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邪悪の家 [海外の作家 アガサ・クリスティー]


邪悪の家(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

邪悪の家(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2011/01/07
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
名探偵ポアロは保養地のホテルで、若き美女ニックと出会った。近くに建つエンド・ハウスの所有者である彼女は、最近三回も命の危険にさらされたとポアロに語る。まさにその会話の最中、一発の銃弾が……ニックを守るべく屋敷に赴いたポアロだが、五里霧中のまま、ついにある夜惨劇は起きてしまった!

ハヤカワ文庫のなかのクリスティー文庫の1冊です。一昨年から去年にかけて新訳シリーズが展開されていて、そのうちの1冊でした。表紙は、和田誠さんのイラストです。
昔小学生のころに、子供向けに訳されたものを図書館で借りて読んだのが最初の出会いです。大人向け(というかオリジナルですね)のものも、「エンド・ハウスの怪事件」 というタイトルで訳されている創元推理文庫版を読んでいます。
今回、新訳が出たので懐かしくなって、改めて読んでみようと購入しました。
子供のころからの刷り込み効果もあるとは思いますが、やはりおもしろかったですね。
クリスティといえば、「そして誰もいなくなった」 (クリスティー文庫)
「アクロイド殺害事件」 (創元推理文庫)
「オリエント急行の殺人」 (創元推理文庫)
「ABC殺人事件」 (創元推理文庫)
といったあたりが名高くて、「邪悪の家」はとりあげられることが少ないのですが、子供のころこの作品の真相に強烈な衝撃を受けたことを思い出します。この1冊で、ポアロとクリスティのファンになりました。
非常にシンプルなプロットなのですが、効果抜群ですね。
今回の再読で、見え見えの手がかりがちゃんとばら撒かれていることを確認しました。ぼくのようにボケた読者でなければ、容易に真相に行き当たると思われますので、強烈な衝撃、など受けない人がほとんどかもしれません...でも、ぼくにとっては幸せの1冊、偏愛の書です。
クリスティではもう1冊、「葬儀を終えて」 (クリスティー文庫)がぼくの幸せの1冊です。
邦訳タイトルは、ニックのキャラクターも事件も、からっと書かれているので、ちょっと「邪悪の家」では重過ぎます。原題に近い、「エンド・ハウスの怪事件」 のほうがいいですね。さらに希望を言うと、「怪事件」ではなく、「危機」とか「危難」とかの方がしっくりきます。
途中で、
「何年ぶりかな、ムッシュ・ポアロ! 田舎でカボチャでも作っていると思ったが」
「ああ、私も作ろうとしたさ、ジャップ。だが、カボチャを作っていたって、殺人事件がおいかけてくるんだよ」(P259)
なんてやりとりもあって、にやりとしてしまいました。 「青列車の秘密」 (クリスティー文庫)も触れられていますし、こういう作品間のつながりを書く作家だったんですね、クリスティーは。覚えていませんでした。
懐かしく、楽しい時間をすごせました。

ところで、P44に「モットのガレージ」というのが出てくるのですが、原文はどうなっているのでしょう? モットというのが人物名であるかのように訳されていますが、ひょっとしたらMOTではないでしょうか? MOTは、Ministry of Transport(運輸省?)の略ですが、一般には日本で言う車検みたいなものを指すので、こちらではないかと思います。ガレージというのも、日本語だと駐車場(車庫)みたいですが、修理工場とか整備工場のことだと思います...

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コースケ

ドラマ版の「邪悪の家」がかなり印象強いですね。
なんといっても解決編が良いんです!
ポワロの謎解きの際、幽霊をポワロが信じてみたり(笑
最後の最後にどんでん返しがあったりと。

31さん仰る通り、クリスティのポワロものでは
知名度はイマイチですが、僕もこれは好きです。

by コースケ (2012-02-03 00:06) 

31

コースケさん、nice&コメントありがとうございます。
コースケさんも、「邪悪の家」をお好きだということで、とてもうれしいです。意を強くしました。
ドラマは観ていないので、機会を作ってみてみたいと思います。
by 31 (2012-02-03 23:47) 

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