつかないことがわかり、さて、何が仕掛けられているのか、と改めて気を引き締めます。
この、読者が「イニシエーション・ラブ」を読んでいることを前提に組み立てられているのがまず◎。
仕掛けを二重構造にしたのがポイントかと思います。一つ目の仕掛けに気づいても、二つ目の仕掛けが見抜けないと整合性がつかないかたちです。
二つ目の仕掛けのネタは、ミステリではよく使われているものですが、こういう風に使ったものには思い当りません。そのせいか、露骨な伏線もスルーしてしまいました。作風はまったく違いますが、西澤保彦に同じような効果を狙った作品があったなぁ、と。あれも、すっかり騙されましたので、こちらがこういうのに弱いのかもしれません。
「イニシエーション・ラブ」とはまた違った趣向で、十分楽しめました。

ところで、この作品のタイトル、「セカンド・ラブ」というのはどういう意味なのでしょうか? 正直、わかりません。
中森明菜の歌から取られているわけですが、歌のように、二度目の恋、というわけではなさそうです。
時間的経緯の順番ではなく、順位としての二番目(第二位?)の恋、ということなのでしょうか?
ひょっとして、続きものでもないのに、「イニシエーション・ラブ」に続く、「ラブ」という意味だったりして....!?


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0