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ベイカー街少年探偵団ジャーナルⅠ キューピッドの涙盗難事件 [日本の作家 ま行]


ベイカー街少年探偵団ジャーナルI  キューピッドの涙盗難事件 (角川文庫)

ベイカー街少年探偵団ジャーナルI キューピッドの涙盗難事件 (角川文庫)

  • 作者: 真瀬 もと
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/07/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)も頼りにする名探偵シャーロック・ホームズの武器は、聡明な頭脳とベイカー街少年探偵団(ベイカー・ストリート・イレギュラーズ)! 器用な手先や変装などそれぞれの特技を駆使し、少年たちは難事件に挑むホームズを助けていく。名探偵を目指して修業中のリアムは、世間をにぎわす怪盗・黒薔薇の賊を捕まえようと挑戦するが……。ワトスンやレストレイド警部に、アイリーン・アドラーやあの“教授”も登場? 21世紀のホームズ譚、BSIシリーズ開始!!

シャーロック・ホームズの物語に登場する、少年探偵団=ベイカー・ストリート・イレギュラーズを主人公に据えたパスティーシュです。
古今東西、数多書かれているホームズ物のパロディ・パスティーシュのことですから、ベイカー・ストリート・イレギュラーズをメインにしたものもきっとあるとは思いますが、こちらがあまり熱心にはパロディ・パスティーシュを漁っていないからということもあるでしょうけれど、ぱっと思いつきませんね。
ホームズの正典でも、子供なら心を許すので秘密を探るのによい、とホームズに重宝されている存在なので、ミステリの主人公に据えるにはぴったり、ですね。いざというときにはホームズに助けてもらえるし、いろいろなパターンのストーリーを展開できそうです。
正典にも出てくるのは、リーダーのウィギンズだけのようですが、少年探偵団というのは狙いとしてはなかなか楽しいところで、主人公リアムの設定がこれまた興味をひきます。貧民街をねぐらとする家族、ですから、現代風の視点で物語るのにも、社会の闇を照らしてみせるのにも、引き出し多くできそうです。
ミステリとしての仕掛けがもう少し手が込んでいればもっとうれしいのですが (それなりには考えられているものの、ミステリとしては常道ともいえる典型的なパターンで解決されてしまうので平凡な印象を受けてしまいます)、そこを割り引いて考えても、軽やかな筆致で、19世紀末のロンドンでの活躍を楽しめて、かつ、シャーロック・ホームズ、ハドソン夫人やレストレイド警部、さらにはアイリーン・アドラー(!)も登場して、わくわくできました。「キューピッドの涙」などという宝石にまつわる時代がかった因縁話とか、「黒薔薇の賊」という怪盗とか、美貌の黒衣の少年エドワードとその従者で異国の若者ヴァレンタイン(少年を「若様」と呼ぶのです!)とか、とても楽しいです。
タイトルに「Ⅰ」とあることからもわかりますが、シリーズものになっており、怪しげな登場人物がすでに登場していますし(エドワードがいい例です)、リアムの父親にも謎めいたところがあり、期待が高まる仕掛けです。
次作も楽しみに読むことにします。
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