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スクールボーイ閣下 [海外の作家 ら行]


スクールボーイ閣下〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)スクールボーイ閣下〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

スクールボーイ閣下〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
スクールボーイ閣下〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ジョン ル・カレ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1987/01/31
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ソ連情報部の工作指揮官カーラの策謀で、英国情報部〈サーカス〉は壊滅的打撃を受けた。その長に就任したスマイリーは反撃を開始する。〈サーカス〉の膨大な記録を分析し、カーラの弱点を解明しようというのだ。そこで浮かび上がったのは、パリから東南アジアへと伸びる極秘送金ルート。その受取人をつきとめるべく、スマイリーは工作員ウェスタビーを香港に派遣した! 三部作の中核を成す巨篇。英国推理作家協会賞受賞。<上巻>
カーラの資金を受け取る香港の大実業家ドレイク・コウ。彼の弟ネルソンは中国情報機関の中枢に送り込まれたカーラの二重スパイだった。そしていまウェスタビーの調査により、ドレイクが弟を中国から脱出させようと企てていることが判明した。スマイリーはネルソンを捕えるべく秘密作戦を開始する、だが、ウェスタビーが指揮下を離れ、独自に行動していたとは知るよしもなかった! ル・カレの最高傑作と絶賛された力作 <下巻>


言わずと知れた(?)スパイ小説の金字塔、です。
長らく積読だったのですが、昨年映画「裏切りのサーカス」を観て、読んでみようかと思ったのがきっかけです。(長い間積読だったため、表紙絵が上で引用したものと違います...映画にあわせて新しいカバーになったんですね)
「裏切りのサーカス」の感想(ブログへのリンクはこちら)で、「映画の記憶がなくなってしまわないうちに、読み直してみることにします!!」と書いた通り、まずは新訳なった「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕」 (ハヤカワ文庫NV)を、わりと映画を観た後すぐ読みました。この感想、ブログに書くのを忘れていました。あーあ。
で、今回、間は空いたものの、スマイリー三部作の第2作である「スクールボーイ閣下」〈上〉〈下〉 に挑んだわけです。
この「スクールボーイ閣下」〈上〉〈下〉 は名作・傑作の誉れ高く、1977年英国推理作家協会賞(ゴールド・ダガー賞)も受賞していますし、たとえば、高村薫など絶賛する作家も多い。だけど、一方で、実は身の回りではあまり評判高くない。むしろ「死ぬほど退屈」「読みにくい」「ごちゃごちゃしている」「途中で挫折した」という人がいっぱいで、ちょっと恐怖感あり。
実際に読み終わっての感想は、確かに読みにくいなぁ、と。でも、退屈とは思いませんでした。
読みにくい理由、そして退屈だという人が退屈に感じる理由は、ストーリーがなかなか前に進まないから、だと思います。
スパイもの、というと007の映画のように派手な活劇を連想しますが、本当はこういう地味な活動の積み重ねなんだろうな、と想像しながら読みました。
スマイリー三部作って、3作目の「スマイリーと仲間たち」 (ハヤカワ文庫)はまだ読んでいませんが、スマイリーがカーラにしてやられて、その後反撃する、というものだと思うんですね。「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」 でやられて、この「スクールボーイ閣下」〈上〉〈下〉 で反撃の糸口をつかんで、「スマイリーと仲間たち」 でやっつける。こういう位置づけを考えると、真ん中の「スクールボーイ閣下」〈上〉〈下〉 はどうしても地味な中でも地味になってしまうのも無理はない。香港、タイ、カンボジアと舞台は移るものの、それでも地味なものは地味ですよね。
でも、それぞれのエピソードが思わせぶりなので、いろいろと考えながら読むと退屈はしませんでした。特に「スマイリーは~~知るよしもなかった」とあらすじにありますが、どこまでスマイリーは知っているのだろう、あるいは、(知らずとも)想定していたのだろう、と想像しながら読めば、興趣は増すはずです。
まさに "Honourable" なスクールボーイも魅力的だなと思いました。
じっくり読みときたい、名作、だと思います。

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