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化学探偵Mr.キュリー4 [日本の作家 喜多喜久]

化学探偵Mr.キュリー4 (中公文庫)

化学探偵Mr.キュリー4 (中公文庫)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/03/18
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
大学で暗躍する『互助組合』の謎。反応を掻き混ぜる以外に使い道のない《スターラー盗難事件》。切断された銅像と雪の上の足跡。そして今回、Mr. キュリーこと沖野春彦がなんと被害者に!? この事件の謎に立ち向かうのは、イケメン俳優にして「春ちゃんラブ」の美間坂剣也。沖野リスペクトによる化学的知識を駆使して新たな名探偵となれるのか!?


「シャーベット・ゲーム オレンジ色の研究」 (SKYHIGH文庫)(ブログへのリンクはこちら)に続いて今年3月に読んだ本、5冊目です。

シリーズ第4弾です。
しかし、数字がついていくだけのタイトルって、わかりやすいですが、ちょっとさびしいですね。
この第4巻には
「化学探偵と猫騒動」
「化学探偵と互助組合の暗躍」
「『化学探偵』の殺人研究」
「沖野春彦と偽装の真意」
「七瀬舞衣と三月の幽霊」
の5話収録。

「化学探偵と猫騒動」は、「大学猫を守る会」というサークルに入っていた女の子が、猫アレルギーになってしまって、好きな会長と一緒にいられなくなると困るなぁ、と思っている、という話です。ところが、アレルギー検査をしてみたところ...という風に話が転がっていくわけですが、この真相はどうでしょうか。いくらなんでも、これはなしだと思います。
犯人(と呼んでおきます)の心理ととった手段のあまりのアンバランスさに、ちょっと気持ちが悪くなってしまいます。

「化学探偵と互助組合の暗躍」は、スマホゲームの課金アイテムを利用した資金略取が取り上げられていますが、そちらよりも焦点はやはり互助組合とは何か、なのでしょう。
互助組合の発想は昔からあるものですし、ここまでの規模ではなくても同様のことは割とよく行われているのではないだろうか、と思いますが、それとスマホゲームの課金という新しい切り口とを同じ作品の中に置いてみたところの構図が面白かったです。

「『化学探偵』の殺人研究」は、美間坂剣也主演のTVドラマにつかうトリックを考えてくれ、とMr. キュリーこと沖野春彦が頼まれるところからスタートします。
使われているトリックは、あまりにも専門的すぎて、普通のミステリには使えないですが、こういう形だと有効活用できますね。
驚きは、やはり沖野が襲われて入院してしまう、というところでしょうか。
全体に対してひねりが仕掛けられているのはご愛敬でしょう。   

「沖野春彦と偽装の真意」は盗んでも使い道がないスターラー(攪拌子を回すための装置)が盗まれる、という素敵な謎が扱われています。
だから、と言ってしまっては少し申し訳ないですが、割と定型的な着地を迎えます。

「七瀬舞衣と三月の幽霊」は、四宮大学初代学長の胸像の首が切り落とされるという事件です。
雪が降って一面真っ白の世界で、なのに胸像へ向かう足跡のようなものは途中で途切れていた...
うわー、絵になる事件!! トリックも、すっきりしていて素敵です。
なにより、この作品ですごいのは動機でしょうか。
ミステリ的にすごいのではないですが、シリーズ的には絶対に見逃せない動機ですね!!

シリーズはこのあと、
「化学探偵Mr.キュリー5」 (中公文庫)
が出ていまして、今月6巻が出るようです。



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