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衣更月家の一族 [日本の作家 ま行]


衣更月家の一族 (講談社文庫)

衣更月家の一族 (講談社文庫)

  • 作者: 深木 章子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/03/13
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
別居している妻の潜伏先を察知した男が、応対に出た姉のほうを撲殺―一一〇番通報の時点では単純な事件と思われた。だが犯行が直接目撃されていないうえ、被害者の夫には別の家庭があった。強欲と憤怒に目がくらんだ人間たちが堕ちていく凄まじい罪の地獄。因業に満ちた世界を描ききった傑作ミステリー。


2022年8月に読んだ10作目(11冊目)の本です。
作者の深木章子は、「鬼畜の家」 (講談社文庫)で第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞しデビューした作家です。

目次を開くと、プロローグ、エピローグに挟まれて
廣田家の殺人
楠原家の殺人
鷹尾家の殺人
と続き、最後が
衣更月(きさらぎ)家の一族。

上で引用したあらすじは「廣田家の殺人」にフォーカスしています。
「楠原家の殺人」ではガラッと話が変わり、八王子にある病院を舞台に宝くじ騒動で幕を開けます。
「鷹尾家の殺人」でまたもや話が変わります。
プロローグで、衣更月家の相続の話が出ていますので、はてさて、各話とどう結びつくのか、というのが興味の焦点となります。

非常に細やかに組み立てられています。
「解答の唯一性を保証するタイプの作品ではありませんが、作者が用意した解答はいちばん見栄えの良いものだと言うことはできるとおもいます。消去法推理による犯人当てのミステリとは違って、何通りもの解釈が成立しうる話なのですが、読者が出した複数の回答の中に、作者の用意したエレガントな解答が含まれているかどうか──作者の創造力に読者の想像力が追い付けるかどうかが、勝敗の分かれ目になります。」
という解説での乾くるみの指摘はさすが鋭いですが、出来上がった真相の絵面の精緻さはとても素晴らしい。

個人的には、鮮やかさに膝を打つというよりは、その細かさにクラクラしてしまった印象。
圧倒されてしまって、素直な感動にはちょっと至れなかったですね。
ただ、これはあくまで個人的な感想であって、この細やかさは本格ミステリの一つの行き方としてとても素晴らしいと思います。
この作者の本は、続けて読んでいきたいです。


タグ:深木章子
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