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スーツケースの半分は [日本の作家 近藤史恵]


スーツケースの半分は (祥伝社文庫)

スーツケースの半分は (祥伝社文庫)

  • 作者: 近藤史恵
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2018/05/09
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
三十歳を目前にした真美は、フリーマーケットで青いスーツケースに一目惚れし、憧れのNYへの一人旅を決意する。出発直前、ある記憶が蘇り不安に襲われるが、鞄のポケットから見つけた一片のメッセージが背中を押してくれた。やがてその鞄は友人たちに手渡され、世界中を巡るうちに “幸運のスーツケース” と呼ばれるようになり……。人生の新たな一歩にエールを贈る小説集。


2023年5月に読んだ5冊目の本です。
近藤史恵の「スーツケースの半分は」 (祥伝社文庫)

以下の9話収録の連作短編集。
ウサギ、旅に出る
三泊四日のシンデレラ
星は笑う
背伸びする街で
愛よりも少し寂しい
キッチンの椅子はふたつ
月とざくろ
だれかが恋する場所
青いスーツケース

第一話の主人公真美が手に入れた青いスーツケースが狂言回しとなり、真美の友人・知人のエピソードが順々に紡がれていく物語。
ミステリではありません。
タイトルは、旅行を決意した真美がもらう
「スーツケースの半分は空で行って、向こうでお土産を買って詰めて帰っておいでよ」(30ページ)
というメッセージからとられています。

スーツケースは
「たとえぼろぼろになったとしても、スーツケースはパーティバッグよりもいろんな風景を見ることができるだろうと。」(144ページ)
というコメントもある通りで、主人公が変わっていくので、さまざまな旅のかたちが描かれていきます。
決意していく旅、ふらりといく旅、思い立ってふといく旅、慌ただしい旅、旅というにはちょっと長い留学まで、そして......

青いスーツケースを共通点にしながらもいろんなパターン、いろんな登場人物が出てきます。
いつもながら丁寧に描かれていく各登場人物の心のもちようがポイントなのですが、ミステリを離れた分、それぞれのエピソードに作者の主張が色濃く出ているような気がしました。
(男性の描かれ方がちょっと型どおりかな、という気がしないでもないですが、大きな欠点にはなっていないと思います)

コロナ禍で旅行もままならなかった数年、また旅行に行きたくなりました。



タグ:近藤史恵
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