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fの魔弾 [日本の作家 柄刀一]


fの魔弾 (光文社文庫)

fの魔弾 (光文社文庫)

  • 作者: 柄刀 一
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/01/10
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
完全な密室の中で、二つの銃殺死体とともに発見された浜坂憲也。犯人は、浜坂以外にあり得ない絶体絶命の状況下、しかし、彼は冤罪を主張する。求刑の時が迫るなか、旧友・南美希風は、浜坂の無実の証明に乗り出すが、美希風自身に、真犯人の魔の手が及ぶ。繊細精緻な本格ロジックに、新しい社会派と呼ぶべき「法の精神」を盛り込んだ、胸に迫る感動のミステリー。

南美希風が探偵をつとめるシリーズの長編第2作です。
密室ミステリで、法廷が登場する、ときたら、海外の某巨匠の某名作ではないですか! (超有名作なので、これだけで特定できてしまうので、タイトルを明かしてもネタばれとはならないとは思いますが、念のため伏せておきます。 Amazon にリンクを貼っておくとこちら
非常によく作り込まれている、とは思いましたが、肝心のトリックが惜しいというか、なんというか。法廷の解明シーンはどきどきできたのに...
いや、トリックそのものは悪くないですね。悪くない、どころか、非常に優れたいいトリックだと思います。ただ、このトリックだと死体の様子はああはならないので、納得感がないのです。明かされた時に、なるほどと膝を打つことはできず、「いや、あの死体の状況だとそのトリックはないだろう」、と批判的な気分になってしまいます。しかも、この問題点は、作品の冒頭に近い死体の様子を描写するくだりを少し書き換えれば解消してしまうと思われるだけに余計に不満を持ちます。(この点についてはあまり指摘されていないようですが、読み違いとは思っていません)
あらすじでいう「美希風自身に、真犯人の魔の手が及ぶ」部分が、サスペンスを盛り上げているし、トリックの解明の道筋もひらめきたっぷりだし、中心となるトリック以外の小道具の使い方も意外感あるし、冤罪を主張しながら沈黙を守る浜坂が隠している秘密も興趣あり、だし、本当にいろいろと考えられているのに、それらを吹っ飛ばしてしまうほど、中心となるトリックに関する不満は大きいのです。
某名作の本歌取りというかオマージュという趣向もとても素敵で、大好きなのですが、なんとも、なんとも惜しい作品です。素晴らしい作品だと思うのに、傑作だ!、と強くお勧めできないのが、とても残念です。ほんと、惜しい。

あと、タイトルの f って、なんなのでしょうか?
結局よくわかりませんでした。友だちの、friend なのでしょうか? 気になります。

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