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金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(1) [コミック]


金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(1) (講談社コミックス)

金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(1) (講談社コミックス)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/11/17
  • メディア: コミック



ちょっと古い本なのですが、「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」 (1) (少年サンデーコミックス)(感想ページはこちら)と同時に読んでいまして、続けて感想を書こうと思っていたんですよね、もともと。
でも、いつもの癖で先延ばしにしてしまい、英国赴任とかでうやむやに。
帰国後感想を書こうと思って探したのですが、コミック本が見つからず断念しかけていたところ、先日ようやく発見しましたので、コミックも読了本落穂拾いということで。

「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」もこの「金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」も、オリジナルの漫画があって、それに対するパロディというかオマージュというか、そういう位置づけの作品です。
「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」は感想をご覧いただくとわかるとおり、失望の一語だったのですが(とはいえ、世間的には人気を博しているようですね。順調に巻を重ねているようです)、こちらの「犯人たちの事件簿」は、いたく気に入りました。
これ、いい。すごく、いい。
大好きです。

第1巻
「オペラ座館殺人事件」
「学園七不思議殺人事件」
「蝋人形城殺人事件」
「秘宝島殺人事件」
の犯人たちの物語です。

オリジナルをすっかり忘れているので、見比べることはできないのですが、せっかく苦労してトリックを弄して殺人を犯したというのに、金田一少年に見抜かれてしまった犯人たちの苦労話です。

まず注目なのは犯人の動機には触れていないこと、です。
オリジナルの「金田一少年の事件簿」は、いずれも怨念というか恨みつらみにあふれて殺人を起こすというストーリーが多く、復讐が主たる動機というイメージがありますが、この「犯人たちの事件簿」はその部分はあっさり捨象してしまって、犯行シーンに特化しています。
これ、大成功。
怨念だ、復讐だとなると、どうしても湿っぽくなってしまいますが、この部分を捨て去ることで、ドライに楽しめます。カラッと笑える。

オリジナルで繰り広げられる数々のトリックを、さて犯人の立場になって実際にやろうとするとどうなるのか。
平静を装う演技力、準備に必要なお金、力業(体力)、全力疾走、長時間にわたる待機や息を潜める苦労......
いやあ、殺人なんてするもんじゃないですね。

せっかく苦労してトリックを駆使して作り上げた目くらましも、金田一少年にはあっさり見破られ、
そりゃあ帯にもあるように
「やめろ金田一! みんなの前で俺のトリックを暴かないでくれ…!!」と言いたくなりますよねえ。
思わず犯人に同情してしまいます。
このあたりの加減がうまく笑いに結びついています。
本人(この場合犯人)が真面目にやればやるほど、傍から見ているとおかしいという王道をいっているのもいいですよね。

わりとミステリに対しては、探偵の推理が間違っている、とか、ロジックに穴があるとか、あるいはトリックが実行不可能だとか、いう指摘がされることがあるのですが(そういうのを集めた本まで昔ありましたねぇ)、この作品はあくまでもオリジナルに忠実に、その犯行を再現してみせるところがいい。


この次の2巻も読んでいるので、そのうち感想を書きます。
3巻以降も買おうと思ったのですが、紙のコミック版はもう品切れ状態のようで、新刊書店では手に入らないのですね。
重版というか復刊というか、してもらえないものでしょうか?--もう電子の時代なんでしょうね。






タグ:船津紳平
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