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幽霊認証局 [日本の作家 赤川次郎]


幽霊認証局

幽霊認証局

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2022/06/06
  • メディア: 新書

<カバー袖あらすじ>
宇野と女子大生・夕子が訪れた温泉街では、いたるところに、監視カメラが設置されていた。かつて娘を誘拐された町長が、家族と町民たちの安全を守るために、独断で実施している施策だった。どこにいてもカメラに見られてしまうため、町全体が不穏な空気に覆われる中、夕子は「ある秘密」に気がつく。すると今度は、殺人事件が発生して……。
大好評<幽霊>シリーズ第29弾


2023年1月に読んだ9作目(10冊目)の本で、1月に読んだ最後の本です。
赤川次郎の「幽霊認証局」(文藝春秋)
以前は月間に読んだ冊数を稼ごうと、月末近くには赤川次郎を読んでいたものですが、赤川次郎の新作作品数も減ってきていますし、そういうことはぐっと減りましたね。
珍しくこのときはなんとか10冊にしようと手に取りました。

この「幽霊認証局」には
「隣の芝生が枯れたとき」
「失われたハネムーン」
「死を運ぶサンタクロース」
「他人の空似の顔と顔」
「女ともだち」
「幽霊認証局」
「タダより怖いものはない」
の7話が収録されています。

赤川次郎の最近の作品にミステリとしての結構を求めるのは間違っているというのは重々理解していますが、それでもさすがに幽霊シリーズはもうすこし配慮してくれてもいいんじゃないか、と思ってしまいますね。

と前作「幽霊終着駅」感想で書いたことを繰り返さざるを得ないことは残念です。

物語のための誇張だということはわかっていても、たとえば表題作である「幽霊認証局」で若い巡査たちが「現場をちゃんとしておけ」と言われたからといって掃除してしまうシーンとか、少々うんざり。笑えません。

「失われたハネムーン」など、ミステリらしい事件は起こらないのに、男女関係をめぐって終始不穏な気配が漂い、宇野警部と永井夕子の関係を逆手にとったようなプロットで綴られているのに、なんだかもったいない感じです。

次が出れば記念すべきシリーズ30冊目になります。
最初の頃のようなきらめきを期待します。


<蛇足1>
被害者の持っていたケータイから宇野警部が電話をかけるシーンがあるのですが(16ページ)、証拠品でしょうに、こういう使い方をしてよいものなのでしょうか?

<蛇足2>
「涼子さんが、この部屋、もう一泊、自分持ちで取ってくれたわ。のんびりできるわよ」(86ページ)
「失われたハネムーン」のラストで、夕子と宇部警部の会話なのですが、警視庁捜査一課、簡単に休みがとれるのでしょうか?

<蛇足3>
「二年生の体育祭のときさ、クラスにお菓子屋の息子がいて、その子のお母さんが、昼食をとってるところへ、何十個もお饅頭を差し入れしてくれたんだ。」(138ページ)
赤川次郎は会話がとても上手な作家ですが、ここは珍しいミスだと思います。
これは宇野警部のセリフで、高校時代の同級生との会話なのです。
宇野警部と会話の相手との間柄、関係で、「クラスにお菓子屋の息子がいて」という説明をするとは思えません。お菓子屋の息子がいたことは相手も知っている事実なのですから。





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