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シャーロック・ホームズ 絹の家 [海外の作家 アンソニー・ホロヴィッツ]

シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)

シャーロック・ホームズ 絹の家 (角川文庫)

  • 作者: アンソニー・ホロヴィッツ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/10/24
  • メディア: ペーパーバック

<裏表紙あらすじ>
ホームズの下を相談に訪れた美術商の男。アメリカである事件に巻きこれまて以来、不審な男の影に怯えていると言う。ホームズは、ベイカー街別働隊の少年達に捜査を手伝わせるが、その中の1人が惨殺死体となって発見される。手がかりは、死体の手首に巻き付けられた絹のリボンと、捜査のうちに浮上する「絹の家」という言葉……。ワトスンが残した新たなホームズの活躍と、戦慄の事件の真相とは?


ロンドン暮らしとなって、最初に読んだ本が、これ。
日本を出るときに、道中(電車の中や飛行機の中)に読もうと思って買った4冊の中の1冊です。
結局、電車や飛行機では読まずに、4冊ともそのままイギリスに持ち込むことになってしまいました。

ロンドンといったらやっぱりシャーロック・ホームズですよねぇ、ということで選びました。
正典じゃないですけどね、でも、このシリーズはパスティーシュといっても続編としてコナン・ドイル財団の許諾を得たものなので、準正典とでもいうものでしょうか。
訳者付記によれば、正典の精神を尊重するため、作者のホロヴィッツは十箇条のルールを自らに課したそうです。

日本語訳で読んでいますので、訳者の功績も大きいのだと思いますが、しっかりと懐かしのホームズの雰囲気は味わえました。
だから、めでたしめでたし、といえればいいのですが、うーん、どうでしょうこの作品は。
「活字にするにはあまりにおぞましい、身の毛もよだつような事柄が含まれている」
「いま読んでも戦慄を禁じ得ないだろう」(14ページ)
とワトソンが振り返って書いているのですが、こちらの勝手な思い込みかもしれませんが、正典の品位を損なっていないでしょうか? だからこそ「当時は公表するのがはばかられた」ということなんでしょうけど。
あとやはり、ベーカー街別動隊(不正規隊と呼ぶときもある、と書かれています。ベーカーストリートイレギュラーズですね)やその関係者を真の意味で危険な目に合わせる、というのも気になりますね。
いい意味での、おとなのおとぎ話、といった雰囲気を保っていてほしいというのは、わがままでしょうか。

ただし、この点を除くと、すこぶる快調です。
アメリカから復讐を誓って追いかけてくるギャング、とか、謎に満ちたアヘン窟、ロンドンから馬車で1時間ほどのところにある男子学校にグロースターシャーのマナーハウスとか雰囲気を楽しめますし、レストレイド警部に、マイクロフト、さらにはあの人物まで出てきて話を盛り上げてくれます。ホームズもホームズらしく(肝心の推理の部分が、ホームズらしくなくどたばたしますけど)、ワトソンもワトソンらしく、動きます。
事件のほうも、毒を盛られている形跡がないのに衰弱していく老婆の謎、とか小粒ながら意外とトリッキーでいいですよね。
なによりも、美術商の話が、いつのまにか絹の家の話へと展開していって、そのまま一方通行的話の流れなのかな、と思いきや、きちんと美術商の話も続いていく構成が素晴らしいと思いました。
続編のタイトルが、「モリアーティ」 (角川文庫)
このシリーズ、気になるところもあるんですが、楽しみです。



<蛇足>
「辻馬車をつかまえてサザーク橋を渡った。チープサイドからテムズ川をまたぐ、三つの大きな鋳鉄のアーチが支える橋だ」(137ページ)
チープサイドは知っていたのですが、サザーク橋は知らなかった(意識していなかった)ので、せっかくロンドンにいることだし、今泊っているサービスアパートメントからもほど近くなので、見に行ってきました。チープサイドとつながっている感じはしませんが...
DSC_0186_.jpg
ぼろい携帯で撮ったので、画像は悪いですが、雰囲気をつかんでいただければ。
ミレニアムブリッジから撮りました。遠くにタワーブリッジが見えます。余談ですが、あのタワーブリッジを、「ロンドンブリッジ」だと勘違いしている人が多いですよね。
近寄ってみるとこうなります。
DSC_0190_.jpg
ちなみに
DSC_0192_.jpg
ですので、知らずに見ると「サウスウォーク」と読んでしまいそうですね(5月23日追記:サウスウォークよりはサウスワークと読みそうですね、このスペルだと)。ちょっとイギリス人の発音を確かめてみたいところ。

蛇足ついでに、時間的には18:30くらいだったのですが、まだまだ明るくセントポール寺院の敷地(?)にある広場っぽいところは、こんな感じでした。
DSC_0196_.jpg
ちなみにセントポール寺院も藤(ですよね?)といっしょに撮ってみました。
DSC_0200_.jpg

あと、ホームズの兄マイクロフトが通っている<ディオゲネス・クラブ>があるというペルメル街。
スペルは、Paul Mall なんですよね。これ、ポールモールって読みますよね、普通。早く読んでもポルモル。これもイギリス人に発音を確かめてみたい。(5月23日追記:Mall はマルと読むかもしれません)
トラファルガー広場、ピカデリーサーカスに近いわりと大きな通りです。
DSC_0206_.jpg
写真右側の建物の左のほう、高さで言うと画面真ん中くらいの高さのところに、通りの名前が掲示してあります。拡大すると見えるでしょうか??

原題:The House of Silk
作者:Anthony Horowitz
刊行:2011年
訳者:駒月雅子




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コメント 2

k-sakamama

おはようございます。
あっ!わかりました~
横長のプレートですね? 見えたぁ~(笑
セントポール寺院の白い藤、素敵だわ~
それにして、立派な藤ですね。
by k-sakamama (2018-05-22 09:38) 

31

k-sakamama さん
コメントありがとうございます。
そうです、横長のプレートです。見えてよかったです!
セントポール寺院の藤、謂れがあるのかどうかわかりませんが、写真撮ってる人かなりいます!

by 31 (2018-05-23 15:12) 

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