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研究公正局・二神冴希の査問 幻の論文と消えた研究者 [日本の作家 喜多喜久]


研究公正局・二神冴希の査問 幻の論文と消えた研究者 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

研究公正局・二神冴希の査問 幻の論文と消えた研究者 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2016/03/04
  • メディア: 文庫


<カバー裏あらすじ>
文部科学省・研究公正局の調査員・二神冴希。サイエンスを愛するが故に、彼女の追及は苛烈にして過たず真実を穿つ――。クビ寸前の研究員・円城寺は、研究所の内部調査を依頼される。二年前、捏造の疑惑で日本中を騒がせた万能細胞に関する論文。関係者の死と失踪で闇に消えたはずの論文を、何者かが再び投稿したという。円城寺の調査は難航するが、二神冴希の登場で、調査は大きく異なる展開を見せ始める……。


読了本落穂拾いです。
多作家である喜多喜久の本は、感想を書けていない本がかなり残っています。

単行本時のタイトルは、「捏造のロジック 文部科学省研究公正局・二神冴希」
あらすじを見ていただくと一目瞭然、STAP細胞騒動を題材にしています。

いま調べたら2014年だったんですね、STAP細胞騒動。もう7年も前ですか。
本書の単行本は2014年12月に刊行されていますから、かなり素早いですね。

もちろん、こちらは小説ですから、現実とは違う設定だし、現実とは違う展開を見せるわけですが、それでも垣間見える喜多喜久の見方がポイントですね。
あれは、素人目から見てとても不思議な騒動でしたが、ご自身も科学者、研究者である喜多喜久の見方は興味深いです。

探偵役を務める二神冴希が問いかける
「あなたはサイエンスを愛していますか?」
というセリフに凝縮されていると思われます。
研究者としての矜持を感じます。

だから逆に、それを踏みにじる行為や人物に対する見方は厳しい(と思われます)。
事件や人物の設定・配置もミステリとしての布陣という性格よりも、むしろそのことを浮き立たせるためのもの、という理解です。

戯画化されたような性格設定(特に二神冴希)でいつものように読みやすくなっていますが、喜多喜久の見方が色濃く打ち出されていることがこの作品を特徴づけていますね。




タグ:喜多喜久
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