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摩天楼の怪人 [日本の作家 島田荘司]


摩天楼の怪人 (創元推理文庫)

摩天楼の怪人 (創元推理文庫)

  • 作者: 島田 荘司
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/05/30
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ニューヨーク、マンハッタン。高層アパートの一室で、死の床にある大女優が半世紀近く前の殺人を告白した。事件現場は一階、その時彼女は34階の自室にいて、アリバイは完璧だったというのに……。この不可能犯罪の真相は?彼女の言うファントムとは誰なのか? 建築家の不可解な死、時計塔の凄惨な殺人、相次いだ女たちの自殺。若き御手洗潔が摩天楼の壮大な謎を華麗に解く。

言わずと知れた、現代本格の大御所、島田荘司の作品です
島田作品と言えば、「奇想」ですが(そのものズバリ、「奇想、天を動かす」 (光文社文庫) とタイトルにこの単語を使っている作品もありましたね、懐かしい)、その特質が遺憾なく発揮されています。
また同じように、冴えわたるトリックも島田作品の長所ですが、こちらも充実しています。あらすじにもある34階にいたアリバイがある(停電中でエレベーターは使えない)のに1階の殺人を実行したという不可能犯罪の謎をはじめとして、セントラルパークと摩天楼との瞬間移動(? 瞬間は大げさですが、時間的余裕がないのに移動する謎が扱われています)、死んだ女優を支えていたファントム(ガーディアンエンジェル)は何者か、一斉に割れてしまったビルのガラス窓、ガラス窓の外に見える怪物...と盛りだくさん。なかには強引なのもありますが、それらが一体となって、「奇想」を支えているのは、さすが、というところ。
タイトルからも、また、作中のエピソードからも明らかなのですが、「オペラ座の怪人」 (創元推理文庫) をなぞらえていまして、本作品の「奇想」は、ファンタジーというかメルヘンというか、非常にイメージ喚起力が強くて、印象的です。
謎ときミステリで、こういうイメージが湧いてくる作家、作品は貴重だと思います。680ページにも及ぶ大作ですが、たっぷりと世界に浸れて満足しました。
ところで、第四章 地下王国 の位置づけがよくわかりませんでした。ぽんっ、と抛りだされたように、その後つながることもなく書かれています。この章はこの章で興味深く読んだのですが....

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