SSブログ

漱石先生の事件簿 猫の巻 [日本の作家 柳広司]


漱石先生の事件簿 猫の巻 (角川文庫)

漱石先生の事件簿 猫の巻 (角川文庫)

  • 作者: 柳 広司
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/11/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
探偵小説好きの「僕」はひょんなことから英語の先生の家で書生として暮らすことになった。先生は癇癪もちで、世間知らず。はた迷惑な癖もたくさんもっていて、その“変人”っぷりには正直うんざり。ただ、居候生活は刺激に満ち満ちている。この家には先生以上の“超変人”が集まり、そして奇妙奇天烈な事件が次々と舞い込んでくるのだから……。『吾輩は猫である』の物語世界がミステリーとしてよみがえる。抱腹絶倒の“日常の謎”連作集。

映画「グランド・イリュージョン」の感想をはさんで(リンクはこちら)、前回感想を書いた「神様が殺してくれる」(幻冬舎)(感想へのリンクはこちら)までが9月に読んだ本で、今回の「漱石先生の事件簿 猫の巻」からが10月に読んだ本です。

もともと、理論社のヤング・アダルト向け叢書ミステリーYA! から出版されていたものの文庫化です。
タイトルからもうかがえますが、そしてあらすじにも書いてありますが、夏目漱石の「吾輩は猫である」 (リンクは、「漱石先生の事件簿 猫の巻」にあわせて角川文庫版に貼っておきました) の世界を下敷きにしています。
「吾輩は猫である」 はむかーし、子供の頃に読んだきりなので、ほとんど覚えていないのが残念です。内容をちゃんと覚えていれば、柳広司の作品のことですから、きっと楽しさ倍増だったと思います。
あとがきで、作者が「吾輩は猫である」 のことを
「あまりに有名な書き出しのほかは、本の内容を覚えている人が驚くほど少ない、という曰く付きの謎の小説なのです」
と書いているのに、ニヤリ。
謎解きが他愛ない、という批判も出るのかもしれませんが、扱われる六つの事件が、
「<僕>の目の前で鼠が消え失せ、猫が踊り、泥棒が山の芋を盗んでいったかと思えば、先生の家では奇妙な演芸会が開催され、ついには裏手にある中学の生徒たちとの戦争がはじまります(※「吾輩は猫である」 を既読の方にはもうおわかりのとおり、これらはいずれも漱石の作品に実際に出てくるエピソードです)」
ということなので、むしろちゃんとミステリに仕立てたことに感嘆します。
ときに馬鹿馬鹿しい謎解きも、作品の雰囲気にぴったり合っていて、いい塩梅。
この素敵な作品を入り口に、奥深い夏目漱石の作品群へ、若い読者が誘われるのだとしたら、これまた素敵なことですね。
タグ:柳広司
nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0