Q.E.D.証明終了(28) [コミック 加藤元浩]
この第28巻には「ファラオの首飾り」と「人間花火」の2つの話が収録されています。
カバー袖の作者のことば欄(?)で、
「今回の単行本に収めされた話は、同時進行でやっている姉妹作品『C.M.B.』とのコラボ企画となっています。物語の中でお互いの主人公たちが行き来しているのです。」
と書いてあります。
画像でおわかりになるかどうか...というところではありますが、上で引用している書影にも、『C.M.B.』の探偵役である森羅が登場します。
燈馬は、森羅から謎解きのヒントをもらいます。 こういう試みおもしろいですよね。
それが「ファラオの首飾り」。
王族の墓にしては貧弱なピラミッドでみつかった2体のミイラと、本物の豪華な副葬品。
非常に納得感のある、そして美しい真相を燈馬は最後に描き出してくれます。すごい。
でも、この方法で2体のミイラの説明、つくのでしょうか? ミイラってそんなに簡単にはできないものだと思うのですが...
謎解きの鍵となる玄室(と呼ぶのでいいのでしょうか?) の入り口の絵なんですが、騙し絵というわけではないのですが、凹凸を逆に見てしまっていて(出ているところと、へこんでいるところを逆に解釈していました)、解決シーンであれれ? となっていまいました。じっくり見ると、最初に思っていたのとは逆の凹凸になって、よく理解できました。作者が想定しているのとは逆の凹凸は現実にはあり得ない造型になるので完全にこちらのミスですが、なんかおまけのミスディレクションに引っかかった気分で、それも楽しめました(笑)。
「人間花火」は非常に暗い話です。
ここまでシリアスな題材をあつかったことなかったんじゃないでしょうか?
心の闇、を取り扱っています。
「闇を殺すには名前を与えてやればいい」という冒頭の民俗学者の言葉がキーとなっています。これ、わりと有名な、というか、よくある考え方ですよね。
これをミステリーに仕立てる作者の腕にはほれぼれします。なるほどねー。確かに、心の闇を扱うにはよいテーゼです。
そこで出てくるツポビラウスキー症候群って、すごいですねー。いいアイデアだと思います。
燈馬も知らないし、インターネット検索しても出てこない。「ツポビラウスキー」って人の名前なのかな?
この名前に謂れとか、ちょっとしたネタが込められていると一層すばらしかったのですが。
ところで、この作中に描かれているような人間花火って、傍から見て美しいのでしょうか? 気になるところです。
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