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愛しいひとの眠る間に [海外の作家 か行]


愛しいひとの眠る間に (新潮文庫)

愛しいひとの眠る間に (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/02/19
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
雪のニューヨーク、衝撃的な記事を書くことで著名な、女性ライターが姿を消した。ブティックを経営するニーヴは、その作家のコートがすべて残されていることからこの失踪に不審を抱き、元市警本部長の父に相談する。一方、彼に逮捕されたマフィアのボスが、復讐のため、ニーヴに対する殺人指令を出したらしい……。米ファッション業界が抱える様々な問題を扱ったサスペンス長編。


2021年8月に読んだ11冊目の本です。
またまた、どこから掘り出してきたんだと言われそうな本です。
奥付を見ると平成2年10月25日発行。30年以上積読にしていました......

さすがは”サスペンスの女王”。すっと世界に入っていけます。
華やかなファッション業界を背景にしたドラマです。
主人公ニーヴはブティックの経営者。ニーヴの母レナータも同じようにファッション業界に携わっていた。
ニーヴの父マイルズの旧友、サルおじさんはファッション・デザイナーとして業界で大成功を収めている。
ニーヴの父マイルズは連邦検事だった際マフィアのボスを投獄、その後市警本部長に就任。直後、妻レナータは惨殺されていた。
ニーヴの顧客でファッション・ライターのエセルが殺され、エセルの分かれた夫が怪しい動きを見せている。
折も折、マフィアのボスが、ニーヴへの殺人指令を出したという......
最近のどぎついサスペンスものに比べると、あっさりとしているようにも思えますが、しっかりと盛り上げてくれます。

作者のメアリー・ヒギンズ・クラークはベストセラー連発の作家で、その名を冠した賞もあるのですが、もう日本では新刊書店では手に入らないですね......
読み返してはいないものの、初期の
「子供たちはどこにいる」 (新潮文庫)
「誰かが見ている」 (新潮文庫)
「揺りかごが落ちる」 (新潮文庫)
あたりは復刊してもいいんじゃないでしょうか?

話はそれますが、創元推理文庫は毎年復刊フェアをやっていて、早川書房もたまに復刊フェアをやりますが、ほかの海外ミステリを出す出版社も復刊フェアをときどきはやってほしいですね。
新潮文庫、文春文庫、角川文庫あたりには特に期待したいです。
もちろん、未訳の作品も大歓迎ですよ。


<蛇足1>
「物慣れた手つきでレタスをちぎり、リーキを刻み、ピーマンを剃刀の刃ほどの薄い輪切りにした。」(43ページ)
リーキ? リーク(Leak)のことだろうな、と思って調べてみたら、日本ではリーキとも言うようですね。リークよりはリーキの方が優勢かもしれません。
ロンドンに行くまで料理をしませんでしたので、野菜を自分で買ったりもしませんでしたので、知りませんでした。
長ネギは、日本食材店あるいはアジア食材店に行かないと手に入りづらいので、日本人家庭ではリークで代用することはよくあることかと思いますが、味わいが違いますよね......

<蛇足2>
「もうそんな話はよして、さっさと小海老のスカンピ(訳注 ニンニクで風味をつけた小海老のフライ)でも注文してくれない?」(58ページ)
スカンピに、料理名(フライ)だという訳注がついていますが、スカンピは料理名ではありませんね。
イタリア料理が日本でもかなり広まっているので今では知っている人の方が多いと思いますが、スカンピとは手長海老のことですね。
本書が訳された当時はわかりやすくするためにこう書かれたのでしょう。

<蛇足3>
「小さな、形のいいくちびるは、キューピーのように両端のつりあがった弓形に描かれている。」(67ページ)
ここを読んで、我ながらバカバカしいことに、日本のマヨネーズがこの頃にはすでにアメリカにも広まっていたのか、なんて思ってしまって、その後自分の勘違いに気づき笑ってしまいました。
日本のマヨネーズ、おいしいですよね。少なくともロンドンで普通に手に入るあちらのもの(たとえばハインツとか)とは味わいが全く違いますね。


原題:While My Pretty One Sleeps
著者:Mary Higgins Clark
刊行:1989年
訳者:深町眞理子


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