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キングを探せ [日本の作家 な行]


キングを探せ (特別書き下ろし)

キングを探せ (特別書き下ろし)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/12/08
  • メディア: 単行本

<裏表紙帯あらすじ>
奇妙なニックネームで呼び合う4人の男たち。なんの縁もなかった彼らの共通項は“殺意”。どうしても殺したい相手がいる、それだけで結託した彼らは、交換殺人を目論む。誰が誰のターゲットを殺すのか。それを決めるのはたった4枚のカード。粛々と進められる計画に、法月警視と綸太郎のコンビが挑む!

単行本です。
法月綸太郎久しぶりの長編です。 2004年の「生首に聞いてみろ」 (角川文庫)以来、と書こうとして調べてみたら、2006年に「怪盗グリフィン、絶体絶命」 (講談社ミステリーランド)が出ていました。法月さん、失礼しました。とはいえ、どちらにしても寡作な法月さんの新作なので、待望の新作長編、です。
今回のテーマは交換殺人。
2人(の交換殺人)ならパトリシア・ハイスミスの「見知らぬ乗客」 (角川文庫)から始まって、さまざまな作例がありますし、3人も山村美砂や森村誠一で読んだことがあります。今回は4人。これは初めてです。
犯人側のシーンから始まるので、倒叙ものだな、と思って読み始めました。
とすると、犯人側の計画&実行のミスを探偵側がどうやってロジカルに突き止めていくのか、という話だろうな、と予想しつつ、犯人側がニックネームで名前が明かされていないということからここに本格ミステリとしての仕掛けがあるのかな、なんて邪推も加えて...
探偵側(法月親子)が犯人側に罠を仕掛けるところから話は急展開。探偵側対犯人側の攻防がぐぐっと浮上してきます。こうなってからの犯人側の行動に若干軽率なところがあるように思えましたが、それにしてもおもしろい。
これ、法月綸太郎が追い続けている後期クイーン問題の変奏曲の一つなのでしょうね。
小道具としてトランプが使われているのでぴったりの表現だと思いますが、まさに伏せられていたカードを開くように、真相が明かされると、倒叙ものでありながら謎解きとしての読み方もできる仕掛けが凝らされていたことがわかって充実の1冊です。
タイトルから、鮎川哲也の「王を探せ」 (光文社文庫)と何か関連付けられているのかな、とも思いましたが、読み終わっても思いつけませんでした。「王を探せ」 を読んだのはもうずいぶん前なので、あちらの内容はまったくといっていいほど覚えておらず確かなことはいえないのですが...


<2014.4追記>
2013年12月にノベルス化されています。書影とリンクを貼っておきます。

キングを探せ (講談社ノベルス)

キングを探せ (講談社ノベルス)

  • 作者: 法月 綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/12/05
  • メディア: 新書




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