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ムーンズエンド荘の殺人 [海外の作家 か行]


ムーンズエンド荘の殺人 (創元推理文庫)

ムーンズエンド荘の殺人 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/06/21
  • メディア: 文庫

<カバー裏あらすじ>
探偵学校の卒業生のもとに、校長の別荘での同窓会の案内状が届いた。吊橋でのみ外界とつながる会場にたどり着いた彼らが発見したのは、意外な人物の死体。さらに、吊橋が爆破されて孤立してしまった彼らを、不気味な殺人予告の手紙が待ち受けていた──。密室などの不可能状況で殺されていく卒業生たち、錯綜する過去と現在の事件の秘密。雪の山荘版『そして誰もいなくなった』!


読了本落穂ひろいです。
2015年11月に読んだエリック・キースの「ムーンズエンド荘の殺人」 (創元推理文庫)

非常に古式ゆかしき本格ミステリで、あらすじにもあるように「そして誰もいなくなった」 (ハヤカワ クリスティー文庫)に挑んだ作品です。
殺人が増えていくにしたがって(犠牲者が増えていくにしたがって)、章番号につけられている✗記号が減っていくという王道ぶり。
こういう設定のミステリを今時英米の作家が書いているというのが驚き、ではあるものの、本書の驚きはそこだけ......と言っては厳しすぎますね。

「そして誰もいなくなった」風に展開していって、最後に残った一人が犯人でした、だと、単なるサスペンスならいいのかもしれませんが、ミステリとしてはあまりにも物足りない。

しかも「そして誰もいなくなった」のように見知らぬ者たちが集められたというのと違い、この「ムーンズエンド荘の殺人」 は探偵学校の同窓会という建付け。十五年経っているとはいえ、知人が集められているという重荷を背負っています。
また動機の点も、過去の因縁話ですから(過去の事件にも筆が割かれています)、どんどん犯人の対象が狭められていきます。
と、こう考えると、登場人物たちにも読者にも、おのずとサプライズには限界があり「本書の驚きはそこだけ」というのにも納得していただけるのではないかと。

でも、ではつまらなかったかというと、面白かったです(笑)。
こういうチャレンジは大好きなので、わくわく読みました。
意外性はないものの、作者はパズル作家らしく、いろいろと考えたんだなと思える真相シーンまで、かなりスピーディーに展開しますし、あれよあれよという間に登場人物が勢いよく減っていって、楽しめました。

それにしても、「そして誰もいなくなった」へのチャレンジという点では、綾辻行人の「十角館の殺人」 (講談社文庫)がとてもとても素晴らしいのだということを再認識しました。



原題:Nine Man’s Murder
作者:Eric Keith
刊行:2011年
翻訳:森沢くみ子





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