寒椿ゆれる 猿若町捕物帳 [日本の作家 近藤史恵]
<裏表紙あらすじ>
男前ながら堅物の同心・玉島千蔭。今日もその周囲では事件が起こる。美貌の花魁・梅が枝、若手人気女形・水木巴之丞らの手も借りつつ、江戸を騒がす不可解な事件の解決にあたる。今回は、女が苦手な千蔭に久しぶりに“兵”の見合い相手が登場。事件の行方、そして、千蔭の見合いの行方は……。江戸が息づく傑作シリーズの猿若町捕物帳、待望の第四弾が文庫化。
「巴之丞鹿の子 猿若町捕物帳」 (光文社時代小説文庫)
「ほおずき地獄 猿若町捕物帳」 (光文社時代小説文庫)
「にわか大根 猿若町捕物帳」 (光文社時代小説文庫)
と猿若町捕物帳も順調に巻を重ねています。今回は第4弾。最初は幻冬舎文庫だったのですが、光文社に移って2冊目となります。3話収録の短編集です。
捕物帳という枠組みに、女形や花魁という“粋”なレギュラーメンバーを配したところに特徴があると思います。このあたりは杉江松恋さんの解説がわかりやすくてよいです。
今回はなんといっても、千蔭が見合いをする、というのが大きなポイントとなります。前回の見合い相手お駒は、なんと千蔭の父と結婚し、千蔭の義母となるという仰天の決着を見せましたが、さて、今回のろくはどうでしょうか? 見合いだなんて、梅が枝はどうなるんだ、とこちらは気をもみますが、同心と花魁では所詮かなわぬ恋ということなのか、話は進んでいってしまいます。見合いをすることが明らかになってからの梅が枝の振る舞いとか、それに対する千蔭の反応とか、両者の性格的にそうなってしまうのはわかっていても、傍から見てると、もう!!! ってな感じです。
安易な方向に流れやすい捕物帳ですが、このシリーズはミステリとしての側面もきっちりと落ち着くところに落ち着きます。決め手となる手がかりが明白にさらしてあればもっとすごくなると思いますが、今のままでも、時代背景にマッチしたミステリとして十分に楽しめます。
続巻はまだのようですが、期待して待つことにします。
このお話も面白そうですね! 読みたいリストに加えたいと思います。
by まっきー☆ (2012-03-19 21:06)
まっきー☆さん、コメントありがとうございます。
近藤史恵の捕物帳は、やわらかな印象の時代物です。
ぜひ一度、お読みください!
by 31 (2012-03-24 20:07)